Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ハンガーゲーム(ネタバレ注意)

2013-12-13 15:47:44 | 映画
今回は映画「ハンガーゲーム」について。これ2012年公開の映画なのですが、僕は見逃してしまっていて、今度パート2が公開されるので、DVDを借りて観ることにしました。




アメリカのティーンの間では、小説も、映画も大ヒットした作品なのですが、どうも日本だけがあまり評価が高くないみたいなんです。似たような「バトルロワイヤル」があったからでしょうか。バトルロワイヤルは、過去に観たことがあるので、それとの違いも期待して、観ることにしました。


ここで、内容を・・・



富裕層によって支配され、パネムという名の独裁国家と化したアメリカ。そこで民衆の絶大な支持と人気を集めているのが、各地区から選出された12歳から18歳までの男女が森の中で殺し合い、生き残った者に巨額の賞金が渡されるという殺人サバイバル「ハンガー・ゲーム」だった。まだ幼い妹がプレイヤーに選ばれてしまったカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、彼女の代わりにゲームに出場することを決意。家族を養うための狩猟で鍛えた弓矢の腕と持って生まれた鋭い勘を生かし、強豪プレイヤーを打ち倒していくが……。



と書いてあります(笑)。





ジェニファーローレンスはウインターズボーンとおんなじような、妹や弟を守るために立ち上がるという役柄。こっちはSFですが。なんとなくかぶって見えるのは、僕だけなのでしょうか。お話は富裕層が植民地化している地区の反乱を抑えるために、毎年殺人ゲームをおこなって、その権力を保持し続けるというのが、大きな筋。ちょっと第9地区やこないだのエリジウムなんかに通じるテーマだと思いました。現在のどこかで、こんなことが行われているかもしれません。ということで、バトルロワイヤルとは、設定が違っているんだなぁって思いました。でも、子供たちが殺しあうっていう点では同じなのですが。

そして、この富裕層対植民地という図式がこれから、大きな意味をなしてくるということなんだと思います。だから、殺しあうのが目的ということではなく、この富裕層とこれからどう戦うかということが、この先のパート2、パート3に引き継がれていくのでしょうね。

だから、戦いまでが映画が始まって1時間くらいかかります(笑)。実はこのハンガーゲームは3部作の小説だから、前半はこの世界観の説明をどうしても、しないといけないということがあるからなんです。彼らプレーヤーはキャピトル(首都である大都市)の人たちにしてみると、ゲームのキャラクターそれだけなので、衣装や、ふるまいなどを指導してくれるスタイリストみたいな人が付くんです。これは面白いと思いました。そして、それによって、スポンサーがつくと、ゲーム中にいろんなものがそのスポンサーから支給されるシステムというのも、面白い設定です。ちなみにその役でレニークラビッツが出ていたことに驚きました(笑)。


2013年12月27日からパート2をご覧になる方は、その前に復習しても良いと思います。僕は結構楽しめましたが、途中「おや?」って思うところも多数で(笑)。

でも、ゲイは強い女性が好きですから、ちょっとかわいくないジェニファー・ローレンスですが、観ても損は無いと思います。


ここからはネタバレですので、ご覧になっていない方は読まないでくださいね。
























で、ストーリーは後半のゲームになるのですが、カットニスは持ち前のサバイバル能力を発揮して、生き残っていくんです。当然ですが。で、他に志願をしてきてるプレーヤー(彼らは最初のうち複数で手を組んで、彼女を殺そうとします)の裏をかいたり、黒人の女の子ルーと協力して、彼らを遺伝子操作されたスズメバチを使って、攻撃したりしていきます。こういうのはゲームとして、良いと思うのですが、途中で、主催者側からの攻撃があるんですよね。山火事を起こして、挙句の果てには、火の玉でカットニスを攻撃したりして。これってどうなんでしょうか(笑)。ハンガーゲームだから、生き残れば良いということなんしょうね。これも、バトルロワイヤルとは違う設定。

そして、同じ地区から代表になったピーターがカットニスのことが好きだったという告白をインタビューでしたところから、恋愛の要素がゲームに入ってきます。視聴者に対するアピールができるし、視聴率もあがるからということで、ルールも変更。「同じ地区の男女二人がのこれば、二人を勝者とします」って。

