彦四郎の中国生活

中国滞在記

トランプ大統領の再来に世界は揺れ動く➋—バンス副大統領演説の衝撃、自らを王に見立てるトランフ、3年間の戦時下が経過したウクライナの人々

2025-03-27 20:48:40 | 滞在記

 2月14日、NATO加盟国がドイツのミュンヘンに集まり、「ミュンヘン安全保障会議」が開催された。この会議にアメリカ政府代表として参加したバンス副大統領は、異例の欧州NATO諸国(特にイギリス・ドイツ・フランスなど)を次のように批判する演説を行った。「欧州が最も懸念すべき脅威は、ロシアでもない。中国でもない。欧州内部自身だ。」と演説した。

 欧州内部自身の問題(懸念)とは、イギリスやドイツ、フランスなどヨーロッパ主要国の現政権(民主主義を標榜し、右翼ポピュリズム勢力と対峙している。)に対する批判であり、この演説は、ロシアや中国のみならず、欧州の右翼ポピュリズム勢力を勢いづかせる演説内容だった。このバンス副大統領の演説について、トランプ大統領は、「素晴らしい演説だった」とバンス副大統領をほめそやした。

 バンス副大統領はこの演説の中で、欧州各国の(民主主義)政権が、(特に右翼ポピュリズム勢力などにもよる)ニセ情報のSNS規制強化を批判。「(懸念とは)欧州がアメリカと同じ価値観から後退することだ。欧州が言論の自由から後退していることを危惧している。"移民排斥"を訴える政党が欧州で支持を広げることを希望している」とし、「ワシントンには新しい保安官がいる。トランプ氏のリーダーシップのもと、欧州の言論の自由を守るためにアメリカは戦う」と演説した。この演説は「バンス演説の衝撃」として、世界に衝撃を与えた。

 この演説に先立つ2月8日、スペインで、「欧州議会極右会派集会」が開催され、フランスのルペン党首やオランダのウィルターズ党首、ハンガリーのオルバン首相(ロシアとの関係が深い)など、欧州各国の右翼勢力が一堂に会した。バンス演説はこれらの欧州の右翼ポピュリズム勢力のみならず、世界の同勢力を勢いづかせるものとなった。

 —トランプ氏が自らを王に見立てた—2月21日、アメリカ大統領府のホワイトハウスは、トランプ氏が自らを王に見立て王冠を被った写真に「王様万歳!」と記したものを全世界に向けて投稿した。バンス演説といい、このような投稿といい、「民主主義とは、あまりにかけ離れた」というか、「民主主義を敵視さえしている」様相を呈しているトランプ政権でもある。

 そして、アメリカ国内では、共和党党員であれ民主党党員であれ、両党の議員であれ、トランプ政権を個人が批判することさえも、躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ない、かなり決意のいることとなっているようだ。批判すればトランプ氏を熱烈に、狂信的に支持してる、2020年に連邦議会を襲撃したようなトランプ信者の集団からの猛烈な批判・抗議行動にさらされることを恐れるからだ。民主主義制度崩壊の深刻な危機にアメリカもある。

 2月18日から、サウジアラビアでアメリカとロシアの高官による「ロシア・ウクライナ」の停戦交渉が始められた。当事国であるウクライナを会議には参加させず、欧州からも参加させない、ウクライナの頭越しの、ロシア寄りの停戦交渉。

 2月19日には、「ウクライナのゼレンスキーは独裁者だ。彼は4%の国民の支持しかないのに、大統領の座に居続けている。彼は、(大統領になる前の)コメディアンとしてはそこそこに成功したが、このロシアとの3年間の戦争の間、何も成し遂げられていない、実績を残してもいない。プーチン大統領が望めばウクライナ全土を占領できるだろう。これまでアメリカがウクライナを支援するために使った金額の見返りに、ウクライナ国内のレアメタル鉱山の権利をアメリカにわたせ」などと、ゼレンスキー大統領を罵(ののし)った。

