Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

消されたヘッドライン(ネタバレ注意)

2009-05-30 09:36:11 | 映画
今回は今公開している映画「消されたヘッドライン」について。

この映画、予告編で観たときから気になっていたんですよね。というのも、ラッセルクロウとベンアフレック、そして、ヘレンミレンという大物が(ベンは大物にいれても良い?)たくさん出ている映画ということと、その配役が事件を追う記者、スキャンダルな下院議員、敏腕新聞編集長、とくれば(笑)。


で、感想ですが・・、ラスト近くまでけっこうドキドキしながらテンポよく進んでいって、おお~っと思うのですがラストのオチがイマひとつという、実に惜しい作品だと思いました。原作はイギリスのテレビシリーズなんです。これって「トラフィック」もそうでしたね。イギリスのドラマもおもしろいものが多いようです。

内容は、路上で殺されたチンピラとピザの宅配人。その翌日に遺体となった下院議員の政策調査を担当した女性。最初は無関係に思えた二つの事件ですが、下院議員とその女性が愛人関係にあることがわかり、その下院議員はイラク戦争時に莫大な富を得た、民間の軍事産業会社を相手に公聴会を開く真っ最中であることも関係して、一大国家のスキャンダルに発展していくのです。まさに「政治と金」。
その真相を暴いていく新聞記者にも危険がせまってくるのですが・・・。


監督は「ラスト・キング・オブ・スコットランド」の監督だし、リアリティを追及した感じもとてもよいのですが・・。でも、俳優達の演技はすごくいいです。ラッセルクロウなんて、ほんとダサくて、腹の出た中年の新聞記者をリアルに演じているし、編集長役のヘレンミレンも嫌味をいいながらも、いい新聞を作りたいという気持ちが伝わってくるし。
なので、DVDでもいいかなって思いますが、機会があれば観て欲しい作品です。

ここからはネタバレですので、ご覧になっていない方は絶対に読まないでくださいね。










で、結局この殺人、展開の中でその軍事産業の会社がどうやらその女性を使って下院議員をスパイしていたということがわかってきます。ここまでは通常の展開。みごと下院議員も汚名返上となり、めでたしめでたしとなるはずが・・・、じつはその女を下院議員が何か隠していると疑い、知り合いに頼んで調べさせていたんですよ。その男は昔その下院議員とともに、イラク戦争で戦った同士で、戦争後少し、精神的に病んでしまった男だったのです。その男は、下院議員に近づいた女が実はスパイと気づき、その女を殺してしまったというオチなんです。で、その女を追っているときに撮った写真を入ったかばんをチンピラに奪われ、その内容を知ってしまったチンピラも殺し、その現場を見たピザ屋も殺してしまったというわけ。

このオチの結果、軍事産業の会社は殺しのこととは全く関係がなかったということになり、下院議員は殺しのことを知りながら、その男のことを隠していたとわかり、そのことを記事に最後書くことになる、新聞記者。

ご覧になった方にぜひ聞きたい!

このオチ納得できました?(笑)。僕は、なんだか「これかよ~」って感じでした。

ということで、今回は疑問を投げかける終わり方にしました(笑)。

天使と悪魔

2009-05-21 15:42:23 | 映画
今回は今公開している映画「天使と悪魔」について。
ダン・ブラウン原作の「ダ・ヴィンチコード」より、小説としてはそれ以前に書かれたこの作品。映画化にあたっての設定はそれ以降になっていました。

で、感想なんですが・・、原作よりはるかにおもしろい映画になっていました。やはり原作は「ダ・ヴィンチコード」があたってから、それ以前にかかれた「天使と悪魔」も日本では大々的に売り出したので、どうしても内容的に。余計なところが長くて、ヴァチカンでの枢機卿殺害の場面も焦点がぶれがちだったんですが、映画では、よけいなところはバッサリなくなって、ヴァチカンでの謎解きが中心となり、テンポもアップして、すごくおもしろい作品になりました。ダ・ヴィンチコードは原作の方がおもしろいのですが、天使と悪魔は映画の方がおもしろいです。

