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4. 1. ロム (Lomme) (ルフェーブル大司教の伝記の続き)

2006年08月30日 | ルフェーブル大司教の伝記

第4章 郊外の教会の助任司祭(1930年-1931年)



ロム (Lomme)



 リールの西方の近郊に位置する小さな地域であるロムの経済は、長い間マレ (Marais) の漂白工場によって左右されていた。1930年には工場が 38ヶ所があった。それらは水路網の横に立てられ、使った水をドル (Deule) 運河に排水していた。しかし都市成長に原動力になったのは 1857年にラ・マラドルリ(La Maladrerie)  に建設されたヴェルストラエト(Verstraete) 繊維工場、後にはマレにあるドルサル (Delesalle, 1905年設立) 及びポール・ルラン (Paul Leurent, 1912年設立) の開業だった。最後に 1921年にはラ・デリヴランス (La Delivrance) の鉄道分岐線路を持ち、ロムは多くの労動者や鉄道員がいる都市になり、金属工業に魅力的な地域に変貌した。その人口は 1856年の 2,465人から 1900年には 9,000人そして 1931年には 20,684人にまで増えた。


 当時ロムには小教区が三つあった。ロム-ブール (Lomme-Bourg, これはラ・デリヴランスを含む)、モンタカン (Mont-a-Camp) 及びル・マレ (Le Marais) だった。ル・マレは人口が一番多く、7,700人が住んでいた 。彼らの多くは、失職のためにブローニュ地域からやってきた人々で、無数に続く同じような家が終りなく道路脇に並んでいる所に住んでいた。


 リエナール枢機卿が、マルセル・ルフェーブルを賢明にも任命したのは、この質朴だが活動力にあふれる賃金労動者の小教区にであった。枢機卿は、この工場主の息子である若いブルジョアであるマルセルには、もっとも謙遜な者たちのもとでする使徒職のほうが、彼がそこで生まれ育った社会の若いエリートたちを教えるよりもより良き使徒職の入門になると思ったのだ。


 ル・マレの魅惑的な教区教会であるルルドの聖母教会は、ルルドにあるマリア大聖堂をまねた落ち着いたネオ・ロマネスク様式で建てられていた。その横には町の公園に接した大庭園を持った教会広場に小さな別館である司祭館があった。1930年 8月或いは 9月に、ルフェーブル神父が姿を現わして立ったのは、この家の門の前であった。

「やってきました」彼は、小さな落ち着いた声で言った。


 主任司祭は、司祭館の世話のために働いていた自分の2名の姪のうちの一人に呼ばれて、この若き司祭をじろじろと眺めた。若き司祭は静かに繰り返した。
「やってきました。神父様は、私をどのようにお使いでしょうか?」


 主任司祭はもちろん、司教が送った第二の助任神父が到着したということが分かっていたが、次のようなおもしろい考えを思いついてそれを心の内に止めておくことができなかった。そこでちょっと冗談を言う浮く長でそれを優しく言った。


「あれ! 私は第二助任神父を送ってほしいなんて頼まなかったんだよ。第二助任神父の必要がないからね。一人で十分だと思っていたんだよ。」

「あ、そうですか。」

「そう。私たちの小教区にとって第二の補佐司祭を持つ必要性が分かないでいたからね。」


 新たに到着した司祭は、物腰やさしく、あどけなくこう言った。

「まぁ、それでも、働かせてみてみませんか。」


 主任司祭は負けてこうとしか言えなかった。
「もちろん、神父様、大歓迎ですよ。自分の家ですからくつろぎなさい。神父様にお部屋を与えましょう 。」


 この小さな家にもう一つ部屋を見つけるというのは、易しい事だったのだろうか? マルセル・ルフェーブルは後日こう言った。「主任司祭は、結局私を住まわせてくれた 。」


 彼らはとてもうまく行った。主任司祭であるエミール・ドラエ (Emile Delahaye) 神父は繊細で教養があり、父親のようであり、信徒たちから愛された良い司祭だった。彼は 60歳ほどで非常に活動的だった。第一助任神父であるポール・デシャン(Paul Deschamps)神父はマルセルとほぼ同じ年で、マルセルと同じく以前にトゥルクワンの聖心学校卒業生 で、「デコ神父の同窓生」の一人だった。

【ジョゼフ・デコナンク神父、愛称 " デコ神父 "(L'abbe Jeseph Deconinck)は、マルセル・ルフェーブルの高校の先生であり、もとエルサレムでラグランジュ神父のもとで聖書学を学んだ。】



(つづく)


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