 この4%という数字は、ロシア側が主張している数字。実際には、今年2月上旬に信頼できる機関が行った支持率調査では、1年前より下がったとはいえ、57%が「ゼレンスキー大統領を信頼し支持する」というのが正確なものだったにもかかわらずだ‥。

 2025年2月24日、ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略・進攻が始まって、まる3年間が経過した。首都キーウのみならず、ウクライナ全土で多くの犠牲者を弔う集まりが行われた。この日もロシアによるミサイル攻撃が首都で行われた。

 トランプ大統領とプーチン大統領による、ウクライナの頭越しの停戦交渉や、トランプ大統領のウクライナ国民に対する態度、ゼレンスキー大統領を馬鹿にした言動などに、「トランプ氏は、ロシアを被害者のように扱っている。とても嘆かわしい」と憤るウクライナの人々の姿が報道されてもいた。

 この3年間の戦闘や空爆などにより、多くの犠牲者が生まれた。TBSの「報道1930」の報道番組によれば、ウクライナでは、兵士の死者4万5100人、民間人の死者1万5000人以上、兵士や民間人の負傷者は約39万人にもそして、国土の20%がロシアに占領されている。一方のロシアは、兵士の死者は17万2000人、負傷者は61万1000人。

■前号のブログで紹介した、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の「トランプが当選した理由」について語るインタビューは、youtubeでは9分くらいのものもある。(上記写真)前号で記さなかったが、人々を「愛国主義」へと過度に煽りたてる主張も人々を惹きつけるとサンデル教授は述べている。「アメリカンファースト」「アメリカを再び偉大な国へ」という呼びかけだ。これに人々の多くは惹きつけられ、誇りのようなものを感じる。「カナダやグリーンランドの領土化、パナマ運河の所有」などの発言や、「ガザ地区のアメリカ所有」などの発言も、この過度な愛国心や「アメリカを再び偉大な国へ」と、リンクする言動だ。

 これは中国では習近平主席の「中国の夢」、ロシアのプーチン大統領の「ロシアを再び偉大な国家に」と合い共通する。過度なまでの国粋的なプロバガンダである。

 

 

 


異形の米国政権・トランプ米大統領の再来に世界は揺れ動く➊—世界各国の主権をも脅かす政権が米国でなぜ再来したのか

2025-03-26 20:48:16 | 滞在記

 昨年2024年11月に行われたアメリカ大統領選挙。トランプ大統領(共和党)は「圧勝して圧倒的な国民層からの信託を得た」と主張しているが、一般投票の得票率ではハリス候補(民主党)とは2%程度しか差がついていなかった。連邦議会上院・下院ともに多数をとったが、議席差は歴史的といって言いほどの僅差であった。(上院が共和党51・民主党47・空席2、下院が共和党219・民主党215・空席1。)

 次回の連邦議会上下両院の中間選挙は、2年後の2026年11月に行われる。共和党と民主党の議席数差がわずかという、トランプ大統領にとっては厳しい状況を打破する必要があることも相まって、2025年1月20日のアメリカ第47代大統領就任式を待たずして、矢継ぎ早に様々な政策を言明し始めることとなった。

 「カナダをアメリカの第51番目の州にしたい」「(デンマーク領である)グリーンランドを買い取ってアメリカのものにしたい」「パナマ運河をアメリカのものに」などと、世界に向けて言い放つなど、世界を唖然とする言動を、大統領就任前から連発。これまで、アメリカと強い同盟関係が続いていた隣国のカナダ国民は、この国家主権をないがしろにする侮辱的なトランプ氏の発言に大きな怒りとアメリカ不信をもつこととなった。また、不法移民対策強化のために、メキシコやカナダに高い関税をかけると圧力(脅し)をかけながら、不法移民のアメリカ入国阻止を強力に行えと迫る。さもなければ高関税の実施だと‥。この圧力(脅し)により、カナダ・メキシコ両政府は、今後、アメリカとの国境での移民対策を行うことを発表した。