内容は、ご存知のとおり。

ローマ法王が死去したあと新しい法王を決める「コンクラーベ」を行うために、世界から集まったカソリック教会の人々。その中でも次期法王となる可能性の高い4人の枢機卿が誘拐されます。犯行声明は「「イルミナティ」と名乗る人物。400年前に教会から弾圧された科学者達の秘密結社のイルミナティ。彼らが4人を誘拐し、1時間に一人ずつ、殺害されるという予告が届くのです。そして、時期を同じくして、ビッグバンを起こしたとされる「反物質」と呼ばれる、とてつもないエネルギーを持った、物質が研究所から盗まれ。それがヴァチカンで爆発されると。
これを解決すべくよばれたのが、ラングドン教授です。
一人ずつ殺されていく枢機卿。謎はとけるのか?ヴァチカンを大爆発から守れるのか・・・。


今回はネタバレしません(笑)。僕は原作を読んでいたので最初から犯人がわかっていましたが、かなり楽しめました。原作にはいない人物も出てくるし。でも、内容をまったく知らないで見るほうが、おもしろいですよ~。


ただ、ヴィットリアという女性(反物質の研究所の科学者)の存在が、原作よりも薄くて「結局、なんのためにいたの?」って感じでしたが(笑)。

原作をうまく脚色して、「24」的なおもしろさも加わり、スピード感たっぷりの娯楽映画です。あと、ヴァチカンの景色もきれいだし、彫刻もすばらしいです。
ぜひ、劇場でごらんになってください。

あっ、ゲイの視点からはなにもお楽しみな場面はありません(笑)。

チェイサー(ネタバレ注意)

2009-05-19 10:21:27 | 映画
今回は今公開している映画「チェイサー」について。

僕は劇場で韓国の映画を見るのは実は4回目くらい(笑)。どうもゲイのくせに今話題になっている韓流スターが出ている映画には、まったく興味がなくて(笑)。ですが、この映画は予告編もあまり見なかったのにもかかわらず、何か惹かれるところがあって、観にいきました。実際の連続殺人鬼がモデルというところから(笑)。

で、感想なんですが、すごくおもしろかったです。ほんと、だれもカッコイイ人はでていません(笑)。それだからこそリアルに感じられて、警察の無能ぶりや殺人者の狂気なんかもゾクゾクするほど、身近に思えました。

ここで少しだけ内容を。でも、あんまり知識をいれないで観た方がぜったいいいです!デリヘル嬢の元締めで元刑事のジュンホは、最近自分の店の女の子のれんらくが取れなくなっていることに気づき、別の事務所に売られてしまったのでは、と思うようになっていた。そこへ、家にヘルス嬢を呼んで欲しいという連絡が。風邪を引いて寝ている、シングルマザーのミジンを無理やり、家に行かせるジュンホ。でもその電話番号の相手に女性を送ると、連絡がつかなくなってしまうということに気づき、慌ててミジンに連絡するが、すでに監禁されています・・・。


この映画、すごくおもしろいので、DVDでもいいし、劇場(なるべくなら)でも観てください!サスペンスやスリラー、アクションがお好きであれば!

僕同様、ゲイのみなさんには、楽しめるところはないと思います(笑)。でも、この犯人役のハ・ジョンウ君の顔は、好きなタイプという人もいるかもしれませんが(笑)。


ここからは、ネタバレですので、絶対ご覧になっていない方は読まないでください!!











で、この犯人あっさりつかまってしまうのですが、ここからがこの映画のおもしろいところなんです。韓国の警察のふがいなさというか、犯人のスマートさというか、証拠が不十分ってことで釈放されちゃうんですよ。でも、ジュンホはあきらめずにミジンを探す、ところがまた熱い(笑)。韓国の映画で出てくる警察って僕の中では「シュリ」なんですけど、あれは本当に都会のお話しで、きっとほとんどの韓国の警察の雰囲気って、このチェイサーでの感じなんでしょうね。まぁ、人間味があるって言えば、そうかもしれませんが(笑)。
あと、映画の最終で、せっかく監禁されているところから、命からがら脱出したミジンが犯人であるヨンミンに結局殺されてしまう(釈放された、その日に)、という場面を見せられる後半も、なかなかこの監督ナ・ホンジンの力量だと思います。

あと、ラストのジュンホとヨンミンの対決、そして、掘り出されていく死体の山。
ほんと、日本映画のリアルさの無さに改めて気づかされました。どうしても日本の映画の場合、きれいな女優さんとか、イケメンといわれる俳優が出てくるから(それを見るだけの映画ならいいのですが)、リアルさという意味ではどうしても無理が出てしまうというか(笑)。

最後にこの犯人を演じたハ・ジョンウ。冒頭でブリーフ姿を披露するのですが、その体も、特別いいからだではなく、「ごく普通」なんです(笑)。韓国の俳優だと、僕好みの「いい体格」が多いのですが、彼はそんなことはありません。でもそこがリアルなんです(笑)。

