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モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

ロシアンセージ(Russian sage)の花

2008-07-04 07:32:01 | セージ&サルビア
(写真)透明感のあるロシアンセージの花


透きとおった青紫のロシアンセージの花が咲きはじめた。

灰緑色の葉と茎。
そこにわずか10㎜に満たない盾と矛を思わせるような小花が咲き
薄青く霞んだような情景を作り出している。

セージの名がついているが、セージが属するアキギリ属ではない。
セージに似た薬臭い香りを発するので、(ロシアン)セージと名付けられた。

ロシアンセージの原産地は、山岳地帯でもあるアフガニスタンの北東部。
山と山の間を絹の道(シルクロード)が通り、いにしえは隊商が行きかう繁栄したところで
この路傍に咲いていたという。

谷間といっても標高3千メートル以上もあるところであり、
苛酷な自然環境に磨かれたたくましさがあり、乾燥に強く耐寒性も強いが、
日本の高温多湿には弱い。
だが、丈夫なことは間違いない。
ほおっておくと大株になるので、春に新芽が出たところで摘心をしたほうが良さそうだ。

(写真)灰緑色の葉と青紫に霞む花


ロシアンセージ(Russian sage)
・シソ科ペロフスキア属の耐寒性がある落葉性の低木。アキギリ属ではないのでサルビアではない。
・学名は、Perovskia atriplicifolia。英名がRussian sage(ロシアンセージ)
・原産地は、アフガニスタン、イランなどの陽が当たる茂みに生育。
・草丈は、1~1.5mだが、摘心をすると50~60㎝に出来る。
・透きとおった青紫の小花が7月~10月頃まで咲く。
・葉は灰緑色の切り込みがある。花壇の奥とか縁取りに適している。
・乾燥に強いが多湿には弱い。
・毎春根元から刈り込む。

名前の由来
perovskia
ロシアの植物学者ペロフスキの名前に因む
atriplicifolia
ラテン語ハマアカザに似た葉atriplici+folia。(folia=folium=folius=fernsラテン語葉leaf)

(写真)大株に育つロシアンセージ


発見者グレイ=ウイルソンとラピス・ラズリ
ロシアンセージは、アフガニスタン北東部にあるBadakhshan州で
1971年に英国人のGrey-Wilson, Christopher (1944- )などによって発見された。

クリストファー・グレイ=ウイルソンは、
ヒマラヤを中心としたアジア、ヨーロッパの山岳の植物相を調査した探険家で、
カーティスのボタニカルマガジンの編集者、キュー王立植物園の科学主任などでもあり
カメラマンでもあり、ライターでもあり、園芸家でもあり、探検家でもあり、科学的な思考も有し
これらを統合したビジュアル化された植物図鑑を出版している。
クレマチスの分類体系の提案者としても知られている。

20世紀にはいると、植物相探索のフロンティアは、さらに極限に向かい
ヒマラヤ、アルプスなどの高山植物になった様子が伺える。

グレイ=ウイルソンたちがロシアンセージを発見したアフガニスタン北東部にあるBadakhshanは、
古代からシルク交易で重要な道が交差するところで、
ラピス・ラズリ(Lapis lazuli)の産地としても知られている。

フェルメールが愛したブルーの原料がラピス・ラズリで大変高価でもあった。

1ヵ月後の8月2日から『フェルメール展』が上野の都立美術館ではじまるが、
フェルメールの代表作でもある『絵画芸術』のブルーも楽しみだ。

(写真)渓谷:ロシアンセージの原産地の衛星写真(by Google)

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ローズリーフセージ(=Salvia involucrata)の花

2008-07-02 07:30:38 | セージ&サルビア
サルビア・インボルクラタ(Salvia involucrata)は、半日陰の森の片隅で
木々に邪魔されても斜めに傾斜して伸び大株に育つ。

1793年にスペインの植物学者Cavanilles, Antonio José(Joseph) (1745-1804)
によって命名されたが、発見者でもあったようだ。

彼のことは、サルビア・パテンスで紹介しているので、参照していただきたい。

(写真)桃のようなつぼみ


英名での“ローズリーフセージ(Rosy-leaf sage)”は、特色のある葉からつけられていて
赤紫の茎と黄色が入った鮮やかな緑の葉は、なかなか新鮮な緑色でもある。
バラのような葉でもないので名前の由来の意味するところが良く理解できない。

葉も新鮮な色合いだが、つぼみ、花は常識を超える代物だ。

最初のつぼみは、まるで、むかし物語“桃太郎”が誕生した“もも”のようだ。
つぼみと書いたが、正確には花を大事に保護する“ほう”で、
中には、これから咲く花のシーズがビッシリと詰まっている。
まさに、色、形とも“おばあさんが川で拾ってきた桃”のようだ。


