Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ピエロがお前を嘲笑う(ネタバレ注意)

2015-12-03 17:22:54 | 映画
今回は映画「ピエロがお前を嘲笑う」について。




僕の住んでいる地域で、やっと公開されるようになって、こないだようやく観に行くことができました。9月くらいから話題になっていた作品だし、「騙される」っていうコピーもあって、「騙されてみようじゃないか」という意気込みで観に行って参りました。



ここで、内容を・・・



世間を震え上がらせたハッキング事件を起こし、さらに殺人容疑で追われる天才ハッカーのベンヤミン(トム・シリング)が警察に出頭してくる。ハッカー集団「CLAY」に加担して盗んだ情報によって殺人事件を引き起こしてしまい、今度は自分が狙われていると告白。その自白を基にベンヤミンの身辺調査に着手した捜査員は、不可解な事実を次々に見つけだす。



と書いてあります。



映画のスタイルはベンヤミンが警察で担当者に、ことの顛末について話をするスタイルで進みます。この構造、どっかでみたことあるでしょう?そう「ユージュアルサスペクツ」!

このスタイルから、彼が言っていることが本当なのかどうかというところがミソになっていて、映画好きであれば、絶対知っている映画をベースにしながら話は展開していきます。だから、これって嘘?ほんと?なんて考えながら映画を観ていくことになります。これは面白かったです。

この映画の中でハッカーの親玉みたいな存在のMRXっていうのが出てくるのですが、このアンダーグラウンドネットの世界の描写がクールでかっこよいです。あと、音楽もドイツのテクノがなかなかあっていて、かっこよさを演出しています。このMRXが自分のグループから政府に寝返っていたハッカーを殺したのですが、今度はベンヤミン達が危なくなるというストーリー。ユーロポールの捜査官はこのMRXとその仲間フレンズをどうしても捕まえたいのです。



でも、MRXがすごいっていう話だけで、彼がどんなサイバー犯罪をしたかは描かれてないんですよね。ちょっとそれが、不満というか(笑)。

CLAYのメンバーが殺されてしまって、ベンヤミンはどうするのか?気になりますね。

気になる方はぜひ、ごらんになってみてください。いろんな伏線が張られているのですが、映画好きならラストのオチも予想がつくと思います(笑)。

あとね、出演者が小島よしおになる場面があるので、注意して観てください(笑)。ネタ的には古いのに。


ここからはネタバレです。ごらんになっていない方は絶対に読まないでくださいね。



























ベンヤミンが捜査官に話しているお話し、だいたいは本当で、ウソがちりばめられているのです。何のためにウソをつくかと言えば、自分とその仲間を救うためなのです。

まず、ベンヤミンは自分の仲間の話をします。一人はカリスマ性があり、一人は無鉄砲、一人は慎重派、彼らのバッググランドに共通するのは、両親がいないこと。そして、学生の時にちょっと好きだったマリという女性も大学で(ベンヤミンはピザの配達人として出入り)であいます。

MRXに認められたいCLAY(clowns laugh at youの略)のメンバーは政府の施設のハッキングに成功し、MRXにその中の情報をわたします。でもそれがもとで殺人が起きてしまい、こんどは自分たちが危うくなっていきます。MRXを罠にはめようとして、かえって自分たちがはまってしまい、居所がバレて暗殺者がやってきて、ベンヤミン以外のメンバーが殺されてしまって、その証人保護を求めてベンヤミンは捜査官に協力するのです。

まず、証人保護を認めてくれたら、自分がMRXの居所を突き止めるという条件を出すベンヤミン。

その条件は満たされたと思ったところ、この捜査官が「何かおかしい」と思いだします。メンバーの一人が受けたといっていた手の傷がベンヤミンにあるのです。

一抹の不安を覚えた捜査官でしたが、ベンヤミンの協力のもとMRXの逮捕ができたのです。なんと19歳のオタクっぽい男の子。

捜査官はいろいろベンヤミンのことを調べ始めます。メンバーと4人で暮らしていた、ベンヤミンの祖母の家は燃やしたと言っていたはずですが、きちんと残っています。殺人があったホテルから持ってきたという薬莢は祖母が大事にしていた、祖父が第2時世界大戦で使用した薬きょうだったこと、祖母が認知症で入院しているところの医師に、ベンヤミンのお母さんが解離性同一障害(多重人格者)で、自殺していたことをしります。そして、それが遺伝する可能性があること。ベンヤミンが服用していたリタリンという薬(これは覚せい剤と同じ成分)によって、それがひどくなる可能性があること。

マリにも大学で話を聞くと、彼とは全く会っていないという話をします。

そう、捜査官はベンヤミンが多重人格者で実はメンバーと言っていたのはすべてベンヤミンだったのではと思うのです。

ベンヤミンの部屋のポスターがファイトクラブなのも、うまい演出だと思いました。このベンヤミン、エドワードノートンに似ているし、ファイトクラブは2重人格の話だしね(笑)。

捜査官はベンヤミンに精神障害があると、証人保護プログラムが受けられないことを話ます。あせるベンヤミン。その姿をみた捜査官は自分がベンヤミンを連行するということにして、捜査局のプログラムに侵入させ、記録を消し別人になることを勧めます。そうして、姿を消しなさいと。


ここ、第一のオチね(笑)。








そして、ベンヤミンを車から降ろす時に、捜査官が尋問している時に見せた角砂糖のマジックのトリックを聞きます。そうするとベンヤミンは「人はみたがるものを見る」といって、車から降りていきます。


この時ね、ベンヤミン越しの車のそとにピエロの仮面をかぶった仲間が一瞬ぼんやりと映るので、チェックしてみてください(笑)。



車から降りて、さっていくベンヤミン。捜査官はそれもウソだと気づくのです。



髪の毛を染めて、フェリーに乗っているベンヤミン。そこへ、仲間の4人とマリが加わります。つまり、彼らは本当に存在していたし、実際の事件もあったということ。

ここで、大事なのは、メンバーがいなかったことになれば、MRXから逃げまわることは無くなるし、ベンヤミンの記録を抹消して、新しい人物になれば、それも安心という作戦だったのです!これにはマリが手助けしていて、証人保護プログラムは精神疾患には適応されないことを調べ、それを利用しようとなったんです。だから、ベンヤミンは自分の手に釘をさすことに(笑)。


この監督も脚本家も多重人格というところは、観客も予想すると考え、それ以外のオチを作ったのでしょうね。この監督さんも脚本家もそうとう映画が好きなのかなと感じました。


ハリウッドでもリメイクされるそうですが、オチがかわることを望んでいます(笑)。











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