Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

君の名前で僕を呼んで(ネタバレ注意)

2018-05-04 15:53:43 | 映画
今回は映画「君の名前で僕を呼んで」について。





ゲイとしても興味があったし、アカデミー賞でも脚色賞をとっている作品ですからね。当然観に行ってきました。観に来ているのは年齢の高い女性がほとんどで、あと、おじさんも少し(笑)。若いカップルもいたけど、少数派でした。


ここで内容を・・・




1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と過ごす17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、大学教授の父が招待した年上の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会う。一緒に自転車で散策したり泳いだり、読書したり音楽を聴いたりするうちに、エリオはオリヴァーに恋心を抱く。やがてその思いは通じるが、夏の終わりが近づくにつれてオリヴァーが避暑地を去る日が近くなり……。



と書いてあります。



切なくて、美しい初恋の映画でした。


通常同性愛の映画になると、それを差別されたり、卑下されたりというある意味お決まりの設定がなされるのですが、この作品は違いました。原作者のアンドレ・アシマンの理想というか、幻想というか、そういうものがあるのかなと思いました。それを脚色したのが、ジェームスアイボリー。彼はゲイの映画である「モーリス」で監督をしています。その彼が原作を非常にうまく映画の脚本にしているので、セリフや場面が全てが美しいんです。エリオの両親も彼がゲイであることになんの差別もなく、彼の初恋を応援しますし。

非常に切ないのですが、初恋の理想という感じがしました。

エリオは同級生のガールフレンドもいます。セックスも経験するのですが、オリヴァーとの体験は、それとはくらべものにならないくらいのh衝撃だったのです。オリヴァーから最初、エリオにボディコンタクトをするのですが、エリオは恥ずかしさから、拒否してしまい、オリヴァーはエリオから距離を置くようにしたと、二人が結ばれたあとで話をします。なんて、時間を無駄にしてしまったのかと。



北イタリアの夏の風景の美しさと、エリオとオリヴァーの美しい二人の恋愛を理想的な形で表現されていると感じました。

アーミーハマーは現実にはゲイではないのですが、彼はゲイの役が多いですよね。あの顔立ちがそうさせるのかもしれません。ジャコメッティでも、J・エドガーでも、ゲイが似合います。本人はどう思ってるんだろ?

主演のティモシー・シャラメはこの映画で実際にピアノを弾いているようで、才能にあふれた役者さんなのだと思いました。フランス語もイタリア語も堪能ですし。

イタリアの夏ですから、当然ふたりとも裸でパンツ一丁がほとんど(笑)。うれしいですね~。


同性愛に嫌悪がある方は観なくても良いと思います。あと、これを退屈な映画だと感じる方もいると思います。でも、理想的な初恋を美しい風景の中で感じることに興味がある方はご覧になってみてください。



ここからはネタバレですので、ごらんになっていない方は絶対に読まないでくださいね。











特に、ラスト近くで傷心のエリオにお父さんが「オリヴァーとの友情以上のすばらしいものを体験したことは、たとえ、悲しいことになったとしても、それはすばらしいことだ」とエリオに言うのです。そして、「自分はそれができなかったから」とも。そう、お父さんはゲイということを隠して、お母さんと結婚し、エリオをもうけていたという事実を話ます。

ちょっと調べてみたら、原作者のアンドレ・アシマンは大学教授で彼はイタリアに少年の頃に住んでいたということなので、ちょっと自伝的なのかなと思うのですが、彼自身は同性愛の経験は無いといっているみたいです。奥さんも子供もいるし。

でも、このお父さんのセリフは彼のことのようだと感じました。そして、エリオもオリヴァーも彼の理想形の愛の形を表現しているのかとも。自分にゲイの要素があって、それを誰にも言えず、頭だけで理想を描くってことあると思うのです。だから、エリオとオリヴァーのこと、誰も非難しないし、認めている。これも理想ですね。そうであってほしいです、僕も。

あと、エリオがモモをつかってオナニーするシーンが出てきて、そのモモをオリヴァーが舐めるというシーンにつながるのですが、ここ、いろいろと物議があるようですね(笑)。確かに良く考えると気持ち悪いともとれますが、ここも理想としてとらえるとなんとも美しい(笑)。好きな相手に関係したものであれば、なんでも愛おしく思えるって。あとこれによって、オリヴァーがボトム(受け)だったのかなんて考えたりして(笑)。エリオがトップ(タチ)でその快感がすごくて、ついモモに。女の子とのセックスより良かったということになりますね。

調べたら、途中で出てくるゲイのやや高齢のカップルの一人が原作者のアンドレ・アシマンだったんですね。ますます、こういう自分になりたかったって感じしてきます。


まさに彼の理想、僕の理想ばっかりがつまった映画ですが、それも映画の良い所です。

現実はもっときびしいからこそですね。









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1 コメント

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Unknown (桃)
2019-02-14 15:06:28
わたしはこの映画が大好きです。性別や国籍や年齢関係なく恋したら不安になったり傷ついたり、同じですよね。ほんとにラストは泣きっぱなしで、もう一度観たいと思わせる美しくて切ない映画でした。桃のシーンも、過激と言えばそうなのでしょうけど、エリオの涙にわたしも涙しました。彼の繊細で哀しくて愛しい感情を見出すにはあのエリオのいつかは離れてしまう恋、満たされない気持ちを表した桃が更に切なさを倍増させました。またレビューたのしみにしています。

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