絵本から抜け出したようなローズリーフセージの原産地は、メキシコ。
“ほう”の中からは、造形と色彩をつかさどる神がいたとしたら
これまでにあったことがない神が差配したかもしれないと思わせるに十分な代物が登場する。

(写真)ローズリーフセージの花


ローズリーフセージ(Rosy-leaf sage)
・シソ科アキギリ属の半耐寒性がある多年草。強い霜に当てなければ、戸外で越冬可能。
・学名は サルビア・インボルクラータ(Salvia involucrata Cav.)、英名がローズリーフセージ( Rose-leaf sage)。
・原産地は、メキシコから中央アメリカ。森の半日陰に生育。
・草丈1.5m、カブ張り1.5mと大株に成長する。摘心で草丈を調整する。
・開花期は、夏から晩秋。桃色の包(ホウ)につつまれた蕾の中から鮮やかな桃色の花が咲く。
・耐寒性はやや弱いが暖地なら越冬可能。性質は強健。枝が斜上しやすい。繁殖は挿し木。

命名時期 Salvia involucrata Cav., 1793
Cav:Cavanilles, Antonio José(Joseph) (1745-1804)

(写真)ローズリーフセージの立ち姿

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ラベンダーセージ(Lavender Sage)の花

2008-06-27 08:25:44 | セージ&サルビア
サルビア・インディゴスパイヤーのことを、日本ではラベンダーセージと呼んでいる。

ラベンダーセージとは、良くぞ名付けたものだ。
黄金のキーワードを2つも持ち、これ以上わかりやすいものがない程よく出来ている。
流通名は本当にわかりやすく設定してある。

だが、こんなラベンダーはないので、ラベンダーに失礼だと思う。
また、正式名称と結びつきにくくなってしまうので修正をしておこう。

サルビア・インディゴ・スパイヤーは、
藍色の(インディゴ)花が、スパイラルのように天に向かって伸びている(スパイヤー)
そんな姿を現している。
発見者が名付けただけあって特徴を良くとらえている。

(写真)サルビア・インディゴ・スパイヤーの花


昨年秋にさし芽で殖やした苗が生長し、草丈90㎝、花穂30と成長し
美しい青紫の花が咲いた。

写真から確認したら5月末に咲いており、晩秋まで咲き続ける長距離ランナーだ。

第一弾が咲き終わる7月頃に思い切った剪定をしてあげないと、
秋の花つきが悪くなるし、台風などの強い風にも弱い。

この花の唯一の欠点は、行儀が悪いことで、支柱と剪定で矯正をしてあげた方が良い。
誕生の歴史などが参考になるかも・・・・

(写真)インディゴ・スパイヤーの花穂


インディゴ・スパイヤーは偶然に発見
サルビア・インディゴ・スパイヤーは、カルフォルニアにあるハンティングトン植物園で、
1970年代に偶然発見され、1979年には普通に栽培できるようになった。

発見者は、ハンティングトン植物園の園芸家マグレアー(John MacGregor)
“ミツバチの好意でつくられた”ハイブリッド種であり

その花姿から、 “Indigo Spires(=藍色のせん塔)”と名付けた。

まさに、次から次と咲く花穂は30cm以上もあり、教会などの尖塔ににている。
ただ、直立ではなく無鉄砲なところがチョッと違うかな?

S.インディゴ・スパイヤーが発見された場所では、
“Salvia farinacea”“Salvia longispicata”が咲いており、両方ともメキシコ原産のサルビアであるが、
この両種が交配して出来たのが“Salvia Indigo Spires”だといわれている。


インディゴ・スパイヤーの親元の履歴
それでは、親元を確認して見なければ・・・・・
“サルビア・ファリナケア”は、日本でもなじみの花でブルーサルビアとも呼ばれ、
初夏から晩秋まで紫色の花を咲かせるが、耐寒性がないため1年草扱いされる。
かつて栽培していたが、1年草は手間がかかるためいまは手を出していない。

もう一方の、 “サルビア・ロンギスピカタ”は、日本ではまだなじみがなく私も初めてだ。

この花は、1840年にメキシコの南西地域で発見され、
発見者はベルギーの植物学者ガレオッティ(Galeotti, Henri Guillaume 1814-1858)
1835年から5年間メキシコの植物相調査を行っており、このときに発見したようだ。

なかなか良さそうな花と思うがどうだろう。

このように確認してみると、
草丈は短いが、花姿は S.ファリナケアから受け継ぎ、
サルビア・ロンギスピカタからは、無鉄砲に発育するところを受け継いだのであろうか?
ハイブリッド品種を作り出す交配に手を出すと、
面白いが、人生の短さをも味わうのだろう! きっと。