 このトランプ次期大統領の言動や行動などにより、アメリカと国境を接する二つの国民は、(長く支え合ってきた)アメリカという国から、大きく心が離れていくこととなったと思われる。

 そして、2025年1月20日、トランプ大統領の就任式(トランプ2.0)が行われた。1月21日・22日付の朝日新聞には、「トランプ大統領就任—初日に政策大転換—トランプ印政策連打 バイデン路線否定する大統領令」「WHO・パリ協定離脱 来月から関税25%方針」「性別は男と女の他にはない トランジット性否定政策」「20年米国連邦議会襲撃1500人に恩赦」などの見出し記事の政策を発表。朝日新聞社説には、「トランプ政権と国際社会—米国依存から脱する新秩序を」が掲載。

 そして、トランプ新政権の重要閣僚として、バンス副大統領、ルビオ国務長官、ヘグセス国防長官などの名前や、イーロン・マスク氏などの名前が並ぶ。いずれもトランプ大統領に忠誠を誓う「イエスマン」たちと論評される閣僚人事だった。

 2月6日付朝日新聞には、「トランプ氏"米国がガザ所有"全住民の域外移住を主張—独仏"実行なら国際法違反"と批判」「ガザ 野心にじむ"極論"—リゾート地挙げ"世界の人々が住む"地と」「トランプ氏"米国がガザ所有"  実現性・敬意欠くビックマウス」などの見出し記事。

 このトランプ大統領のやりたい放題の発言(発表)もまた世界に衝撃を与えた。さらに、大統領のホワイトハウスからは、米国領となったガザ地区の海岸で、トランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が、リゾート地化した浜辺でくつろぎ余暇を楽しむ姿などのAIを使って製作された30秒ほどの動画を投稿。

 同動画では、空から浜辺に舞い落ちてくるドル紙幣を拾おうとしているガザ地区の子供たちの姿や、ガザ地区に立つ巨大な金ぴかのトランプ大統領像などもホワイトハウスから全世界に向けて動画が投稿された。これを見たガザ地区の住民たちの、侮辱された怒りの気持ちはいかほどだろうか‥。トランプという男のちょっと異常とも思える言動だと世界は感じただろう‥。もう、アメリカという国への敬意も‥。

 このようなトランプ大統領の言動や矢継ぎ早の政策実施に対し、「米国はもはや"恐喝集団"」「トランプ大統領は"(暴力団)マフィア"」「米国の"恥"」などの批判も上がる。

 トランプ大統領就任から約2週間が経過した2月6日、訪米した日本の石破首相は、ホワイトハウスでトランプ大統領との初会談に臨んだ。2月下旬発売の『News  Week』誌(3月4日号)には、「破壊王マスク」と題された表紙の特集記事。トランプ大統領の重要閣僚の1人として、ドイツなどヨーロッパ各国での右翼政党(ポピュリズム政党)躍進への揺さぶりをかけたり、アメリカの行政機構の生成AI(生成人工知能)の性急な導入化による、これまでの人による官僚・行政機構を破壊しようとしていると報じられる。

 得票率的には2%の僅差での勝利であったが、昨年11月のアメリカ大統領選挙に勝ったトランプ氏が「なぜ選ばれることになったのか?」ということについて、アメリカの政治学者であるハーバート大学のマイケル・サンデル教授(71)は、朝日新聞のインタビューに応じた。そのインタビュー内容の要約が1月24日付朝日新聞に掲載された。このインタビュー記事は、トランプという異形の大統領を再選させたのはなぜなのか?を考察するうえで、とても参考になる。

 「働く尊厳を取り戻すために—新自由主義の欠陥 尊敬や承認の欠如 暗黙の侮辱への憤り」「公の場の再構築と"生産者"の再評価—無力感の克服にも」と題されたインタビュー記事。「トランプ米政権がとうとう再始動した。米政治哲学者マイケル・サンデルさんは、富の偏在にとどまらない尊敬や名誉、承認を巡る不平等が、異形の政権を再来させたとみる。長く見過ごされてきた"暗黙の侮辱"とは何か。どうすれば働くことの尊厳を人々の手に取り戻し、民主主義を立て直せるのか。」と、この記事の前置きに書かれている。

