Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ダンケルク

2017-09-28 10:26:37 | 映画
今回は映画「ダンケルク」について。



監督がクリストファーノーランで、歴史物っていうおもしろさに魅かれて観に行ってきました。

ここで内容を・・・


1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)ら若い兵士たちは生き延びようとさまざまな策を講じる。一方のイギリスでは民間船も動員した救出作戦が始動し、民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は息子らと一緒にダンケルクへ向かうことを決意。さらにイギリス空軍パイロットのファリア(トム・ハーディ)が、数的に不利ながらも出撃する。



と書いてあります。


この映画、視点が3つあって、桟橋での1週間、民間の舟の1日、戦闘機の1時間、これらが複雑に絡んで一つのラストにつながっていくというとても面白い編集です。それでいて混乱することが無いのも、監督の手腕なのだと思いました。


あと、戦争の悲惨さを大きく伝えるとか、一人のヒーローの活躍を追うとか、敵であるドイツ軍の事情とか、一般的な戦争映画で出てくる内容が無いというのも、とても面白かったです。説教臭さみたいなものが無いというか。

それらは、観終ったあとに、それぞれ自分たちが考えることなのかと感じました。

自分が戦争に放り込まれてしまう感覚になり、生きるために必死になる感情が緊張感とともに迫ってきます。実際に戦争に参加すれば、敵と会話したり、顔をあわせたりすることはほとんどないのだと、当たり前なのだけど、この映画で改めて感じます。

空中戦やその他でも、なるべくCGを使わないというノーラン監督の狙いがとてもうまくいっていると思います。メイキングを観ましたが、実際に戦闘機を飛ばして、自らも飛行機に乗りすべての撮影に参加したようで、そのこだわりがすごく感じられまた。イギリス軍は本土決戦に備えて、援軍を出したがらないから、当然戦闘機の数が少ない、戦争映画で大群で戦闘機が現れるシーンに慣れている私たちですが、今回はそうではないので、よけいに戦闘機に乗っている兵士の孤独感や、使命感が伝わってくる感じします。




俳優も、ノーラン監督の映画ではおなじみに人たちが多いけど、うまい人たちばかりですから、全く違和感なく観ることができます。

個人的には中佐を演じるケネスブラナーがラストで、「まだフランス軍を助けなければいけないから、自分は残る」と桟橋から部下に敬礼して、見送るシーンがかっこよくて、印象深いです。


好き嫌いはあるかもしれませんが、劇場で観ていただきたい作品です。




ローサは密告された

2017-09-26 13:03:26 | 映画
今回は映画「ローサは密告された」について



これ、予告編を観たときから、観たいと思いました。フィリピンの本当の姿がわかりそうな気がしたので。最近、自分が映画に求めるものが変わったなぁと感じます。映画を通して、自分が知らないことを知りたいと思うようになって、その気持ちをすごく刺激する内容だったので、早速観に行きました。当然、公開期間も短いし、回数も少ないので。


ここで内容を・・・


マニラのスラム街で、小さなコンビニエンスストアを夫婦で営みながら、4人の子供を育てるローサ(ジャクリン・ホセ)。ローサは地元の人気者だったが、家計のために少量の麻薬を扱っていたことが原因で、夫と共に逮捕されてしまう。子供たちは、腐敗した警察から両親を取り戻そうと力を尽くすが……。



と書いてあります。


麻薬中毒が多いことは知っているつもりだったのですが、こんなにひどのかと思うのと、それだから、普通の人が簡単に売り買いして儲けることもできてしまうということの驚きがありました。

それと、警察の腐敗がものすごい。


そもそも、このローサを逮捕(というか正式には逮捕じゃないのですが)した警察は、本来の警察署に連行するわけではないのです。その隣の建物で、しかも以前は何かのテナントみたいなところに。当然、保釈されるためにはお金を払わなければならず、麻薬を押収し、金をとり、さらに他の麻薬の売人を密告させる。これが回ることで、この警察官と刑事たちはどんどん私腹を肥やすことになる。そのお金の一部は警察の上司にもわたるから、不正がばれない。

