全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

全入にはならなかったのか。

2007-08-23 03:37:12 | 教師の仕事 2007

 今年も文部科学省の学校基本調査(速報値)が8月になり発表になった。義務教育段階の不登校児童生徒数が新聞TV等で取り上げられ、話題になっていた。僕の仕事と関係があることとしては、大学への進学率がある。今年も注目していろいろ読んでみた。

 平成19年3月の高校卒業生の大学・短大への進学率は51.2%
 ・高校卒業生数1,147,984人。587,497人が大学・短大等に進学
 ・進学率は昨春の49.3%よりも1.9ポイント上昇
 ・男女別に見ると、男子は49.9%、女子は52.5%

 今春にも到来するとされていた「大学全入」には、ならなかった。景気回復の影響か思ったより大学受験者が増えたためであるとされたが、それが問題とは思えない。それよりも、人気のある大学はさらに学生を集め、そうでないところは定員割れが一層深刻化したことに注目すべきだ。後者にもし勤務校の生徒が進学を希望した場合、僕たちは何が出来るのか、何をすべきなのかを考えることの方が重大事だ。
 …そんなことをまず思った。

***** *****

 昨年、一昨年もこの調査を取り上げた。
 2005.08.15、「5.5% of 52.3%
 2006.08.16、「8月15日に考えたこと。

 前の記事を読むと、去年の速報値では大学進学率は52.5%だった。でも、最終確定値は49.3%だから、3%も誤差があることになる。この差は大きい。

 文部科学省のデータを読むと、全体の進学率は49.3%。各学科別では、、、
 普通科57.9 農業科13.1 工業科16.5 商業科22.6
 水産科13.4 家庭科21.5 看護科79.5 情報科53.7
 福祉科21.6 その他64.0 総合学科33.2 全日制50.1

 今年も同じようになれば、最終的には50%程度で落ち着くことになるのだろうか。

 平成18年度調査(18年3月卒業生)によると、全日制普通科卒業生の58%が大学生になったわけだ。これはこれでスゴイ数字だろう。でも、普通科以外の進学率を見ると、考えさせられることもある。
 現在の保護者世代の感覚だと普通科でないものは職業科(農工商)のイメージがまだ若干残っていると思う。しかし、現在はそうではない。データを見てみよう。
 看護科、情報科は進学が多い。その他の中には理数科、外国語(英語)科等が含まれるから、これらは従前の考え方による職業科と見なすことは難しい。まさに専門学科である。全部ではないが進学類型に近いと考えてもいい。これらは進学率が普通科並みとは言わないが、高い。大学等への進学率は看護科82.0%、情報科53.7%、その他64.3%だった。この春の卒業生も増えることはあっても、大きくは減少することはないだろう。総合学科も商業科などから学科転換したケースも多い。おそらく転換前より進学率は向上しているはずだ。
 「伝統的」専門学科(職業科)のは農業科、工業科、商業科、水産科、家庭科と言えるだろうが、それでも商業科と家庭科は大学進学率が2割を超えている。商業科の就職率は42.4%。。。けっして多いとは言えない。普通科新卒者の就職率は10%を下回る。全部あわせても18.0%である。僕が以前勤務していた高校の商業科も3クラスで就職は20名程度だった。いわゆる早慶上智、MARCHクラスは難しいが、現在では商業科からも中堅どころの大学には推薦入試、AO入試を使えば合格できてしまう。それについて是非論があるとは思うが、普通科以外でも普通科並みに大学へは進学できる時代なのだ。よく、大学生の学力が落ちたといわれる。それはその通りかもしれない。でも、大学数が増え、入学定員も増えたことに加え、生徒数は減少しているのだから、「大学の人たち」のイメージしている大学生 or 自分たちの大学時代と比較したら多様な学力レベルの大学生が誕生するのはもうわかるべきことだし、彼ら彼女たちをお客さんにしなければ大学は成り立たないことも理解しなければならない。これに加え社会人がもっともっと入りやすい大学にしなければ、大学は潰れることになるだろう。進学率の上がっている高校生をどこまで受け入れられるか、二人に一人が進学する教育機関になった大学は、その全てが高等教育機関であり続けることは不可能なのだ。日本はアメリカの次に高校新卒者が5割を超える国だ。
 5人に4人は就職しないのが、現在の全日制高校の状況だ。これも考えたらこれもすごいことだ。これを元に一層専門学科(学校)を総合科・普通科(学校)へ転換すべきと考えるか、それとも18歳で就職する・できる人間を作る高校を残すべきなのか、難しいところかもしれない。

 いろいろ考えたこと、気づいたことを羅列してみた。もう少し、この資料は読み込まないとダメかもしれない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする