Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(ネタバレ注意)

2012-03-09 10:33:43 | 映画
今回は「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」について。



これ、予告編を観た時から観たかった作品です。監督がスティーブンダルドリーだから(笑)。リトルダンサーもめぐり合う時間たちも大好きな映画だから。彼が選ぶ作品には間違いがないと思っています(笑)。若い時はこの俳優がかっこいいからとかで見ることもありましたが(今でもジョージクルーニーだからっていう理由では観ます)、監督が好きでこの監督ならって観ることがめっきり多くなりました。

ここで内容を・・・



911の同時多発テロで、大切な父(トム・ハンクス)を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)。ある日、父の部屋に入ったオスカーは、見たことのない1本の鍵を見つける。その鍵に父からのメッセージが託されているかもしれないと考えたオスカーは、この広いニューヨークで鍵の謎を解くため旅に出る。



観終わって、心地よい感動と「久しぶりに良い映画を観た」という気分に浸ることができました。泣いている人達も多かったです。僕もちょっとうるっときたところはありましたが(笑)。最初、このオスカーがほんと「ものすごくうるさい」って感じます(笑)。彼は自分でも映画の中で言っていますが、「アスペルガー」の素因があるんです。だから、執着やこだわりが強く、それを口で説明していかないと気がすまない。この少年の役をトーマス君はとてもうまく演じています。

オスカーは遺体の入っていない棺を埋葬することに耐えられず母親を少し拒絶していて、心を許すのはおばあちゃん。そんなおばあちゃんの家に間借している老人(話をすることができない)と次第に心を通わせていくところも、すごくうまいです。偶然見つけた鍵。その袋に「Black」の文字。オスカーはこれを名前を判断して、ニューヨーク中のブラックさんにあってこの鍵にあう鍵穴を見つけることに執着していきます。この手助けをするのがあの「老人」。

観終わったあと、爽やかで切ない感動を感じる作品です。ぜひ、ご覧になってください。この映画を好きじゃないっていう人と、僕はたぶん友達にはなれません(笑)。ちなみに一緒にいった相方も「良い映画だなぁ」って言ってました(笑)。さすが、わが相方(笑)。


ここからはネタバレです。絶対にごらんになっていない方は、読まないでくださいね。












このブラックさん探しの中で、あの老人が本当のおじいちゃんじゃないかって(オスカーもそう思う)感じていくんですけど、それはやはりあたりで(笑)。過去をあまり語らないおじいちゃんですが、自分がドイツ生まれということを筆談するんです。前のシーンで父親から「僕の父親はドイツ生まれ」っていう伏線が張られているから、すぐにわかるのですが。そんな中、オスカーはいままで母親にも聞かせていなかった、父親からの最後の留守電をおじいちゃんに聞かせようとするんです。そのときにおじいちゃんは「もうやめよう」と言って、孫のもとから去っていきます。かえって自分が孫を苦しめているのではと思うから。

おじいちゃんが去って、オスカーは鍵の主を探すことに行き詰っていた時、いつも折りたたんでみていた新聞(これはお父さんがオスカーにあてたメッセージが赤で記されています)の裏に、もう一つ赤で記された電話番号を見つけます。その番号にかけてみると、一番最初に訪問した「ブラックさん」の番号だったのです。このブラックさんは夫と離婚をしようとしていたのですが、オスカーの電話で旦那の仕事先に連れていってくれるのです。旦那はその鍵を実は、探していたのです。オスカーの父親は「遺品セール」で青い花瓶を購入します。その中にこの鍵があったのですが、ブラックさんは自分の父親が亡くなったあと、その花瓶に自分に対してのメッセージを残したと後で知ってしまいます。ブラックさんは父親とあまり仲が良くなかったと、自分で思っていたため、父親の遺品を全て売ったり、あげたりして処分していたから。

その話しを聞いたオスカーは最後の留守電の話を、ブラックさんに話します。それは家にいて電話に出ないオスカーに対して、「そこにいるんだろう?」と何度も声をかけるものでした。オスカーはそれに対して、怖くて電話に出ることができなかったんです。最後になってしまうことがわかっていたから。ここの描写が秀逸なんですよ(笑)。電話が切れたとたんにオスカーがいるテレビの映像で、WTCが崩壊していくところを映すという描写。うまいって思いました(笑)。自分が電話に出ることができなかったことをブラックさんにオスカーは「許してくれる?」と泣きながらたずねます。ブラックさんもオスカーの手をとって、「もちろん、お父さんはゆるしてくれる」と応えます。ここらへん、すごく感動しますね。この件で、ブラックさん夫婦は再び絆を取り戻します。

と、ここで話は終わりかと思っていたのです(笑)。でも、疑問が一つありました。この「ブラックさん」探しの中で、映画を観てると「みんなとてもよい人だなぁ」って感じずにはいられないということ。オスカーを招き入れてしっかり話を聞いて。たとえ自分とその鍵が関係なくても、オスカーを励ましてくれるのです。ここでもうひとつ感動的出来事が起きます。実は、このブラックさん一人一人に会って話をしていた人がいたんです。それがサンドラブロック演じる「お母さん」。お母さんはオスカーがブラックさんを探していることに気付き、自分で一人一人回って「自分の息子が鍵を持って尋ねてきます。それが9.11で亡くなった父親からのメッセージだと信じているので、話だけは聞いてあげてください」と。ここでさらにパンチをくらいました(笑)。だから、みんなオスカーにとても親切だったんですね。きっと原作を読んでいると、ここはそんなにびっくりしないところなのでしょう。読んでなくてよかった(笑)。

とても悲しい父親の死と向き合い、母親とも再び絆を結び、おじいちゃんも呼び寄せ(笑)、ラストは爽やかでした。ブランコの裏の父親からのメッセージも最後の最後でわかるというのもこころにくい演出(笑)。

スティーブンダルドリーのストーリーテリングのうまさに脱帽の映画でした。


ヒューゴの不思議な発明

2012-03-09 09:43:55 | 映画
今回は今公開している映画「ヒューゴの不思議な発明」について。



これ、アカデミーでも作品賞にまでノミネートされていたんですよね。正直、このタイトルを見て「子供向けファンタジー」じゃないかって思ったんです。僕は原作も知らないですし。予備知識もなんにも無いし(笑)。でも、アカデミーがそこまで思いいれる何かがあるんじゃないかって思って観に行ってきました(笑)。監督はスコセッシだし(笑)。きちんと3Dで観ましたよ(笑)。

ここで内容を・・・



1930年代のパリ。駅の時計台にひそかに住む孤児の少年ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)の唯一の友達は、亡き父が残した機械人形だった。壊れたままの人形の秘密を探る過程で、彼は不思議な少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)とジョルジュ(ベン・キングズレー)に出会う。やがてヒューゴは、機械人形にはそれぞれの人生ばかりか、世界の運命すらも変化させてしまう秘密があることに気付き……。


と書いてあります(笑)。


父親の役がジュードローなんですねぇ。知らなかった(笑)。火事で亡くなってしまいますが、このお父さんが時計職人で機械仕掛けの人形を博物館から見つけて修理をしていたんですね。この意志をついで、ヒューゴもこの人形を直そうとします。それが父親と、現在感じている唯一の接点だから。それには背中にあるハートの形をした鍵を見つけないといけないのです。ヒューゴはおもちゃ屋(ジョルジュが経営している)からおもちゃを盗んでは、その部品を使って人形を直していきます。これがバレてジョルジュとの接点が生まれるのです。イザベルはジョルジュ夫婦の養女のような存在で一人ぼっちのヒューゴと次第に仲良くなっていきます。



とここまでは、ファンタジーの王道の雰囲気です(笑)。3Dで観るとこの世界観がすごくよく出ていることに気付かされます。いつのまにか、その世界に入ってしまう感じがしますよ。ちょっと高いけど、3Dで観る価値はあると思います。



ここからはちょっとネタバレの感じがありますので、あんまり情報を入れたくない方は読まない方がいいかもです(笑)。


で、このジョルジュが世界的特撮映画のさきがけでありその機械人形の生みの親、「メリエス」だったんですよね。この設定に素直に驚きました。メリエスの作品はすごく好きでした。月世界旅行なんか特集なども良く観ていましたから。奇術師だった彼が独学で映画を学び、スタジオをつくって特撮映画をどんどん作っていたことは知っていましたが、この映画はそんな彼が戦争が始まって映画作りをやめ、おもちゃを営んでいて映画から身を引いていたところに、ヒューゴが現われ、再び過去の自分の作品と向き合うというストーリーだったんです。映画の創世記に存在した偉大な監督であり特殊効果のパイオニアを称える映画だから、アカデミーの会員も感動したんですねぇ。そうだったか(笑)。この設定がわかってからは、俄然この映画が楽しくなりました(笑)。過去の彼の作品を大画面でしかも3Dで観れるなんて、感動しました。

パリの駅の中もCGを駆使しているのでしょうが、とてもキレイで楽しい作品です。子供向けのところも十分ありますが(笑)、映画が好きで、特撮が好きな方はメリエスの作品が大画面で観ることのできるチャンスですよ(笑)。

たのしい映画でした。