tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

雨の白谷雲水峡

2009-11-12 23:42:07 | プチ放浪 山道編

 
 
 
 

【撮影地】鹿児島県熊毛郡上屋久町白谷(屋久島自然休養林)(2009.11月撮影)
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標高620mにある登山口を進むと、最初に迎えてくれるのは切立った岩の壁とその隙間を縫うように流れる滝だ。岩の壁を登ると水辺に出る。
滝の落ちる音をBGM に白谷雲水峡のトレッキングが始まる。朝から降り続く小雨は、しばらくはやみそうもない。
雨のせいか、生い茂るように群生する数百種類の苔は、近寄れば近寄るほど瑞々(みずみず)しく凛とした表情を見せてくれる。まるで、葉や草のような印象だ。

世界地図を覗いても年間雨量4,000mmを超える地域は、赤道付近の島など数えるほどしかない。屋久島の年間8,000mmもの驚異的な降雨は、溶岩からなる屋久島の表層を洗い流す。その一方で、苔に代表される着生植物は水分を蓄えるので、土の代わりになり他の植物の発芽を助ける。成長した植物は、苔の上に葉を広げ、強い日差しによる乾燥を守る。まさに共存共栄。

雨が降るたびに植物の生長に必要な栄養塩も一緒に流されてしまう屋久島の土壌は極貧栄養状態だ。その中で育つ植物はゆっくり、ゆっくりと生長 していかざるを得ない。この生長の遅さは、屋久杉の緻密な年輪と強さをもたらす。普通の杉の約6倍ともいわれる防腐・抗菌・防虫効果がある樹脂を蓄えた屋久杉は、長い年月の間、朽ちることなく生き続けられる。
屋久杉は根につく菌と共生し、自らを生かされ生きることで、屋久島の615種 (蘚類 44科148属340種、苔類34科80属275種)の苔をはじめとして、ヤクシカなどの動物など多くの命を生かしている。

歩く度に森が放つ澄んだ空気を吸い込み、一面の青々とした苔に覆われた草木や岩に目を奪われる。森の中を歩くだけで身体が浄化されるような感じだ。
いくつもの世代更新の枝を生やした倒木に、びっしりと苔がはりつき、鮮やかな黄緑色に光っている。そんな姿を見ていると、屋久杉は“寿命のない樹”ではないかと思えてくる。もはや、果てしなく積み重ねられる樹齢を数えることは意味のないことなのかもしれない。


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