東京で矢野が仲間と集まるのは代々木にあるバー「ゼファーイン」。現在は「リトルワンズカフェ」という子どものためのレストランに改装され、その一角にバーがあるらしい。
はでにひっくり返ったセリカのGT-Four。この車、実際に乗ると、3000回転くらいまではとろい。しかし、その低速でのもたつきと3000回転以上のレスポンスの良さのアンバランスが笑っちゃうくらいに楽しい車だった。
当時のぼくのスキー・ギアは、しぶいエビ茶色が印象的なロシニョールのストラート105のスキー板、5バックルのラングでスーパーバンシーという文字通り足がしびれっぱなしのスキーブーツ、ホープマーカーM4のワンタッチのローターマート式ビンディング、ホープレーサーコンペのポール(ストック)、リバティベルの白の羽毛ジャケット、黒のエレッセのパンツだったかもと、友達に言ったら<何十年前だよ>と突っ込まれてしまった。
たしかにロシニョールのストラート105は、この映画の年代からは一世代以上前で古すぎた。その後、マイ・ギアはいろいろ変遷を重ね、1987年の頃は、グレーのオーリンMark Ⅴにクロのハンソンのスキーブーツ、サロモン727のビンディング、エレッセのワンピースあたりの組み合わせだったかもしれない。基礎スキーをやっていてリアエントリーのハンソンのスキーブーツに手を出した僕は、変わり者といじめられた。しかし、ラングと比べれば足が締め付けられることがないので天国だった。このハンソンというメーカーは今はないらしい。
ちなみに「不撓不屈の鉄人」「バイオレンスヒーロー」と呼ばれたルクセンブルグのマーク・ジラルデリはなんとリアエントリーのブーツ(サロモンSX90EQ)でワールド・カップに出場し、スキーの神様のステンマルクを抜き去った。それからは、基礎系のスキーヤーも、リアエントリーへ脱却を徐々に図ったと思う。ただし、リアエントリーの問題点である操作性(ひざの前傾に制限があることと、足とのフィットが甘くレスポンスに劣ること)から、現在はリアエントリーのブーツは生産されていない。そして、操作性を上げるためインナーブーツを極力薄くしてシェルでのフィットを目指し、それがために足が締め付けられてしまいマゾヒストのような感覚で履いていたラング系のスキーブーツが復活している。
技術的な話で恐縮だが、斜面に対し横向きに位置した場合、下にある足を谷足という。上体は常に谷に向かったままにするが、ターン後半には股関節から下の下半身がクの字に折れて片側の足は谷足(外足)となる。逆は山足。カーヴィングターンの場合、ターン切り替え直後に山足の谷側(インエッジ)のエッジが効き始める。これが、フォールラインを超えた瞬間から谷足となる。「内足・外足」と「谷足・山足」の表現を同時に用いると、説明する側も説明を受ける側も混乱し始めることが多い。
「ターンの時ね、内足持ち上げて引き付けてるだろ? あの癖やめたほうが良いよ」
これは、パラレルターンの後半で山足を持ち上げてスキーの板を揃える優に矢野が言った言葉。山足を持ち上げたときにスキーのトップが上がってポジションが後傾(お尻が落ちた状態)になり、後傾することでスピードのコントロールが難しくなるので止めれと言う意味。
「凍ってるね」
映画の撮影は4月に行われたらしい。だから、映画でのゲレンデのシーンはベタ雪。ユーミンが歌う<派手なターンで転んで 煙が舞い立つ>のは、パウダースノー(小麦粉の様にサラサラの雪のこと)の場合。パウダースノーは「新雪」「アスピリンスノー」ともよぶ。これがコース上に膝、又は腰あたりまで積もっていると幸せな気分を味わえる。誰も滑っていないバーンを「バージンスノー」とか「ファーストトラック」ともいう。ここに綺麗なショートターンのシュプールを残せるのは、最高の幸せ。よく、リフト際など誰もすべっていない場所にシュプールを描いたが、リフトでまた登っていって跡を見ると、いつも誰かが踏んだり横切ったりしている。パイオニアがいればその真似をするやつが必ずどこのスキー場にもいるのだ。
映画では、ヘリコプターやムカデなど基礎系のスキー合宿でみんなとよく遊んだ技が出てくる。そしてジャンプ。スキーを体よりも上に跳ね上げてジャンプするシーンがある。優があきれた顔で見つめるシーンだ。ジャンプのとき態勢が後傾のまま飛び出してしまい後頭部より着地(着雪)することや、不整地にて深いコブで、テールに乗り過ぎてスキーがすっぽ抜け後頭部を強打することを「一人バックドロップ」という。これ、まじ、やばい。打ち所が悪いと昇天してしまう。ジャンプする時は上体を前に出し抱え込むべし。
「万座の灯りだ!」
なんといってもここの魅力は標高1800m、雲上の温泉であること、多量の湧出量と多くの泉質に恵まれていることである。「翼よ!あれが巴里の灯だ」って映画があるけど未見。今度、調べておきます。大西洋横断ヨットでゴールに夜間入港する時は、やっぱり、「セールよ!あれがセントルシア港の灯りだ」ってやるんでしょうか。
「とりあえず」
とりあえずと言ったらビールじゃまいか。映画では、ヒロコが無線でスキー場のロッジのメニューを伝える。「バドワイザー、ハイネケン・・・」ってビールとつまみばっかりでしょうが・・・。
「所詮4駆の敵じゃないね」
スタッドレスでかなりきつい急斜面の雪道を登っていくとき、恐怖からかアクセルを踏み込めず登りきれない4駆がたくさんいる。その横をFFで抜いていくのは快感。もっと快感なのは、FRでドリフトしながらコーナリングする時。いえ、決してマゾではありません。
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「ばーん。」 アイスバーンのことではありあせん。優が矢野に向かって指鉄砲で「バーン!」とやって、コース上で転倒させたのは超有名ですね。この記事を書いてて、懐かしくなって、ビデオを見直してしまいました。その昔は、シーズンのはじめに必ず観ていたので、一つ一つのシーンが思い出のようにすごく懐かしいです。ひとつ気になったのが、この「バーン」。映画では、出会いのシーンと、デート中にスキー板のテールの部分の硬さを調べてる時、デートにすっぽかされた自分に、最後のチョコを渡した時といろんなシチュエーションで「バーン」してるんですけど、いったいどんな意味があるんでしょうね。怒り?愛情表現?どなたか、感性豊かな方の解説をお願いします。
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