tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

東京ウェーデルン(15)

2007-03-09 20:11:53 | プチ放浪 山道編
続いて、ルソーくん。
ルソーと言えば、アンリ・ルソーを思い浮かべる人、あるいは、ジャン=ジャック・ルソーを思い浮かべる人と人それぞれと思われるが、それは絵画、あるいは、文学に興味があるかどうかの違いであろう。ぼくは読んだことのないが、『社会契約論』の著者としての哲学者ジャン=ジャック・ルソーと彼がどんな関係なのかを、もちろん冗談のつもりで聞き出そうと彼に英語で話しかけた。しかし、ぼくの英語ではどうにも質問がうまく伝わらない。日本語でさえ微妙な質問を英語でするとなると、これはもうボキャブラリーの少ないぼくにはほとんど不可能だった。こうしてぼくの冗談はみごとに滑って終わり。この時に限らず、ガイジンに対しては生活習慣や価値観の違いから、ぼくの冗談はいつも滑りまくっていた。しかし、彼のスキーは本物だった。十数年前に、志賀高原のジャイアントでデモンストレーター選手権に来日していて、練習のため一人で滑っていたガイジンの滑りを偶然に見たことがあった。彼のすべりを見て、それをぼくは思い出していた。
その時、ぼくとそのガイジンは、コブの続くジャイアントコースの上にいた。なんとなく、二人でコースを譲り合っていたのだ。そのうちにかれは、こちらをチラッと目をくれるとおもむろにすべりだした。そのすべりは、普段、階段を降りるようなイメージのスムースなものだった。その頃ぼくは、コブ斜面を流れ落ちる水流をイメージして、コブとコブの間の溝をぬってコブにスキーをぶつけるようなすべりをしていた。だが、このすべり方では凍りついたコブでのスピードコントロールが難しかった。ぼくはその時に、そのガイジンのすべりを見てコブを攻略するすべり方を開眼したのだった。そのすべりとは、2本のスキーの同時操作を要求する渡辺一樹氏の教えによればダメとされるすべり方ではあるが、谷足1本でコブの腹を削りながらすべるイメージのものだった。普段、階段を降りる時に交互に片足を踏み降ろすが、そのようなイメージのスキー操作をすることにより、コブでのターンのタイミングを早くすることができるようになったのだ。その結果、これまではコブに衝突して途切れがちになっていたすべりが、片足で操作することで非常に滑らかにすべれるようになった。それまでは、両足で階段を一段ずつ飛び降りるようにすべっていたのだった。

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