ゲームのルールも簡単に変えられてしまうんですよね(笑)。観てる方がその方が盛り上がるから。これは黒人の女の子ルーが殺されて、その地区で暴動が起きたということも原因の一つなのです。

でも、スノー大統領は盛り上がるよりも「殺せ」の方なんです。


で、ふたたび、猛獣が投入され、ラストに向かうんです。

猛獣(なんかよくわからないクリーチャー)が何頭も出てきて、カットニスとピーターを追いかけます。物資を運んできた飛行機の上に逃げるとそこには、もう一人、志願してやってきた殺人エリートのケイトーが残っていました。

そこで3人での戦いとなります。

ピーターの首を後ろから絞めて「俺ら二人を殺せ」ケイトーはカットニスにせまります。そうすればお前が優勝だからと。自分たちも騙されていたと告白(これ、ちょっとわからないところでした。特別扱いされていたと思っていたのかな)。

でも、カットニスはケイトーの手を弓を射るのです。そして、彼は猛獣の餌食に。でもその様子を上から観ていたカットニスは最後に彼から「殺してくれ」と頼まれ、最後頭を射るのです。

さぁ、二人が残ったと思ったら、またまた、ルール変更。「やっぱり勝者は一人」って(笑)。何これ?

ピーターは自分を殺すようにカットニスに言うのですが、カットニスは食べると死ぬ、毒の果実を持って、これを二人で食べて死のうと提案します。

そして、食べようとしたら、再び「やっぱり二人でも良い」となって、二人の勝者ができるというラスト。

スノー大統領はどうもカットニスのことが好きじゃないんですよね。なんでなのか。パート2はここから歴代の勝者を集めたゲームでカットニスを殺させようとするお話みたい。

この恋愛をカットニスは利用していたというのが、ラストにわかります。だって故郷には好きな人がいるからピーターを助けたかったということもあるのですが、なんかピーターかわいそう(笑)。

パート2はもっとお金がかかって、大きな映画になったみたい。

観に行こうと思っています。







47RONIN

2013-12-13 15:46:45 | 映画
今回は映画「47RONIN」について。



これ、みなさんもご存知のとおり、忠臣蔵がベースになったストーリーなんですが、世界観や映像はまったくちがって、ファンタジーの要素が満載です。気になってしまったので、観に行くことにしました。キアヌ・リーブスだしね(笑)。



ここで、内容を・・・




大石(真田広之)率いるサムライたちは、吉良(浅野忠信)とミステリアスな女ミヅキ(菊地凛子)のたくらみによって主君を殺され、自然が豊かな赤穂の領地を追われてしまう。さらなる謀略を企てる吉良の野望を阻止し、主君の敵を討つべく集まった47人の浪士たちは、はぐれ者の混血青年カイ(キアヌ・リーヴス)と手を組むことに。わずかな人数の彼らは、明らかに戦力差のある敵の軍勢の戦いに命を賭して身を投じる。



と書いてあります。


まぁ、キアヌ扮する「カイ」の設定がちょっと難しいと思いましたが、この世界観と映像であれば、もう何でも良いのです(笑)。なんだか柴崎コウ扮するミカの衣装もアミダラ姫みたいだから、スターウォーズ好きの僕としてみれば、すごく楽しかったし、こんな時代劇も面白いなぁと思ってみていました。戦闘シーンはエンジェル・ウォーズを思わせるようなところもあったし、これはこれで良いとおもいました。



天狗も鷹と人間の顔を足して2で割ったような設定というのも、「鳥だしね」と思わせたり、あと、天狗がチベットの僧侶みたいな恰好なのも、仏教と天狗はつながるしね、と思わせたり、僕は楽しめましたよ(笑)。そして、大石内蔵助に対して、「何があっても剣を抜くな」という試練も、スターウォーズに通じるところあるし、良かったです。

長崎の出島のシーンなんか、パイレーツ・オブ・カリビアンみたいで、こういう設定も面白いなぁって思いました。

調べるとこの監督、カール・リンシュはCMで有名な人みたいですね。他の映像を観ましたが、なかなか独創的なSFの世界を描くのが得意な人みたいです。写真をみると、ごつくてけっこうかっこいいです(笑)。右端のひと。ゲイ受けは良いとみました。