あきれました。

ローサの子供たちが警察にくると、連行されているはずの両親がいません。そこへ、事情を知っている警察官が入り、あの場所へと連れていくのです。そこで、両親を保釈するためのお金を子供たち3人で集めることになります。

長女は親戚に頭をさげ、長男は家電を売り、二男はゲイで以前からつきあっていて体の関係のある中年男性から関係後にお金をもらいます。

それでもあと少し足りず、ローサだけ保釈されます。そして、携帯電話を売りに行きなんとかお金を工面して、警察にもどる途中、屋台で売られている串にさした食べ物をを夢中でほおばるローサ。そのカットで映画は終わります。


フィリピンの人たちの実際の生活を垣間見ることができる作品。

感じたのは、普通の人たちに対しての教育がしっかりなされていないことです。子供たちが警察に行っても両親がいないこと、保釈金を裁判なしで決められてしまうことなどに疑問を抱かないというところなのです。あと、麻薬に対しても教育も。

あと、貧困。

貧困があるからこそ、現実逃避の意味から麻薬に手を染める人がたくさんでてしまう。そして、麻薬におぼれて働かず、働いても、お金は麻薬に流れる。

ドゥテルテ大統領が麻薬を撲滅しようとしているのはわかりますが、売人を殺すことも大事かもしれないけど、教育と貧困をなんとかしないと、警察の権力が大きくなって、ますます腐敗した警察になるのでは、心配しました。

カンヌ映画祭で主演女優賞をとっていることをあとで知りました。本当にそういう人に見えますもん。あと、子供たち、麻薬中毒の旦那、えらそうな警察官、全てがリアルです。

いろいろと考えさせられる映画でした。

興味がある方のみご覧ください。

ワンダーウーマン(ネタバレ注意)

2017-09-26 12:51:36 | 映画
今回は映画「ワンダーウーマン」について。




ジャスティスリーグにつながっていくストーリーなので、観ておこうと思ったのと、子供のころにみていたテレビシリーズ(日曜の午前中にやっていました)が好きだったのでワンダーウーマンのこともっと知りたいと思ったんです。


ここで内容を・・・



人間社会から孤立した女性のみの一族のプリンセスとして生まれたワンダーウーマン(ガル・ガドット)は、自分が育ってきた世界以外の環境を知らず、さらに男性を見たこともなかった。ある日、彼女は浜辺に不時着したパイロットと遭遇。彼を救出したことをきっかけに、ワンダーウーマンは身分を隠して人間社会で生活していくことにする。



と書いてあります。



ワンダーウーマンを演じるガル・ガドットははまり役だなぁって思いました。綺麗で、それでいて、いやらしさがなく、素直で、そして強い。このワンダーウーマンとなっていく過程も面白かったです。子供時に観ていたテレビでは、詳しいこと知らないで観ていたので、スーパーマンのように他の星のひとなのだと思っていたから。

あと、ストーリーと通して語られるのは、人間の愛と平和なところも、現代にはマッチするのかもしれません。

女性監督が描く女性のための映画という感じがしました。それはパイロット役のクリスパインの全裸が出てくるところからも(笑)。男性だって、そういった対象であって良いということなのかと。これ、ゲイにとってはすごくうれしいことですが。

劇場の大きなスクリーンで観た方が良いですね。


ここからはネタバレですので、ごらんになっていない方は読まないでくださいね。
ちなみにこの写真は僕が小さいころにテレビでみていたワンダーウーマンです。

















で、このワンダーウーマンの設定、ゼウスと人間の間に生まれた半神だったということなんですね。知らなかった。だから、不老不死でいられるし、人間離れしたことが簡単にできちゃう。

そして、このワンダーウーマンに課された使命は軍神である、アレスを倒すこと。

この時、戦争していたドイツにそのアレスがいると確信し、ワンダーウーマンは寄せ集めの仲間たちと戦地に赴きアレスを見つけようとします。その時のドイツで戦争の指揮をとっていたルーデンドルフがアレスだと信じます。それは他のドイツ将校たちは停戦を考えていたのですが、彼だけが戦争を続け、自分たちが勝利することを信じていたから。