(写真)咲き始めの頃はひげが目立つ


ラベンダーセージ(Lavender Sage)
・シソ科アキギリ属の半耐寒性の多年草。関東以西では戸外でも越冬できる。
・学名は、Salvia 'Indigo Spires' (S.farinacea x S.longispicata)(サルビア・インディゴスパイヤー)。
・英名は Indigo spires sage、園芸店では、ラベンダーセージ(Lavender Sage)で流通する。
・ブルーサルビア(Salvia farinacea)とサルビア・ロンギスピカタ(Salvia longispicata)との交配で作られた。といわれる
・草丈は、50~150cm。支柱を立て風対策をする。
・春先に剪定し草丈を低くして花を咲かせることが出来る。
・開花期は、6~10月と長期間咲く。咲き終わった花序はカットすると良い。
・さし芽で殖やす。10月頃に剪定をかねて切った枝をさし芽する。

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ダークパープルが渋い。サルビア・スプレンデンス(Salvia splendens)の花

2008-06-23 07:21:34 | セージ&サルビア
何故か国体などの大きなスポーツ大会になると
真っ赤な花がパレードコースの脇などに植えられている。

この真っ赤な花は、サルビアであることが多かった。
この頃は、この真っ赤な花が嫌いだった。(いまでも嫌いだが・・・)

きれいに整備された競技場に、とってつけたように真っ赤なカーペットを作り、
そして、大会が終わると取り払われる。
主催者の安直な構想での花の選択が嫌いだったのだろう。

だがついに、手を出してしまった。

結構 気にいってしまった。

だが、緋色のサルビアではなく、ダークパープルの花だから。

(写真)S.スプレンデンスの花


もう直ぐ咲き終わるので、葉を1枚残す感じで切り戻しておくと
その下から新しい芽が出て秋にはまたこの花に会えるという。

置き場所は、ブラジルといえども標高が高い高地に自生しているので
高温多湿を避け涼しい半日陰が良さそうだ。

冬でも10度以上を保てれば多年草の性質を引き出せるかどうか試してみよう。

S.スプレンデンス発見者の話
サルビア・スプレンデンスは、
ドイツ生まれの植物学者セロウ(Friedrich Sellow 1789-1831)によって
ブラジルで発見された。

セロウはポツダムの王立庭園の庭師の子供として生まれ、
庭師の勉強を積み、ベルリン植物園で働きながら勉強をし、
1810年にはパリで当時に最高の植物学者であるラマルク(Jean-Baptiste Lamarck)
キュヴィエ(Georges Cuvier)から教えを受け
科学的な植物学に接した。

1811年には、フンボルト(Alexander von Humboldt 1769-1859)の支援を得
オランダとイギリスで勉強をしたが、ナポレオン戦争が始まりドイツに戻れなくなり
縁あって、1814年にはリオデジャネイロに行った。


そこでセロウは、ブラジルを中心に植物探索を行い900以上の新種を発見しており、
ブラジルの植物研究への貢献は素晴らしいものがある。

セロウが採取した植物は、スポンサーがいるロンドンにも送られており、
そのうちの一つがS.スプレンデンスだった。
この花は、当時“Lee's Scarlet Sage”と呼ばれ、
イギリス、ドイツでの夏の園芸商品として人気を博したようだ。

1831年彼は42歳の若さで亡くなった。なんと川で溺れ死んだようだ。

ポツダムの庭師の子供が、当時のヨーロッパ最高の植物学者たちの知遇をえて
これを吸収し、植物学的な真空地帯であったブラジルで花開き
駆け足で一生を走り抜けていった。

その1輪が緋色をしたセージスカーレットセージ(Scarlet sage)を残して。

すでにその機会を失した私は、緋色をしたセージを嫌い
ダークパープルなセージを楽しむことにした。

(写真)S.スプレンデンスの立ち姿


サルビア・スプレンデンス(Salvia splendens)
・シソ科アキギリ属の耐寒性がない多年草だが、越冬が難しいため1年草として扱う。
・学名は、Salvia splendens Sellow ex Roem. & Schult。英名はscarlet sage。別名bonfire salvia(大きなかがり火のようなサルビア)。和名はヒゴロモソウ(緋衣草)
S.コクシネアもスカーレットセージと呼ばれるが、こちらが本筋。
・原産地はブラジル。
・草丈30cm程度。
・開花期は6~10月で花と顎のツートンのダークパープルが美しい。花が散っても顎だけでも様になる。
・花が咲き終わったら切り戻しておくと秋に2番目の花が咲く。

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サルビア・コクシネア'Snow Nymph'の花 & 山本由松 ストーリー