ただね、どうしてこの作品を作ったのかが、よくわからない。世界に日本の「忠義」や「自己犠牲」の精神を知らせたかったのか、単に物語として、おもしろいからなのか、よくわからないんです。とりあえず、有名なのはキアヌだけでしょ。世界ではね。ハリウッドの映画に出ている真田博之はわかるけど、菊池凜子は演技がうまいのかがわからない(笑)。というのも、今回吹き替えで観たんです。そしたら、菊池凜子だけが、すごく不自然で(自分の吹き替えなのに)、下手なんですよ。日本語の演技はダメなのかなぁ。

日本人が観れば、知った顔が出ていて、しかもお金のかけ方がすごいから、日本映画っぽくはないし楽しめるけど、他の国の人たちが、これを観に行くのかなぁと疑問に思いました。

まぁ、「こんなの忠臣蔵じゃない」と思う方もたくさんいると思いますし、否定的な意見が多い映画ですが、僕はSFオタクだし、こういうのけっこう好きなので、楽しかったんです。

そう思う人だけ、観に行ってください(笑)。12月は忠臣蔵の季節。こういのもありだと思いますよ~。




永遠のこどもたち(ネタバレ注意)

2013-12-08 11:41:23 | 映画
今回は映画「永遠のこどもたち」について。



僕はスペインに友人がいるので、なんかスペインにも親近感があって、スペイン映画もよく見るようになりました。でもこれはまだ観ていなかったので、DVDで観ることにしました。

プロデューサーはパンズラビリンスのギレルモ・デル・トロ。監督はこれが長編デビューのJ・A・バヨーナです。ちなみに、彼はその後ナオミ・ワッツとユアン・マクレガーの映画「インポッシブル」を撮るんですね。これもまだ観ていないのですが、津波に遭遇した家族の映画ですよね。アカデミーでもノミネートされていました。やはり才能ある監督さんなんですね。


ここで内容を・・・




孤児院で育ったラウラ(ベレン・ルエダ)は、長らく閉鎖されていたその孤児院を買い取り、障害を持つ子どもたちのホームとして再建しようと夫のカルロス(フェルナンド・カヨ)、息子のシモン(ロジェール・プリンセプ)とともに移り住んでいた。だが、シモンは遊び相手のいない寂しさから空想上の友だちを作って遊ぶようになり、その姿にラウラは不安を覚える。そして入園希望者を集めたパーティーの日、シモンはこつ然と姿を消してしまい……。



と、書いてあります(笑)。




映画を観終わって、なんだか、切ないのに幸せな感じというか、不思議な感覚になる映画でした。パンズラビリンスでも感じたような感覚。これ、スペイン映画だからなのでしょうかね。独特な解釈があるような気がして。ホラーサスペンスの要素があるのですが、そこに、母子の愛が感じられるんです。


ゴシックホラーがお好きな方は、ご覧になってみてください。そしてこの独特の感じに浸るのも良いと思います。おススメします!


ここからはネタバレです。絶対にご覧になっていない方は読まないでくださいね。































この神隠しのようにいなくなってしまったシモン。ラウラは訪ねてきた一人の老婆(たしか、政府から来たと名乗っていたとおもうのですが、書いているときには、ちょっと忘れてしまいました)が怪しいと思うようになり、過去を調べていきます。そうしたら、いぜんこの場所(ラウラもいた孤児院)で働いていた女性だったことが判明。そして、彼女には息子がいたんです。でもその息子は奇形で、孤児院の中でも皆に嫌われ、そして、子供たちのイタズラによって、死んでしまうのです。このときラウラはちょうど孤児院を出ていたので、この事件のことは知らないのです。



自分の子供を殺された女は子供たちに毒入りのケーキを与え、全員を殺してしまいます。そして、遺体を窯で燃やしてしまったのです。彼女はその遺体をばれないように回収しようとして、この屋敷に来たのでした。

この子供たちの霊がラウラやシモンにも見えていて、なにより奇形の息子の霊の存在が一番大きく感じられていたのです。

この老婆がシモンを連れていったに違いないと考えたラウラは必死に彼女を探し、ついに見つけるのですが、その直後に彼女は交通事故で死亡。

シモンはどこにいるのか?

