10月1日から7日まで、中国は「国慶節(中国建国75周年)」連休だったのだが、この期間に延べ19億人余りが国内を移動したと報じられた。国慶節連休期間の7日間は、中国国内の高速道路は全て無料となるため、全国的にどこも大渋滞が発生。また、この連休を利用しての海外旅行者の出入国者数は約1300万人との報道なので、海外に行って(出国)、戻った人(入国)の実数は約650万人となる。海外旅行先人気1位は日本との報道も。
国内の有名な観光地はどこも多くの人の波となっていた。万里の長城や黄山などの、この期間の映像をみると人がすし詰めの状態で進んでいる。私もかって、この国慶節期間に福建省の武夷山(世界遺産)に行ったことがあるが、このようなすし詰めだったので、山登りも少しずつしか進めず、ちっとも疲れなかったというか、頂上まで行くのにものすごい長時間がかかったことを思い出す。
中国に関する日本の報道番組「看中国」では、「中国で1日から大型連休—経費を抑える旅行が大人気」と題した報道がされてもいた。
私は10月2日(水)から日本に一時帰国し、9日(水)の夕方に中国に戻った。10日(木)、11日(金)、そして12日(土)[※この日は10月7日月曜日の振替出勤・授業日]と三日連続の大学での授業。12日(土)の早朝、アパートからバス停に向かう途中、「閩王(びんおう)廟(びょう)」前には、廟の何かの行事のために赤いバルーンなどの飾りつけが行われていた。(※「閩国」—唐が滅んだ907年から、960年までの間の「五代十国」時代に、現在の福建省を中心に存在した国。十国の一つ。)
「閩王廟」の近くには、軽トラ(自動二輪車[バイク]に荷台が付いたもの)に、ものすごく荷物を山のように積んで駐車している。露店(屋台)の荷車を押している30代くらいの女性が道を行く。バス停には農民工の50代くらいの女性が、建築・土木現場で使用するヘルメットやスコップ、ホウキ🧹・チリトリなども持って、二人座っていた。
アパートから1時間半余りをかけて閩江大学正門(南門)に着き、大学構内に入ると金木犀(キンモクセイ)の香りが漂っていた。研究室(自室)のある福万楼付近も金木犀が多く、大学構内にはおよそ50本余りがあるようだ。
研究室でしばらく休み、授業を行う教学楼の建物群に向かう途中の水辺。小舟に乗り、蓮の葉の手入れをしている女性の姿。中国風石橋付近も金木犀の香りが漂う。
午前中の授業を終えて、大学食堂で昼食をとり、レンタル自転車で大学正門に向かう。アパートに戻るため、またバスに乗る。
10月15日(火)の昼過ぎ、この日は授業がないので、アパートからほど近いコピー屋さんに、授業で使う学生用資料をコピーに出かけた。住宅団地入口付近では、昼休みに市内各地から集まった農民工の男たちが十名あまり、路上わきで賭けトランプをしたり、思い思いに休んだりしているいつもの光景。
近所の食堂に向かう途中、住宅団地に暮らす高齢者たち十数名が集まってトランプを楽しんでいる、ここもいつもの光景。しょい篭(かご)に小さな子供を乗せて歩いているお母さんの姿も。電動バイクに小さな子を後ろに乗せているが、よく見るとお母さんと子供は、落ちないようにベルトで結ばれている。(※免許取得も必要のない電動バイク。この小さなバイクに、3人乗りは当たり前で、4人乗りもよく見かける。運転する人の前に子供が一人がしゃがみ、運転者の後方には、大人が1人。そしてその大人と運転者の間に小さな子供。)
10月16日(水)の午後3時半頃、アパートから最も近い警察署に行き、「外国人居住証明書」発行の申請に行った。(通訳のために、3回生の譚さん・黄さんも同行。) 申請が終わり、彼女たちとともに福州市内中心地にある日本料理店「古都」に久しぶりに行くこととなった。
10月11日、2024年ノーベル平和賞が「日本原水爆被爆者団体協議会(被団協)」に授与されるとの発表。ウクライナとの戦争でロシアのプーチン大統領は戦術核兵器(小型核兵器)の使用に言及したり、中東での戦争でも核兵器使用がうわさされるなど、核兵器の使用が現実味を帯びている世界情勢だけに、この受賞は意義もある。中国でのネット報道でもこの受賞は取り上げられていたが、記事の扱いはとても小さい。
10月17日、俳優の西田敏行さんが亡くなったことが報道された。(享年76歳) 中国外交部(外務省)の毛寧副報道局長は定例の会見で、この西田敏行さんの死去を悼む声明(中国人民の「古き良き友人」として)を出した。中国外交部が日本人の死去を悼む声明を出すのは、昨年2023年10月の谷村新司さん以来となる。
西田敏行さんは、1988年に日中合作映画として公開された「敦煌(とんこう)」(原作・井上靖)に出演(他に佐藤浩市・中川安奈など多数の日本人俳優)に出演して以来、「日中文化交流協会」の一員として、亡くなるまで活動もしていた人だった。
今日10月19日(土)の、アパートの窓から見る秋空のイワシ雲(鱗「うろこ」雲)の光景。でも今日の最高気温は33℃の真夏日。昨日18日(金)は35℃のうだるような猛暑日。亜熱帯地方にあるここ福建省福州市は、5月上旬から10月下旬までの約半年間は夏の季節。11月になると、ようやく秋めいた過ごしやすい気温となる。昨日の大学構内の金木犀の花は枯れて、漂う香りもなくなっていた。