モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

中世からの語りかけ「旧花野井家の住宅」

2007-08-09 06:56:58 | 近代遺跡
野田市にある清水公園には、17世紀後半のものと推定される古民家が、
国指定の重要文化財として保存・展示されている。

この古民家の旧住人は、花野井家。

江戸時代幕府直轄の牧場を管理する仕事を“牧士(もくし)”というが、
花野井家は代々が小金牧(こがねまき)の牧士を勤めていた。

いまの時代“牧士(もくし)”という職業が何たるかわかりにくいが、
小金牧は、現在の野田市から習志野市までの広大なスペースを有し、
5000頭以上もの放し飼いの馬を育てていたようだ。
近代になり蒸気機関が発明されるまで、馬力は重要な戦略商品であり、
“牧士(もくし)”という職業の重要性が理解できる。

花野井家の住宅は、東関東古民家の典型だそうで、
間口15.451メートル 奥行9.108メートル 平面積142.68㎡というから、
現代においてもさして大きくない住宅サイズだ。



間取りは、現代風に言うと4LDK+土間になる。
囲炉裏を中心にした板張りのリビング(広間)を中心とした生活スタイルで、
このリビングが家のセンターにある。
このリビングを取り囲むように、左手に土間とキッチンである台所かまどがあり、
右手に居室がある。

土間部分は、上下に分かれ、下手の入り口部分が農耕器具など生産にかかわる道具がおかれ、
上手は、かまど3つが置かれ台所となっている。

かやぶき屋根のため、かまど・炉辺の煙は重要な役割があり、煙で薫蒸(殺菌・殺虫)している。
今でも、かやぶき屋根を維持するために時々かまどをたいて煙を出しているそうだ。

土間とリビングルームとは、腰掛の高さぐらいの段差があり、嫁・姑にはつらい段差だったであろう。
土間で食する風習を何故作らなかったのだろうか疑問でもある。
きっと女性の意見を取り入れることなく、
囲炉裏に座って待っている男の目線しかなかったのだろう。

食生活での欠点はあるが、
囲炉裏を中心としたリビングが生活の中心であり、
食・暖・談に関して家族、一家という共同体の結束は固そうだ。

現在の住宅は、玄関から自室に家族の目に触れずにいける構造が多いが、
花野井家のシンプルな構造から学ぶことがありそうだ。






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