ラウラはシモンがいなくなった日のことを思い出します。「袋をかぶった友達の部屋にいく?」とシモンが言っていたことを。シモンがしかけた、宝詐探しゲームをしながら、どこにその部屋があるかを突き止めます。それは屋敷の地下でした。そこにあの奇形の男の子が幽閉されていたのです。

その階段の手すりが一部くさって落ちています。気を付けながら進むとそこには、袋を被った男の子が床に倒れていました。その袋をとってみると・・・

数か月前に失踪したシモンが変わり果てた姿で、横たわっていたのです。そう、シモンは手すりからおちて、上がることができず、亡くなっていたのです。彼女が感じていた、「霊」よる、物音はシモンが出していた音だと気付き、あの日地下室への入り口を鉄の棒でふさいでしまったのが自分だったことも気が付き、絶望からくる叫び声を出します。

救うことができなかったこと悔やむラウラですが、遺体にキスをすると、生き返る幻想をみるのでした。

そして、彼女は薬を大量にのんで自殺してしまうのです。

ですが、そこから、彼女はシモンや過去に殺された5人の孤児院の仲間たちと「永遠」に幸せに暮らすのです。



このラスト、パンズ~の時にも思いましたが、亡くなることで幸せになるということ、この独特の死生観がなんとも良いなぁと思うのです。死ぬことを美化している訳ではないのですが、ここに何か「救い」のようなものがあると思うのです。

こういう雰囲気、スペイン映画ならではって気がします。



インシディアス(ネタバレ注意)

2013-12-08 10:52:50 | 映画
今回はホラー映画「インシディアス」について。
こないだDVDで観たんですよね。監督はソウシリーズのジェームズワン。主演はパトリックウイルソン。ホラー好きとすれば、気になっていた作品なのですが、公開当時は見逃してしまったんです。ということで、借りてみることにしました。





ここで内容を・・・



ジョシュ(パトリック・ウィルソン)と妻のルネ(ローズ・バーン)は、3人の子どもと一緒に新しい家に移り住む。彼らは、多少老朽化してはいるものの、広い家で子育てと仕事に専念するはずだった。だが、引っ越し直後から屋根裏で奇妙な物音が聞こえたり、勝手に物が移動したりする現象が起こり始め、一家は不安に陥る。



と書いてあります(笑)。



パラノーマルアクティビティの監督も関係している映画なので、基本的なストーリー展開は似ています(笑)。子供の一人が目にはみえない友達ができたり、急に扉が開いたり、というあたりもなんだか似ていますね。で、この子供のうち長男の意識がなくなって、どんな検査をしても原因がわからないというあたりから、物語が進んでいきます。一気に3か月後って感じで。原因不明の昏睡が家のせいだと感じたルネは引っ越しをします。でも、また不穏な物音や人影に付きまとわられることになるんです。

この霊たちはなぜ、彼らの周りに集まるのか、子供が書いていた絵の中に描かれた顔が燃えたような人は誰なのか、どうやら、その鍵は父親のジョシュにあるようなのですが・・・。

ホラー好きであれば、観てもよいと思いますが、すごく面白かったかといわれれば、「うーむ」という感じ(笑)。すごく目新しいところはないかな~。もうちょっとパンチがあってもよさそうだと感じました。続きがあるような終わり方だったと思ったら、続きも公開されていたんですね。であれば、続きも観ようかなと思います。

ここからはネタバレです。絶対にご覧になっていない方は読まないでくださいね。
































で、この霊たちは、昏睡している子供の体がほしくて集まってきているというのが、最初のオチなんです。この子供、幽体離脱をすることができ、離脱して体に戻れなくなってしまったのが、昏睡の真相です。



そして、この幽体離脱できる体質が実は父親のジョシュもそうで、過去に霊媒師の助けを借りて、霊を祓った経験の持ち主だったのです。でもそのことをジョシュは覚えていません。写真に写ったジョシュの陰にいつも映っていた老婆。この老婆が彼の体をほしがっていたのです。なので、母親は霊媒師にたのんで記憶を消し、写真もなるべく撮らないようにしていたのです。だから、ジョシュの母親が今のジョシュの家族写真をみて「写真に写っている」と、ちょっと不思議そうにセリフを言う場面があるんです。ここで、僕は「なんか変だな~」と感じました。

