モンゴルの大晦日にあたる日はビトゥーン。「閉じる」という意味らしい。一年の締めの日だ。
この日は朝の家畜たちの世話が終わったら、大掃除の後、お正月の飾り付け。そして、みんながゲルにいるから、久々のテレビのスイッチ・オン。
多くのチャンネルで、ウランバートルで開催中のモンゴル相撲の中継が行われている。大晦日のモンゴル相撲は、国民的な行事であり、抜群の視聴率という。勝者が決まってモンゴル相撲の中継が終われば、番組はモンゴルの歌謡曲。いろんなモンゴルの人気歌手が延々とはやりの歌を歌い、飾り付けの家族もまた、歌に合わせて口ずさみながら仕事を進めていく。
昼と夜ごはんは、ゆでた羊肉(前菜?)から始まって、前もって大量に作って冷凍保存してたボーズ。縁起を担いで幸せを包み込む小麦粉の皮で肉を閉じて蒸した餃子のようなショウロンポウのような料理。そして甘さを感じる乾燥チーズのアーロールがテーブルに並ぶ。〆は羊肉うどんのゴリルタイシュル。
夕ご飯が終わって牛の乳しぼりも終わって、ひと段落すると、おじいちゃんは、ストーブのそばで数日間、解凍していた羊のお尻の肉を大きな鍋で蒸しはじめる。いわば、羊の下半身の豪華な姿蒸し。モンゴルの豪勢なお正月料理の主役だ。
ストーブに石炭をくべガンガン蒸す。そのうち、ゲルの中は、室温が28℃、湿度90%に。真夏の日本の暑さ。
ヒートテックやらなにやらを重ねて厚着していた、ぼくはたまらずのぼせてゲルの外へ一時避難。マイナス30℃の夜風が気持ちいい。
良い加減に体を冷やしゲルに戻ると、またそこは熱帯夜の東京。温度差は60℃近くあってふらふらになる。ゲルの中では、羊の大腿骨を割って骨中の髄をみんなで食べてた。通訳のプージェーが、骨を割るのは「開く」という意味がある・・・とかなんとか説明をしてたような気がするが、もう体の限界。一人だけ床面に広げた寝袋に潜り込んで、比較的涼しい床面で就寝。寝酒とか不要。モンゴルのビトゥーンは蒸し暑く、そして、料理はたまらなくおいしい。。
ちなみに、おじいちゃんが蒸してた羊の下半身の豪華な姿蒸しは、今年は失敗作らしい。どうにも長時間蒸しすぎたようで、下半身の格好があるべき姿にはならなかったようだ。なので、残念ながらお正月のテーブルには乗らなかった。長い人生にはそんなこともある。
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