早起き鳥 

【未明混沌】今日も必ずお元気で…!

rakuten

蝉しぐれ

2005年10月12日 02時31分39秒 | 読書

昨夜「蝉しぐれ」の映画を楽しんだ。
藤沢周平に捧ぐ とあった。
素晴らしい作品だった。
この蝉しぐれの郷愁をさそう風景は
本を読んだ者そして映画を見た者の心の中に
それぞれの人の青春時代が想い出される…。
僕の郷愁はやはり
川、田圃、夏、麦藁帽子、オニヤンマ、そして蝉の声
誰のも心にも同じような自然と季節がある。
素晴らしい郷愁の中に
青春の息吹き
血気盛んな若者の颯爽とした姿がまぶしい。
そして、初恋がまたそこにあった。
実に初々しい…!
そしてその淡い恋心は
その人の人生を左右させる生きた証
長編大作「蝉しぐれ」の映画化成功
おめでとうございました。
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「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」
「それが出来なかったことをそれがし、生涯の悔いとしております」
「ほんとうに?」
「……」
「うれしい。でも、きっとこういう風に終わるのですね。この世に悔いを持たぬ人などいないでしょうから。はかない世の中…」
「江戸に行く前の夜に、私が文四郎さんのお家をたずねたのを覚えておられますか」
「よくおぼえています」
「私は江戸に行くのが嫌で、あの時はお母様に、私を文四郎さんのお嫁さんにしてくださいと頼みに行ったのです」
「……」
「でも、とてもそんなことは言い出せませんでした。暗い道を泣きながら家に戻ったのを忘れることができません」
「この指をおぼえていますか」
「へビに噛まれた指です」
「さようそれがしが血を吸って差し上げた」
 蝉しぐれ 藤沢周平

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