子供の時に祓ってもらった霊媒師に再び頼んで、子供の魂を救いに、ふたたびジョシュが幽体離脱をするというのが、ラストにむかう重要な鍵。

あの赤い顔をした人物は悪魔で、なんとジョシュの体を悪魔がほしがっていることがわかります。この赤い顔の悪魔なんですが、僕にはどうしても「ダースモール」に見えてしまうんですよね(笑)。僕がスターウォーズオタクだからなのでしょうか。だから、ぜんぜん怖くない(笑)。

幽体離脱して、息子の魂を救いに行く場面がちょっと安っぽい感じしました。60年代のB級ホラーチックというか。あえてなのでしょうが、僕的には「ちょっと・・・」といった感じです。

まぁ、とにかく霊のじゃま、悪魔の攻撃にも耐え、魂を戻したジョシュですが、その途中であの老婆と再び対面。「俺はあんたには、負けない」って言うのですが・・・。

現実にもどったジョシュのみんなでねぎらって、良かったね~、となっていたのですが、霊媒師が異変に気づきジョシュのことをデジカメで撮るんですよ。そしたら、彼はすごく怒って、霊媒師を絞殺してしまいます。そう、あの老婆はついに彼の体を手にすることができたんです。っていうラスト。

続きが気になりますよね。すごく面白かったっていうわけでもないのに(笑)。

パラノーマルアクティビティもそうですが、続きが気になるけど、結局最初の映画を超えることはないんですよね。

と、わかっていても、観てしまうのですが。





キャプテンフィリップス

2013-12-05 17:16:02 | 映画
今回は映画「キャプテンフィリップス」について。





主演はトムハンクス。監督はボーンシリーズのポール・グリーングラス。実話をもとにした映画です。当然実話なので、ストーリーは決まっています。そう、船長であるリチャード・フィリップは助かるのですが、そこまでがどのようになっていくのかが、知りたくて観に行きました。ちなみに映画館で映画を観るのは2か月ぶりくらいになってしまいました(笑)。


ここで内容を・・・



2009年4月、ソマリア海域を航海中のコンテナ船、マークス・アラバマ号を海賊が襲撃。武器を所持していた4人の海賊に、武装していなかったアラバマ号はあっという間に占拠されてしまう。船長のリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、20人の乗組員を自由にしてもらう代わりに自らが海賊の人質となり……。




と、書いてあります。




映画を観終わって、「演技じゃないみたい」というのが第一の感想です。トムハンクスがすごいという評判だったのですが、もちろん彼の演技はすごいと感じました。演技ということを感じさせない、生の人間の感情がそのままあふれている、すばらしいものだったのですが、それ以上にすごいと思ったのがソマリアの海賊を演じた、人たちだったのです。

映画の中の彼らは、漁師なのに、軍事政権からの容赦ない金の徴収から海賊となっていく苦悩や、まともな教育も受けられず、ただ、感情のままに行動する、暴力的な人間になってしまう悲劇、などを、ほんとうにうまく演じていると思いました。特にフィリップ船長の船に、入ってから、「意外と頭がきれるなぁ」と思ったムサという男を演じたバーガット・アブディは、ほんとうにそういう人みたいで、すごかったです。僕は彼らに何か賞をあげたくなりました(笑)。

ポール・グリーングラス監督の映画では、リアルさというのがすごく意味をなすと思うのですが、そういう意味では、ソマリアの海賊を演じた人たちと、あともう一つ特殊部隊シールズを演じていた(というか、何もセリフがなく、最後に銃で海賊を撃つのですが)人たちもすごい「本当の人たち」みたいでした。

海軍が出てきた時点で、「絶対勝ち目なんかない」と思うと同時に、船長は助かるとわかっていても、ハラハラしてしまう演出はさすがだと思いました。

すごいアクションを期待してみる映画ではないし、ほとんど、救命艇の中だし、手振れのするカメラなのでちょっと気持ち悪くなるし(笑)、皆さんにおすすめするという映画ではないかもしれませんが、こういうことがあったのかという事実(のようなもの)が知りたいと思う方はぜひご覧になってみてください。