Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ダラス・バイヤーズ・クラブ

2014-10-12 11:00:03 | 映画
今回は映画「ダラス・バイヤーズ・クラブ」について。
これ、劇場公開の時に見逃していたのですが、僕のいる街にある名画座でたまたまやっているのを発見して、観に行ってきました。



アカデミー賞もジャレット・レトが助演男優賞、マシューマコノヒーが主演男優賞をとっていますから、彼らの演技もぜひ観たかったんです。


ここで、内容を・・・


1985年、電気工でロデオカウボーイのロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)は、HIV陽性と診断され余命が30日だと言い渡される。アメリカには認可治療薬が少ないことを知った彼は代替薬を探すためメキシコへ向かい、本国への密輸を試みる。偶然出会った性同一性障害でエイズを患うレイヨン(ジャレッド・レトー)と一緒に、国内未承認の薬を販売する「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立するが……。


と書いてあります。



ホモフォビアなロン、ゲイのことを最初は全く理解せず嫌ってたいのですが、自分がHIVに感染しているところから、レイヨンと知り合うようになり、ゲイに対して、HIV感染者に対して、彼らのおかれている環境を理解していくんです。そして、AZTによる治験を受けることができないとわかると、病院の清掃係に金を渡して、AZTを入手するのです。でも、症状は良くならずかえって体調は悪くなるばかり。ついにAZTも入手できないとなり、その清掃係からメキシコのもぐりの医者を紹介されます。この医者との出会いが彼を大きく変えていくことになります。

この医者から、健康になるための知識を得ることとなったロンは、AZTがFDAと製薬会社との癒着から副作用が強いにもかかわらずHIVの治療薬として、勧められることを知っていきます。今までの自分の不健康な生活を見直し、メキシコの医者がすすめるアメリカでは未承認の薬を輸入し、会員を集め、HIV感染者にわたす「ダラス・バイヤーズ・クラブ」を作り上げます。ここに、レイヨンの存在が大きく関係していくんですよね。

当然、FDAからはマークされ、ダラス・バイヤーズ・クラブも解体されてしまいそうになりますが、彼らに共感する女性医師のイブのおかげで(彼女は病院のやり方に疑問をもち、ロンたちに協力していきます)また、あらたな一歩を踏み出していくことになります。

マシューマコノヒーもジャレットレトもHIV感染者という役柄から、体重をかなり落としてガリガリな状態。役者の意気込みを感じます。そして、彼らの存在も映画のなかのロンとレイヨンにしか見えなくなるくらいの、演技。
レイヨンは新しく場所を変えたダラス・バイヤーズ・クラブを見ることなく、亡くなります。



イブを演じるジェニファーガーナーも抑えた演技で、良かったです。彼女、久し振りに見ましたが、普通の人(彼女はテレビシリーズのエイリアスでアクションを多くやっていた)の演技がとても良かったですね。JUNOでも良い演技でした。

ロンは余命30日と言われてから、7年後に亡くなってしまいます。

彼の言葉に、「今の自分は死なないことばかりに気を付けた生活で、もっと自由に考えたり、行動したりしたい」というものがありました。普通に暮らして、自由にできる自分たちがそれを失うことで初めて気がつくことってありますね。

政治と製薬会社の癒着、きっと今でもたくさんあるんだろうなぁと考えさせられました。

すべての人におススメできる映画とは思いません。でも、こういった内容で、社会のことを考えたり、自分の置かれている状況について、考えたりすることができる、良い映画だと思いました。

特に僕はゲイなので。