彼をついにみつけ、追い詰め。倒すワンダーウーマン。これで戦争は終わり皆が平和に暮らせると思ってのですが・・・




ここで本当のアレスが登場します。それは、今まで自分たちを支援してきたパトリック卿だったのです。人間達を観察し、戦争をさせてそれを楽しんでいたアレス。ワンダーウーマンとは異母兄弟ということになり、ともに、手を組んで世界を支配しようと語ります。

まぁそんなことに乗ることは無いワンダーウーマンですから、当然激しいバトルになります。これがクライマックス。

その間に、クリスパイン演じるスティーブがイギリスに落とされる爆弾を積んだ飛行機を自らが犠牲となって、阻止します。二人の間に愛が芽生えていただけに、切ないシーンとなりました。

アレスは倒され、地球に平和がもどるラストは、なんとも爽快。


この話を思い出し、現代に生きるワンダーウーマンにバットマンからの依頼が届くというラスト。


現実離れしたこのストーリーと映像に身を任せて、楽しみました。

ただ、次はジャスティスリーグが待っています。ザ・マミーの時にも書きましたが、こういうどんどんつながっていくシリーズ。歳のせいか、どうもお腹がいっぱいになってしまっております。

ワンダーウーマンだけの続編があるということなので、そっちは期待しております。
ゲイは強い女性が好きなので。




ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

2017-09-26 10:27:31 | 映画
今回は映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」について。



普段、ドキュメンタリー映画はあまり観ないのですが、これは予告編を観たときからなぜか観てみたいと思いました。努力して手に入れた名誉を捨ててしまう決断をなぜしたのかが気になって。

ここで内容を・・・



端正な容姿と圧倒的な表現力で、世界中にその名をとどろかせたセルゲイ・ポルーニン。その数年後、英国ロイヤル・バレエ団を退団した彼は第57回グラミー賞にノミネートされたホージアのヒット曲「Take Me To Church」のミュージックビデオ出演で再び脚光を浴びた。バレエ界随一の異端児にして、著名なバレエダンサーであるルドルフ・ヌレエフの再来とも評される彼の素顔に迫る。



と書いてあります。




もちろん、後半で圧倒的な映像でみせる「Take Me To Church」は、パソコンで観るものとは大きく違って、感動しました。彼のダンスは唯一無二のものなんだと。






ですが、この映画は「家族」の話なんだなぁとつくづく感じました。というのも、ポルーニンは家族のために踊っていたのです。ロシアでは、男の子は体操に行くかバレエに行くかで別れるそうなんです。そこで、才能を見抜いたお母さんがポルーニンをバレエの道に進ませます。そして、ロシアだけでは、才能を活かせないないと感じたお母さん。イギリスのロイヤルバレエ団に入団させることを決意します。お金を稼ぐためにお父さんとおばあちゃんはそれぞれ出稼ぎに、お母さんはイギリスに着いてきますが、ビザの関係で帰ることになります。家族がバラバラになってしまったのです。ポルーニンは自分が頑張れば、再び家族を一つにできると信じで才能をぐんぐん伸ばしていきます。

そして、ついにプリンシパルになるのですが、父と母は離婚。自分が何のために頑張ってきたのかを見失ってしまうんですよね。


踊る意味が無くなった彼は、バレエ団をやめることに。


その後、ロシアに戻り、バレエの素人オーディション番組に出演し、そこで再び注目され、ロシアのバレエ団に入り脚光を浴びていきます。ここで、バレエの舞台のシーンが入るのですが、彼以外のダンサーの踊りが彼を基準に観るとへたくそに見えてしまうのが、なんとも(笑)。

でも、結局イギリスで感じていた「何のために踊るのか」という問いに対する答えは見つからず、引退を決意。

その引退記念にと考えたのが「Take Me To Church」の映像化だったのです。

それを、youtubeにアップしたところ、ものすごい反響があり、そこには自分の踊りで元気や希望、感動をもらえたというコメントが多数集まり、やっと彼は自分の踊りの意味を見出すのです。


すばらしい映像、彼の苦悩、そして再生を体感する映画でした。

人の人生って、すばらしいものなんだなぁとつくづく感じました。