 このマイケル・サンデル氏の論評は、you tubeで視聴もできる。(1時間ほどの全編論評)。これを要約したものが朝日新聞の記事内容とはとても近い。

■トランプ氏のような世界の右翼ポピュリズム政治家に共通しているのは、基本的に、不法移民の排斥・強制送還などを伴う「反グローバリズム主義」や「自国ファースト主義」と、政治家や官僚などエリート層が庶民の生活的苦境に目を向けていないと訴える「反エリート主義」だ。そのような主張は、生活の困難さや働く誇りを失わされている感じる大衆層には受け入れられやすい。このような大衆の不満に対して、民主党政権が有効な政策がとれなかったことに、トランプ氏の再来を招いたとサンデル氏は述べる。そして、米国をまっとうな民主主義国として再生させるにはどうしたらよいのかについてもコメントしている。

 

 


中国福建省福州地方の、神々のカーニバル「遊神」を巡って‥

2025-03-25 12:03:45 | 滞在記

 中国の華南地域の福建省や広東省東部、そして台湾海峡に面した台湾西部には、「遊神/ヨウション(ゆうしん)」という民俗行事がある。「遊神」は、特に福建省福州市地方の長楽地区などの各村々で毎年行われる「遊神行事」が最も規模が大きく、最近、全国的に有名となっている。このため、この行事のようすを体験しようと、訪れる人々が2023年、24年、25年と、年を追うごとに急増した。

 この「遊神」は、主に旧暦の正月開始から1か月内までの中国の「春節」期間中などに行われ、村々で実施される「年中行事」の一環として位置づけられている。最近ではSNSなどを通じて有名となり、「神々のカーニバル、遊神」とも呼ばれる。「人だかりができ、町や村は沸き立ち、神々がカーニバルにやってくる!」(2024年)とも報道される。

 何百年もの間、人々によって続けられてきているこの民俗行事「遊神」は、中国では多くの人々が信仰する「道教」に由来する。道教は、歴史上の人物で三国志でも有名な関羽などや、地域にまつわる様々な人物などを神々としてを祀る中国最大の民俗宗教。この道教と、先祖崇拝や、台湾海峡沿岸地方の媽祖信仰などとも相まって生まれた民俗行事が「遊神」のようだ。

 「遊神」行事では、各地域の村々や町の道教寺院や廟に祀られている神々を迎え出し、町や村々を巡回させる。そして五穀豊穣や地域の平和を祈ることにある。美しい衣装に化粧を施した数メートルもある各神々の木偶(でく)の中に人が1人入り、男神や女神たちの巡回パレードをする。この神々に伝統的な太鼓隊が同行、太鼓の音や銅鑼(どら)を打ち鳴らし、爆竹も大量に鳴らされ、夜には花火も打ち上げられるなかでのパレードとなる。そしてこの神々の行列の中には、神々にお供する「ナタ」や「孫悟空」や「二郎神」なども登場する「遊神」行事。

 2023年頃から急速にSNSなどを通じて人々の間に広がった「遊神」行事への関心。特に、20代・30年代の若年層がこの行事を見て、友人・知人にSNSで広めていった。私も、大学の学生や世話になっている福州在住の中国人などから、この23年と24年の「遊神」の神々のパレードの様子を「これ、見て見て!」スマホの動画を見せてもらうこととなった。

 この伝統のある福州地方の「遊神」のカーニバルの様子を一度は見てみたいと私も思い始めていたのだが‥。

 「信仰か統制か 福建省福州市長楽区で—福建の"遊神"を巡る激しい攻防(2月24日)」と題されたニュースが、2月28日付の「看中国」で報道された。この「看中国」は、アメリカのニューヨークに本局をおくユウチューブ報道番組(VISION TIMES)。日本支局など世界15カ国に支局をもち、毎週1度は配信される。