2008-06-20 08:14:10 | セージ&サルビア
(写真)S.コクシネア・スノーニンフの花


サルビア・コクシネアは、アメリカ大陸のテキサス、メキシコ、ブラジルなど
年間を通じて温度が高く、乾燥して腐葉土が多い土壌で自生している。

トロピカルセージとも言われるように
温帯では見られない、ウルウルの光沢がある鮮やかな色彩に特色がある。

ピンクと白の桃源郷のような品種 コーラルニンフ('Coral Nymph’)
緋色ともいえる鮮やかな赤が燃えるように輝いている品種 レディインレッド('Lady in Red' )が有名だが

これは、白一色のスノーニンフ('Snow Nymph')
亜熱帯地方の乾燥したところで、 “雪のように真っ白な美少女”とは幻覚かもしれないが
サルビアでこのように鮮明な白一色も珍しい。

しかも
直立した茎に輪状につぼみがつき、次から次と真っ白な口唇形の花が咲き
ハチドリが大好きなセージでもあり、
羽を高速運動させ、空中に停止しながら蜜を吸う姿は、
白地に浮き彫りになるハチドリの色がさぞや美しいことだろう!!

(写真)スノーニンフの花々


S.コクシネア名前の由来
S.コクシネアは、1770年代に新種としての命名と登録がされており、
この頃からヨーロッパで栽培されるようになったようだ。

そして、そのあでやかな花の色から
緋のような色では → Scarlet sage
血のような真っ赤な色から → Blood sage
熱帯地方の植物なので → Tropical sage
そして、原産地から → Texas sage
など様々に呼ばれている。

それだけまだ共通認識が出来上がっていない植物でもあり、
寒暖の差がある温帯では栽培が難しいことにも一因がありそうだ。

サルビア・コクシネア発見者に日本の“Yamamoto”さんが・・・
キュー王立植物園のデータベースに
S.コクシネアの採取者として
日本の“Yamamoto”がブラジルで採取したと登録されている。

コレクター(採取者)のデータベースで確認すると、“Yamamoto”さんは1名しかいない。
Yamamoto Yoshimatsu (山本由松1893-1947)である。

時代考証的には100年ほどおかしく、S.コクシネアの発見者ではなさそうだが
日本の植物学者・プラントハンターとして面白い存在なので紹介してみる。

山本由松は、1893年(明治26)に現在の福井県鯖江市に生まれ、
福井師範学校を卒業し小学校の教員などを経て、東京大学理学部に入学。
早田又造教授に師事し、正宗巖敬とともに台湾、屋久島の植物の分類学的研究を行った。

在学中に台湾総督府中央研究所の嘱託となり、台湾の植物研究に没頭していった。
1928年(昭和3)には台北大学に迎えられ、
台湾・ジャワ・スマトラなどのジャングルに入り植物探索を行うなど、
約180種もの新種を発見したプラントハンターでもあった。

戦後は、中華民国政府の招きで台湾大学院教授に就任し、台湾の植物学の発展に貢献したが
1947年(昭和22)、つつが虫病に感染しこれがもとで亡くなった。
35年間台湾の植物研究にささげ、
彼を記念した「Yamamoto Yoshimatsu Commemorable Pavilion」が台湾につくられた。

太平洋戦争という激動期を経ているが、
このような純粋に初志貫徹した稀有な生き方が出来たことも素晴らしい。
植物は国境という人為的な境界線を低くする何かを持っているのであろうか?

あいにく、主題であるブラジルに植物探索に行き、S.コクシネアを発見した
という記録にはたどり着いていない。

S.コクシネア発見者である、山本さんは何処に??

(写真)S.コクシネアの花


サルビア・コクシネア‘スノーニンフ’(Salvia coccinea 'Snow Nymph')
・シソ科アキギリ属の耐寒性がない多年草だが、冬越えが難しいので1年草扱いがされる。
・学名、Salvia coccinea(S.コクシネア)。英名Tropical sage(トロピカルセージ)、Blood sage、Texas sage、Scarlet sage。和名はベニバナサルビア。
・白色なので、Salvia coccinea 'Snow Nymph' (Nymph Series)
・原産地はテキサスからメキシコなどの中央アメリカ、カリブ諸島、ブラジルなど
・開花期は、6月~11月。花柄を摘むと脇から新しい花が出る。
・草丈50~60㎝、春先に摘心して丈を詰め、枝を多くする。

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ブラジリアンセージ‘パープルスカイ’の花

2008-06-14 08:15:21 | セージ&サルビア
(写真)赤紫色が美しいブラジリアンセージ‘パープルスカイ’


深いブルーが美しいブラジリアンセージの園芸品種がいくつかあるが、
パープル色が美しい花が咲いた。
じっと見ているだけでも良さそうだ。
ブラジリアンセージのことは6月13日のブログをご覧ください。)


流通では、“メドーセージ・パープル”で販売されていたが、
つけあわせをしてみると、
‘パープルスカイ’(Salvia guaranitica ‘Purple Skies’)のようだ。

これをブラジリアンセージ‘パープルスカイ’と呼ぶことにする。

ブラジリアンセージよりも草丈が伸びないので摘心しないでも高さが調節できる。
繁殖力は旺盛で、鉢が直ぐ一杯になってしまう。
茎の色は、黒ずんだ紫で、光沢のある大き目の深緑の葉が美しい。

これだけでも十分に鑑賞に堪えられるが、
感情豊かな深みのあるパープルの花が咲き、芸術性の評価ポイントを高める。

(写真)美しい葉と花


ブラジリアンセージ‘パープルスカイ’(Brazilian sage‘Purple Skies’
・シソ科アキギリ属の耐寒性がある常緑低木。但し、冬場は、地上部から切り戻しを行う。
・学名は確認できなかったので親元の園芸品種で仮おきしておく、サルビア・ガラニチカ‘パープルスカイ’(Salvia guaranitica ‘Purple Skies’)
・英名はBlue anise sage, Brazilian sage、anise scented sage、流通名がメドーセージ。
・原産地は、ブラジル、アルゼンチンを含む南米。
・花弁が3cm級のパープルの花を6月から秋まで多数咲かせる。
・咲き終わった花穂は切り戻す。
・草丈50~70cmで増殖力が強い。
・夏場に乾燥させないように根元を腐葉土でマルチングすると良い。
・さし芽、株分けで増やす。

(写真)草丈50cm程度


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ブラジルのセージ発見の物語とサルビア・ガラニチカ(Salvia guaranitica)の花

2008-06-13 07:46:56 | セージ&サルビア
(写真)サルビア・ガラニチカの横から見た花


深いブルーの花を、秋まで咲かせるサルビア・ガラニチカ。
見るものに、元気と落ち着きを与えてくれる。

梅雨のような嫌な雨の日でも、
この花にはネガティブマインドを吹き飛ばす力がありそうだ。
それだけ、このブルーには元気と勇気にあふれる生命力が潜んでいそうだ。

英名では、アニスセンテドセージ(anise scented sage)と呼ばれ、
アニスのような香りがするセージと表現されているが、
それほど強く香りを感じることはない。

この花にかかわらず、セージ類は花柄とか枯葉を摘むと薬草のような独特の香りがする。
この香りに“不老長寿の伝説”があり、頭脳を明晰にする何かがあるのだろう?


このS.ガラニチカの別名は、バラバラで統一性にかける。
日本では、一般的に“メドーセージ”と呼ばれているが、
本物のメドーセージは別種なので、使い慣れた名前にさようならをすることにした。

英名のアニスセンテドセージ、原産地ブラジルの名がついたBrazilian sage
味気のない学名などを検討していたが、命名者、採取者を見て驚いた。

そこには、不老長寿の伝説を信じてもよさそうな物語があった。

(写真)サルビア・ガラニチカの正面から見た花


ブラジルのセージ 発見者の物語
S.ガラニチカは、1882年8月に学名が登録されており、採取日はこれより前になる。
その学名は、「Salvia guaranitica A.St.-Hil. ex Benth.」であり、
なんと命名者の一人が、英国の植物学者 George Bentham (1800-1884)だった。
シソ科の権威でありこの時期の中南米の植物の体系を整理していたことがこれでわかった。
(注1)ベンサムは、ボッグセージ、ヤマボウシに登場。
(注2)A.St.-Hil.は、フランスの植物学者サン=チレールSaint-Hilaire, Auguste François César Prouvençal de (1779-1853)。 
1816年から6年間ブラジルRio de la Plataで調査を行い、多くの動植物の標本をパリに持って帰った。現在はパリ自然史博物館のコレクションになっている。


この、ブラジルに咲くセージを採取したのは
コペンハーゲン生まれで病弱なレグネルだった。

Regnell, Anders Fredrik (1807-1884)は、裕福だが家庭的には恵まれない家に生まれ、
17歳の時に医学校に合格し、ウプサラ大学のリンネ派の先生の影響もあり植物学に興味を持つようになった。

1837年に卒業し1840年にはブラジルにわたった。
肺からの出血が止まらず健康的にすぐれないので、スウェーデンから遠い南国への転地でもあった。
この病は、ブラジルへの船旅中に回復したというから転地療法がうまくいった。
セージとは関係なかったのだが・・・・・

リオデジャネイロの医学校に入学し、カルダスという小さな村に生涯住むことになる。
ここに、土地とコーヒー園を取得し、コーヒーが順調に伸びて財を形成することになる。
この財産を一生の道楽である植物の調査探索と研究のために使った。
膨大な植物と標本を収めるハーバリウムを作り、多くの植物学者がここに滞在した。
カルダスという小さな村でのレグネル植物館は察するに相当目立ったことだろう。

これだけなら単に植物好きの偏屈な独身金持ちで終わったが、
母国スウェーデンにブラジルの植物研究を進める基金をつくり、
植物調査などを支援する“Regnellian Herbarium”設立の資金提供を行った。
設立された“The Regnellian herbarium”には、
中南米カリブ海などアメリカの植物標本40万件が集約されているそうだ。

今では世界の科学振興の基金となっている“ノーベル賞”は、
1901年にノーベル(1833 – 1896)の遺言ではじまったが、
これよりチョッと前に、南米の植物の範囲で、レグネルの研究支援が始まっていた。
ノーベル賞は、贖罪的な要素もあるが利益を社会還元するスケールの大きさに感心するが、
的を絞ったレグネルのドネーションも素晴らしい。

ブラジルのセージ S.ガラニチカは、採取日不明だが、レグネルの標本館にあった。
このセージは、健康と勇気と社会貢献を教えてくれるセージでもあり
不老長寿の伝説を創る1話となっても良さそうだ。

実際は、船旅で治ったのだが、
大きな物語の中では目をつぶる真実ということだろうか・・・
或いは、不老長寿は、個人の人間ではなく、人間の社会であると解すべきか??

ということで、
このセージを、“ブラジリアンセージ”と呼ぶことにしよう!!

(写真)ガラニチカの茎と葉


サルビア・ガラニチカ(Salvia guaranitica)=ブラジリアンセージ
・シソ科アキギリ属の耐寒性がある常緑低木。但し、冬場は、地上部から切り戻しを行う。
・学名は、サルビア・ガラニチカ(Salvia guaranitica A.St.-Hil. ex Benth.)。
・英名はBlue anise sage, Brazilian sage、anise scented sage、流通名がメドーセージ
・原産地は、ブラジル、アルゼンチンを含む南米。
・花弁が3cm級のブルーの花を6月から秋まで多数咲かせる。
・咲き終わった花穂は切り戻す。
・草丈50~150cmと大柄で、増殖力が強い。5月までに摘心を行い丈を調節し、花穂を増やす。
・夏場に乾燥させないように根元を腐葉土でマルチングすると良い。
・さし芽、株分けで増やす。

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淡いブルー、ソライロの花 ボックセージ(Bog Sage)

2008-06-10 07:55:57 | セージ&サルビア
夏日になりそうです。
こんな快晴の天気の時にフィットする花を届けます。

(写真)ボッグセージの立ち姿


初夏から晩秋まで咲き続けるボッグセージ。
ウリカのように夏休みもせず実直に咲き続ける。

南米ブラジルからアルゼンチンまでの湿地帯で自生し、
次から次へと花穂を伸ばし、淡い空色の花を咲かせる。

湿地(ボッグBog)で咲くので、ボッグセージという英名がついた。

この淡い空色の花色は、
冷涼感があり、夏日には気持ちの良い涼をもたらす。
が、陽の光がない真っ暗な肌寒い時は、何ともいえないもの寂しさをもたらす。


毎年春先に鉢がえをしてきたが、4年ぐらいで株が弱くなってきたので、
昨年10月にさし芽を5本作った。
冬場も無事乗り切り、5本とも成長し、花を咲かせている。
霜をあてないようにし、腐葉土でマルチングをしておけば翌年に花をつけることが出来る。

(写真)ボッグセージの花


ボッグセージの発見と命名
このボッグセージは、1830年にブラジルで発見されたが、
採取者はわかっていない。
この頃には、民間の栽培業者(ナーセリー)がプラントハンターを派遣するようになってきたので、
記録に残らない無名のハンターであったのかもわからない。

或いは、
南アフリカでガザニアを発見したバーチェル・ウイリアム(Burchell, William John 1781-1863)
かもわからない。

彼は1825~1830年にブラジルを旅行し、20,000以上の昆虫を含む多数の標本を集めた。
これらは全て紛失しているようだが、時期的にはピッタリであり可能性がありそうだ。

珍しい、美しいに価値を見つけた新種の発見は、
薬用とか経済的に有益である価値観から外れており、経験と蓄積が必要な時代だと思う。
ガザニアを発見したバーチェルなら、ボッグセージの素晴らしさも理解出来たろう。

種の発見者はわかっていないが、命名者は明確であり、
学名 サルビア・ウリギノーサ(Salvia uliginosa Benth.)は
英国の植物学者 George Bentham (1800-1884)によって命名された。

彼は、リンネ(Carl von Linné 1707-1778)が提唱した生物界全体の体系に対して
リンネの体系の人為的に分類しすぎている問題を解決するために、
進化のプロセスを取り入れた系統的な分類法を提唱し、
一部では、19世紀最大の植物学者とも評価されているようだ。
現在では、さらにDNA鑑定などを取り入れ、系統的な分類体系が検証されている。

このようなことは、日常の園芸ではあまり関係がないが、
園芸業者にとっては、品種改良などで気にしておかなければならないことだろう。

また、ベンサムの活動に敬意を払い、ヤマボウシの属名に彼の名前がつけられているが、
このことには驚いた。
ヤマボウシの学名は、Benthamidia japonica (Sieb.et Zucc.) Haraだが、
なんだか盗まれた感が否めない。

西洋から見れば発見だが、原産国から見れば盗用、無断利用、権利侵害であり、
ここを我慢して記録・歴史を学習する必要がある。
また、世界の美しい花の恩恵を享受している現実を否定してかかる必要もない。

(写真)咲きはじめの色


ボックセージ(Bog Sage)
・シソ科アキギリ属の多年草。耐寒性・耐暑性強い。
・学名、サルビア・ウリギノーサ(Salvia uliginosa Benth.)。英名ボッグセージ(Bog sage)
・原産地はブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンなどの南米
・ボック(湿地、沼地)に生息。
・開花期は、6月~11月と長く、ソライロの美しい花が次から次へと咲く。
・夏場は水切れしないように腐葉土・ワラなどで根元をマルチングする。
・冬場は、花後に根元から10cm程度を残しカットし、霜対策で根元をマルチングする。
・草丈50~80cm。台風の時期は支柱を立てる必要あり。
・地下茎で繁殖し、繁殖力旺盛なので枝を整理する。鉢植えの場合は根づまりに注意。
・株分け、さし芽で増やせる。花後の10月にさし芽をつくったが関東以西ならば比較的容易に栽培できる。

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サルビア・シナロエンシス、又は、コスミックブルーセージの花

2008-06-09 06:36:32 | セージ&サルビア
(写真)S.シナロエンシスの花


学名がS.シナロエンシス、流通では“コスミック・ブルーセージ”で通っている。

赤紫の茎と緑の中にこの赤紫が入った葉は、
原産地メキシコのシナロアの山麓の地肌にあわせ目立たない存在となっているが、
そこから茎が伸び、最初は倒れ気味に、そして徐々に直立する。

その茎の周りに輪状につぼみがつき、陽の当たる方向から開花する。

花は、5~10㎜程度と小さいが
濃いブルーが陽に当たりさらに青を増す。
花びらの中央に白い線が二本入り、
遠くから見た飛行機の着陸誘導線のようでもあり、蜂たちを誘っているかのようだ。

S.シナロエンシスは、草丈15~20㎝程度で横に広がる。
グランドカバーとしても利用され、秋ごろからの赤紫に染まった葉にも魅力がある。

昨年は、初夏に咲き一休みし秋に復帰するが、昨年はここからが不調で、
夏場に思い切って株のカットと鉢がえを行い
株が成長し始め、やっと蘇生した感がある。

初夏のブルーの花が駆け足でやってきており、
素晴らしい特色のある花を咲かせる。

英名が“ブルーブッシュセージ”の「サルビア・ウリカ」
そして、「サルビア・シナロエンシス」は、“コスミックブルーセージ”。
英名にはいずれもブルーが入るメキシコ原産の植物だ。

(写真)輪状につく花


S.シナロエンシス発見にまつわる人々
メキシコのシナロアで発見されたので、シナロアセージとも呼ばれるが
発見者はRose, Joseph Nelson (1862-1928)で、
この花が最盛期の1897年7月 Sierra Madreの山麓にあるシナロアで採取した。

彼は、米国の植物学者で、米国農務省で働き1896年にはスミソニアン博物館の副館長になる。
また、国立博物館に雇用されている頃には、サボテン、パセリなどを含む領域でのアメリカでの権威となり
メキシコ探索をたびたび行い、採取した標本をスミソニアン博物館、ニューヨーク植物園に提供した。
この中にS.シナロエンシスが入っていた。

わき道にそれるが、
ローズは,サボテンに関して、植物学者・分類学者および最初のニューヨーク植物園長である
ブリトン(Nathaniel Lord Britton 1875-1934)との共同研究を行い、
その植物画を描いたのは、英国生まれのMary Emily Eaton (1873-1961)だった。

彼女は、イングランドのサマーセットにある美術学校を卒業し、
1911年~1932年までニューヨーク植物園にアーティストとして採用される。
彼女が描いたサボテンの植物画はサボテンの魅力を高める素晴らしい絵となっている。

