Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ノア約束の舟(ネタバレ注意)

2014-06-22 14:28:30 | 映画
今回は映画ノア約束の舟について。



Eテレ、100分で名著で旧約聖書を観ていたので、これは観に行って確かめたいと思いました。そして、監督はブラックスワンのダーレン・アロノフスキーですから、一味違った映画だろうと思い、期待して観に行ってきました。



ここで内容を・・・



夢の中で世界滅亡を意味するかのような光景を目にしたノア(ラッセル・クロウ)。それが神からのお告げであり、全世界を飲み込むほどの大洪水がやって来ると悟った彼は、その日から家族と共に一心不乱になって巨大な箱舟を造る。さらに、生命を絶やさぬようにと、この世の全ての種類の動物を次々と箱舟に乗せていく。だが、ノア一家の前に不安に駆られて箱舟を奪おうとする者たちが立ちはだかる。


と書いてあります。


僕は、旧約聖書の「ノアの方舟」の話はなんとなくしか知らなくて、とっても善人な人というイメージだったのですが、そこはやはりブラックスワン、レスラーの監督、描き方が現代的で、人間的でとても面白かったです。

というのも、彼は方舟をつくり、動物をつがいで乗せ(とっていも、みんな自分からやってくるのですが)、新しい世界に出ていくのは「人間のいない世界こそ、自然でありのままだと」考えているところなんです。神(字幕は神となっていますが、英語ではクリーチャーとなっています)はせっかく人間を作ったのに、堕落し、土地を荒廃させてしまうから、もう一度作り直すために大洪水をおこすのですが、それを「人間を絶やすことが目的」と思ってしまいます。

だから、3人の息子のうち、長男のお嫁さん(ハリーポッターシリーズのエマワトソンが演じています)は子供が産めないからだだし、二男と3男には恋人もいません。この状態だから、彼はそう解釈してくんです。

二男は自分のお嫁さんを連れていこうとするのですが、それを父ノアが見殺します。二男の父に対する憎悪があらわれます。

こういう描写は、きっと聖書には無いのでしょうね。


ここからはラストのネタバレになっていくので、ご覧になっていなかたは読まない方が良いかもしれません。



方舟を奪おうとするのは、カインの末裔。彼らは神が自分たちに何も示さないことにいらだち、自分たちこそがもっとも強く、この地を支配するものと勘違いをしていき、ノアの舟を奪おうとします。ここで、ノアは彼らをどんどん殺していくんですよね。息子たちと一緒に。これも、当時のことを考えれば、そういうこともあったかもと思わずにはいられません。



で、このカインの末裔。なんとこっそり方舟に乗ってしまうんです。

そして、ノアは知らないのですが、長男の嫁が妊娠できるようになるんです。これはノアの祖父メトシェラ(アンソニーホプキンス)に妻のナーマが頼むからなのですが。

ここから、事態は新たに展開していきます。方舟の中で。


嫁の妊娠をしったノアは自分の計画が変わってしまうことを恐れます。もし生まれてくる子が女ならまた人間を産んでしまうからです。

そして、彼は生まれてきた子を殺すことにします。家族は猛反対ですが、神が自分に託したのは人間の根絶だと信じているからです。

しかし、ここでカインの末裔が満を持してノアを殺そうと二男とともに、あらわれます。でも、二男はカインの末裔の本性を知るのです。単にノアを殺すだけではく、自分が王になろうとしていることを。そこで、二男はこのカインの末裔を殺してしまいます。結局、父親を助けることになるのですが。

さぁ、生まれた双子の女の子を殺そうとするノアですが、赤ちゃんたちを前にやはりそれはできないとあきらめます。ノアのセリフに「赤ちゃんたちの前では、愛しかなかった」とあります。「愛」がやはり人間には必要ということなのですね。

そして、お決まりの鳩がオリーブの葉を持ち帰り、陸があることがわかるシーンとなります。

この事件から、陸にあがったノアは家族と距離をとって生活するようになりますが、エマワトソン演じる嫁がノアに妻ナーマのもとへ戻るように説得します。



二男は、家族のもとを離れ一人で暮らすようになります。


ラストは、連れてきたつがいの動物たちに子供が生まれて、新たな世界が造られていく映像。


地球が造られていく7日間の映像も、ビックバン以降生命の誕生までコマおとしを多用して描いていたり、カインとアベルの殺し合いをフラッシュバックの手法ではさんだり、聖書の話を現代の人間の感性にうまくあわせて描いているなぁと感じました。

スペクタクル映画としても、良くできている本作。

人間の内側にある善と悪を改めて感じさせるものでした。



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