 この「看中国」の報道によると、今年の25年2月24日に開催された福州市長楽区の「遊神」パレードには、福建省内外からたくさんの人がこのカーニバル行事を見ようと訪れ、会場の町や村々は熱気に包まれていた。しかし、今年の「遊神」パレードに対し、多数の警察官などが盾を手にパレードの道を封鎖、バリケードや装甲の警察車両も道を封鎖し、「遊神」のパレードを中止させようとしたため、これに怒った人々は抵抗。爆竹なども投げられ現場は騒然となったようだ。そして、バリケードを突破し、行事が続けられたと報道されていた。

 社会主義国を標榜する中国では、1949年の中華人民共和国成立以来75年以上続く中国共産党政権のもと、この宗教(民俗宗教含む)に対して政府公認宗教以外は厳しく禁止してきている。まあこの道教などの長い歴史をもつ土俗的宗教の行事に対しては、キリスト教やイスラム教などに比べて寛容な政策をとってきていたのだが‥。

 この一連の今年の「遊神」を巡る騒動について、福州で生まれ育った20代後半の中国人に聞いたところ、「私が小学生の頃でしたが、この"遊神"の行事は迷信だから、見に行ったりしないようにしなさいと、学校からも言われていました。」とのこと‥。2023年頃から、その人気が全国的にも高まったこの行事に、当局もついにパレード中止の措置に出たが、多くの民衆の怒りによりパレードの中止が結局できなかったと報道がされていた。しかし‥‥今後、この「遊神」行事への制限はより強くなるかと思われる。

 日本であれば、京都八坂神社の神々の神事に由来し、八坂神社と京都の町衆がそれを何百年間にわたって担ってきた地元の誇りである「京都 祇園祭」の山鉾巡行などが、警察のバリケードにより中止させられることを想像すると‥。

 

 


春分の日の頃の、福州都心のオアシス「茶亭公園」—9年ぶりに、奈良県橿原市在住の井上さんが大学に来訪

2025-03-23 08:51:18 | 滞在記

 この3月6日〜14日にかけての9日間、奈良県橿原市在住の井上さんが中国福建省を訪れた。2015年から16年にかけての1年間、井上さんは閩江大学で教員生活を過ごしたことがあった人だった。その頃、私は福建師範大学の教員をしていた。フランス在住の井上さんの次女(イタリア男性と結婚)が、二人目の子供を出産したために、その子育て支援のためにフランスに行く必要があり、たった1年間で閩江大学教員を退職した人だった。

 昨年の12月頃より中国渡航30日間以内滞在の日本人ビザが免除されることともあって、井上さんにとって約9年ぶりの、懐かしい閩江大学への来訪となった。12日の夕方、閩江大学卒業生で井上さんの教え子の1人でもある王さん、彼のフィアンセの甘さん、そして井上さんと私の4人で、閩江の河畔のレストランで乾杯と夕食。私は井上さんとは9年ぶりの再会となった。

 閩江河畔のこのあたりの倉山エリアは、かっての各国の領事館の建物など洋館がたくさん残る。若い人たちがたくさん集、現在、若い人たちがたくさん集まる、福州市内では一番の場所ともなっている。ここから、夜の閩江クルーズ船も出ている。

 13日(木)の午前中、私は3回生たちの「日本文化名編選読」の授業。午前9時45分頃に井上さんが教室に来たので、15分間ほど挨拶スピーチを学生たちを前にしてもらった。初めて井上さんのスピーチを聞いたが、瞬時に学生たちの心をつかむ、とても上手なスピーチだった。そして、昼には大学のホテルのレストランで、外事課の鄭課長とともに私と3人で福建料理を食べることとなった。

 3月19日(水)、コピー機のインクをたくさん買うために福州市内の中心エリアに出かけ、近くの茶亭公園に行ってみることにした。都会のど真ん中にあるこの茶亭公園は、都心のオアシスで、人工池の周囲にいろいろな樹木や花々が季節に咲く。この春分の日間近のこの日、ハイビスカス🌺の赤い蕾が膨らみ、開花間近となっていた。