(写真)S.シナロエンシスの茎と葉


サルビア・シナロエンシス(Salvia sinaloensis‘Cosmic Blue’)
=コスミックブルーセージ(Cosmic blue sage)
・シソ科アキギリ属の半耐寒性名多年草。
・学名は、サルビア・シナロエンシス(Salvia sinaloensis‘Cosmic Blue’)。
・英名がシナロアセージ(Sinaloa sage)、シナロアブルーセージ(Sinaloan Blue Sage)
・流通名は、コスミックブルーセージ。
・原産地はメキシコのシナロア州。それで、シナロエンシスといわれる。
・花の時期は6月~10月。夏休みがあり秋にまた咲き始める。
・草丈 30cm ~ 50cm でほふく性がある。グランドカバーとしても美しい。
・半耐寒性の多年草だが、関東では戸外で越冬する。ただし、マルチングする。
・日あたり、水はけがよく、軽い乾燥した酸性土壌を好むのでピーとモスを混ぜるとよい。
・葉は、秋には紫色を帯びる。

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美しいディープ・ブルー・バイオレットの花 サルビア・ウリカ(Salvia urica)

2008-05-30 07:55:26 | セージ&サルビア
肌寒い曇り空だがその中で2cmぐらいの大き目のブルーの花が一気に咲いていた。

(写真)  deep blue-violetの花


ディープ・ブルー・バイオレットともいえる深い青紫のすばらしい花が咲いた。
この花を見ていると、暑さもしのげそうだが、
真夏には長期休暇をとるしっかりモノでもある。

“いい仕事をするには、休まなければならない!”
ということを訓えてくれているのだろう。
ウリカの花が咲かなくなったら夏休み。これがメッセージであり
忙しいビジネスマンにお奨めしたい植物でもある。
そうあなたです!!

(写真)上から見てみました


サルビアウリカの歴史
メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの暖かく湿った山腹で自生し、
美しいディープ・ブルー・バイオレットの花を咲かせていたが、
この美しさに気づき歴史(欧米の)に登場してきたのはつい最近で、
新種として命名・登録したのがEpling, Carl Clawson (1894-1968)だった。

彼は、この時代のアメリカ大陸でのサルビア属の権威でもあったが、
美しい青紫の花を咲かせるサルビア・ムエレリの命名者でもあった。

彼にこのようなチャンスが残されていたのは、
薬草などの有用植物は、秘匿されていたにしてもコロンブス以降積極的に調査・採集されたが
中南米での有用でない美しいだけの花に関心が向いたのが20世紀だった。
ということを意味しているのだろう。

日本にいつ入ってきたか定かではないが、現時点でもポピュラーではないようだ。
審美眼は人によって異なるが、育てるのがさほど難しくはなく
深いブルーの美しい花は、
休むことの大切さを気づかせ、こころのケアーに有用なのだが・・・


サルビア・ウリカの栽培
耐寒性が弱い宿根草だが、-3℃まで耐えられるようなので、
花が終わった12月頃に切り戻し腐葉土などでマルチングをしておくとよい。
積雪にも耐えてきているので根を守れば庭でも栽培が出来る。

夏場は、暑い陽射しを避ける半日陰が望ましく、
乾燥させないように水遣りに注意する。
3年目には結構な大株になるので、一回り大きい鉢にかえるか新しい株を作っておく。

昨年秋にわき枝をカットし、さし芽で4本作っておいたが
これが順調に生育し、この株に見事な花が咲いた。
屋根の下でのさし芽でも越冬できたので、結構丈夫な植物のようだ。

ちなみに
親元のウリカは、今春に全滅してしまった。
危機一髪で子孫を残したことになる。
全滅した原因は、根づまりをおこし過剰な水分で弱ってしまったためであり、
教訓として、大好きな花木は、10月頃にさし芽をつくっておくことを学んだ。

(写真)さし芽で育てたウリカの花穂と葉


サルビア・ウリカ(Salvia urica)
・シソ科アキギリ属の耐寒性がない多年草。
・学名は、Salvia urica Epling。英名はブルーブッシュセージ(Blue Bush Sage)。
・原産地は、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの暖かく湿った山腹で自生。
・草丈は50cmぐらいで株張りが50cmと旺盛。
・耐寒性が弱いので強い霜に当てないようにする。
・日あたり、水はけの良い肥沃な土で、あまり乾燥させないように育てる。
・夏場は風通しの良い半日陰でそだてる。
・開花期は初夏と秋で、5月末~6月、9月~10月で夏場は休む。
・10~20cmぐらい育ったところで、摘心(1~2回)を行い枝を増やす。
・株が古くなると弱くなるので、3年目ごとにさし芽で増やす。

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