ディカプリオがリメイク権を買ったと評判ですが、本作を超えられるかどうかは、疑問です(笑)


バーンアフターリーディング

2009-05-07 13:06:34 | 映画
今回は今公開している映画「バーンアフターリーディング」について。

この映画、予告編を観たときから観たかったんですよね。なにせ、ジョージクルーニーがでてるし(笑)。コーエン兄弟が監督というところからも。

で、感想なんですが・・・。軽くみるならおもしろい映画ですが、なんとなく「監督があんまり考えないで作って、それをキャストやクルーみんなで楽しんだ映画」って感じで(笑)、観客は「おもしろいと思う人はそれでいいし、そう思わなくても全然かまいません」っていう挑戦状のような映画です(笑)。そこがコーエン兄弟らしいといえばそうなのですが。今回はそれが強烈にでています(笑)。

もちろんキャストも豪華で、その演技はコミカルでおもしろいのですが、爆笑っていうほどではないし、ブラピのおバカぶりもさほどでもなく、ストーリーもなんだかしりつぼみだし(笑)。

でも、痛烈なCIA批判はあると思います。これはなかなかおもしろかったです。実際CIAの幹部がこういう決断していたらと考えると、このラストはおもしろいのですが(笑)。でも、「オチに困ったから、これでいいや」って監督が決めたのだとしたら・・・(笑)。

前回のノーカントリーで、シリアスな作品すぎたのか、その反動でこういうのが作りたくなったのかもしれません。

DVDでもいいかなぁ(笑)。僕はジョージが出てればなんでも観ますが(笑)。

それなりに楽しめる、映画だとは思いますよ(笑)。

ミルク

2009-05-02 15:33:19 | 映画
今回は今公開している映画「ミルク」について。まぁ、これはゲイとしてみればいないわけにはいかない(笑)映画ですよね。相方といっしょに観にいって来ました。

ハーヴェイ・ミルクのことは以前から知っていました。その生涯についても。でも、実際に映像として観るのはインパクトがありました。


ここで内容を少し。

40歳になったミルクに恋人ができます。この恋人との出会いによって、ゲイの活動家として、目覚めていくことになります。この活動はゲイだけにとどまらず、人種、労働差別、などマイノリティにむけて、「人権を守ってほしい」という訴えをしていきます。何度も市政委員に立候補するのですが落選をしてしまいます。ですが、ミルクはついにゲイとして初めて、当選してしまうのです。暗殺の強迫などにも負けることなく、支持を確実に得ていくのです。
しかし、これを良く思わない、同僚の委員がいたのです。市長もミルクに味方し、自分には誰も注目されないとして、最終的にこの人物が市長とミルクを射殺してしまうのです。ゲイを嫌っている人達から殺されるのではなかった、というところが皮肉です。

この有名な話を、監督のガスバンサンドはうまく最後までもって行きます。一瞬だけ監督が映画の中にでてきますよ(笑)。

また、アカデミーの脚本賞を獲った、脚本もよくできています。

あと、やはりショーン・ペンの演技がすごいです。ほんとうにミスティックリバーと同じ人?って思うくらいで。ゲイの役っていうと、どうしても女性っぽい感じになることが多いのですが、僕たちゲイからしてみると、ああいう感じのひともいるけど、ほとんどのゲイは普通の人なんですよね(笑)。今回の演技は「普通の人」にの中に「ゲイっぽさ」を出しているという「演技」がすごいんですよ(笑)。なんとなくゲイの匂いをさせるって難しいと思うんですよね。演説の時の腕の上げ方は、オネエっぽいのですが(笑)。

男性同士のキスシーンやSEXシーンもありますが、とてもうまく撮っているから多分、ノーマルな方が観ても大丈夫のような気がします(笑)。

同性愛者を病気として片付け、不適格人物とする風潮はまだまだ根強く残っているアメリカですが(キリスト教の考えによるところのようです)、この映画ができてそして、アカデミーで賞を獲ったということ自体、大進歩ではないですかね。

サンフランシスコのカストロ地区はミルクの拠点となったところ。現在でもゲイがたっくさんいます(笑)。僕も行ったことあるんですが、町全体が「ゲイ」って雰囲気で(笑)。なかなか楽しかったです。


日本はあそこまでのオープンさは無いものの、ゲイをとりまく環境も変化していってくれるといいのですが。