 中国風の石橋や門。モクレンも満開。

 亜熱帯地方のタロイモ科の植物の大きな葉っぱと桜の花のコントラスト。最近、中国でも桜の樹木が少しずつ増え始めている感もある。10年前の2013・14年頃にはほとんど桜の樹木と花を見ることはなかったのだが‥。


春分の日の頃、若葉美しく、柳も青める。タケノコも出まわる季節となる。

2025-03-23 06:59:32 | 滞在記

 3月20日(木)、春分の日のこの日(※中国では祝祭日ではない。)、早朝5時30分にアパートを出て、3つのバスを乗り換えしながら大学に向かう。乗り換えのための3つ目のバス停でバス待ちをしている時間帯の午前6時30分頃、オレンジ色の大きな朝日が昇ってきた。午前7時過ぎに大学正門付近のバス停にようやく到着。大学構内の水辺の柳が青め、木々の若葉も美しい春分の頃の季節。

 大学構内にある早咲きの寒緋桜の木々はもう葉桜の季節はとうに過ぎて、若葉に包まれている。この季節に満開の赤い花となる刺桐(さしきり)。亜熱帯地方の樹木で、中国福建省泉州市(世界遺産都市)の町の花となっている。泉州を訪れたマルコ・ポーロの『東方見聞録』にもこの花の名は「ザイトン」として記された。

 自分の研究室のある建物の近くの大学の気温計はこの日の午前7時15分には6.6℃と寒い冬の気温。この気温観測場の木々に久しぶりに台湾リスのツガイの姿を見た。午前8時30分から始めた3回生の「日本文化名編選読」の講義を終えて、大学の第一食堂で昼食を摂る。学食の便利店(コンビニ)には、大ヒットしたアニメ映画「ナタ2」のキャラクターが置かれていた。

 2月下旬頃から咲き始めた蓮華(レンゲ)は、もうこの季節には少し色あせ枯れ始めている。赤い花を咲かせる亜熱帯の花(名はわからない)。この春分の日の3月20日、もうここではツツジが数輪開花し始めた。日本の京都などのツツジの開花より1か月ほど早い亜熱帯地方の中国福建省。この日の日中の最高気温は27℃まで上がる夏日。早朝と日中の寒暖差は約20℃もある。早朝出発時の、ホカホカカイロとマフラーでの冬用衣服は、日中には脱いで過ごす日々。

 昨日22日(土)、福建師範大学構内にある行きつけの散髪店に行く。構内の大学運動場は市民憩いの場となっていて、この日は土曜日とあってたくさんの人たちでにぎわっていた。小さい子供の背丈(せたけ)ほどの大きな、やわらかいサッカーボール(日本では見たことがない)で遊ぶ子供たち。バレーボールの扱い方の指導を受けている集団なども‥。最近の高校入試で(中考)では、体育系の実技(バレーボール・サッカー・バスケットボールなど)試験の結果が配点重視もされるようになったため、体育実技習得塾は中国全土で盛んとなっている。

 福建師範大学は1903年創立の歴史ある大学なので、大学構内にたくさんある樟(くす)の木も樹齢のある大木だ。今の季節は若葉が美しい。この大学構内でも、樟の木などに台湾リスが時々見られる。

 散髪を終え、大学構内外の学生街を歩く。子供向け玩具店で、今度日本に一時帰国する際の孫たちの中国土産を二つ買った。一つは発泡スチロールの飛行機。これは福建師範大学の運動場でも、子供がよくやっていたもので、宙返りもしながら簡単に良く飛ぶ。もう一つは恐竜発掘セット。

 学生街の桐の木の白い花が3分咲きとなっていた。

 2月下旬からスーパーなどで売られ始めた竹の子。わらびなども売られ始めた。1週間ほど前の3月中旬、タケノコを買って料理を作り、久しぶりにご飯も炊いた。シジミのインスタント味噌汁と、日本のふりかけでの、私にとってとても豪華な中国での夕食メニュー。