「そうしてまでジーコは勝ちたいんだ」。
その瞬間に、彼がJリーグ初代王者を本気で望んでいることがはっきり見て取れた。
1993年のJリーグ元年で、誰もが記憶するあの瞬間である。多く人が期待を胸に見守り続けていたJリーグ初年度で、サッカーという華やかなスポーツに潜むとんでもない毒に気付かされた瞬間である。名古屋グランパスエイトとの開幕戦ホームゲームで、ジーコのハットトリックとアルシンドの2ゴールの5-0で華々しくスタートしたジーコのJリーグ神話が砕け散った瞬間だった。それまでのサッカー観戦は、正月に行われる高校サッカーがすべてであり、実業団の大会なんてテレビ中継すらなかった。
確かにジーコは、相手がミスをする可能性があれば、違反すれすれのことを何でも実行した。それがプロであるのなら、当然ということだ。敗者に明日はない。
そうした泥臭い行動を、サッカー発展途上国の日本でして見せたのだ。たしかに,その年始まったJリーグの試合には、バブルの絶頂期にあった夢のようなきらめきがあった。しかし,彼のこれまでの数々の世界的な名声を捨ててまで勝ちにこだわったのが衝撃的だった。(to be continued)
♪何をゴールに決めて
何を犠牲にしたの 誰も知らず♪ byユーミン
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