Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

セッション(ネタバレ注意)

2015-06-18 11:42:39 | 映画
今回は映画「セッション」について。




これ、アカデミー賞にノミネートされて、はじめて知った映画です。ジャズも好きな僕としてみれば、とても興味がありました。


ここで内容を・・・


名門音楽学校へと入学し、世界に通用するジャズドラマーになろうと決意するニーマン(マイルズ・テラー)。そんな彼を待ち受けていたのは、鬼教師として名をはせるフレッチャー(J・K・シモンズ)だった。ひたすら罵声を浴びせ、完璧な演奏を引き出すためには暴力をも辞さない彼におののきながらも、その指導に必死に食らい付いていくニーマン。だが、フレッチャーのレッスンは次第に狂気じみたものへと変化していく。




と書いてあります。



この監督、「グランドピアノ」の脚本の人なんですね。そして、制作総指揮がジェイソンライトマン。アイバンライトマンの息子ですよね。


観終って、「ジャズって体育会だったんた!」っていう感想。


フレッチャーに気に入られようと必死な学生。なんといっても彼は偉大な先生なのだから。でもそのしごきがものすごい(笑)。ちょっとのズレも許さない。これが彼のこだわり。ニーマンはそんな彼に誘われて彼のバンドに入ったのだから、最初はうれしくてたまらない。でも、だんだんとフレッチャーの指導に翻弄されてくるニーマン。


フレッチャーを演じたJ・K・シモンズがとにかくすごい(笑)。「フルメタルジャケット」の鬼教官と同じ。
そして、ニーマン演じるマイルズテイラーもうまかったです。ちょっと好きな女の子ができるけど、練習で忙しく、結局破局しちゃうんだけど。こういうところもうまかったと思います。

壮絶なラストが待ち受けるこの作品。

派手な映画ではないけど、人間ドラマが好きで、ジャズがお好きであれば、ぜひどうぞ。



ここからはネタバレです。ご覧になっていない方は読まないでくださいね。


















でね、このニーマンは練習のし過ぎで、フラフラの状態で車に乗って、コンテスト会場に向かいます。途中で、事故に合うのですが、なんとか血まみれで会場に着きます。演奏するのですがそれはやはり失敗に終わり。フレッチャーから破門を言い渡されてしまいます。ダメ犬扱い。

くやしいニーマンはフレッチャーの指導方法を学園の上層部に内部告発し、フレッチャーの行き過ぎた指導をもとにフレッチャーは解雇されてしまうのです。

このあたり、おもしろいですよね。


そして、街で偶然フレッチャーと出会うニーマン。フレッチャーは今自分が指揮しているバンドに出演してくれるように頼まれます。
本番を迎え、いざ演奏となった時に、言われていた曲とは違う曲を演奏させられることに。フレッチャー、復讐してきました(笑)。

ここでニーマン、負けるわけにはいかないですよね。で、自らリズムをとり、勝手に演奏を始めます。

ここから、ラストまでの10分くらいが見ものの演奏になります。

渾身のちからを込めてドラムに没頭するニーマン。

その演奏にだんだんフレッチャーものってきて、二人の「セッション」がはじまっていきます。

映画のラストは演奏が終わった瞬間に迎えます。


すごい映画でした。

僕はジャズの世界がこんなに、体育会だとは知らなかったんですよね。才能のある人たちがどちらかというと、楽しみながら音楽をつくっていくようなイメージだったのです。

こんどニューヨークに行ったら、ジャズクラブに行こうと決めました。






バードマン(ネタバレ注意)

2015-06-18 11:11:27 | 映画
今回は映画「バードマン」について。





アカデミー賞でも話題のこの映画、観たのが2月くらいだったので、これを書く時点でなんか忘れちゃってるところがあるのです(笑)。
でも、面白い映画でした。

主演はマイケルキートン、監督はアレハンドロ・G・イニャリトゥ。


ここで内容を・・・



かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡(ふうび)した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め……。



と書いてあります。



もう、最初っから「これ、何?」っていう映像から始まるんですよ。マイケルキートン演じるリーガンがパンツ一丁で宙にうかんでるんですから。

そう、この映画はファンタジーなのだと、冒頭から示していると思うのです。


ここから、映画はブロードウエイでの劇場の中をいったりきたり、いろんな人たちが出ては消えてと言う中で、物語があたかも一つのカメラで撮影しているかのように進んでいきます。

かつての自分(一世を風靡した俳優)と今の自分の置かれている立場の葛藤と、舞台に復帰をかけることでなんとか立ち向かおうとするけど、そこへ現れるマイク(エドワート・ノートン)のなんとも嫌味というか、なんというかの態度も彼を逆なでするし。





ですが、この映画の面白さはそういった、複雑な心境を独特な視点と、撮影方法で描いているところだと思います。

はっきり言って、好きか嫌いかが分かれると思います。

ですが、映画や映像に興味があれば、ぜひご覧になってくださいね。


ここからはネタバレです。ごらんになっていない方は読まないでくださいね。




















で、リーガンは様々な葛藤から、自分を見失うようになっていくのです。バードマンが頭の中から実際に現れて彼にいろいろと話かけてきます。また、自分がバードマンのように空を飛んでいるような感覚になる場面も出てきます。

自分の舞台で演じる役柄が最後銃で自殺するシーンがあるのですが、そこで、彼は本当の銃で自分を撃ってしまいます。

僕は死んじゃった!って思ったのですが、実はその後も話は続きます。ここでやっとカットが変わって病室に移ります。

娘に看病してもらうリーガンですが、意を決したように窓に向かい、そっと窓から飛び出すのです。

ここでも、やっぱり自殺したかったんだって思ったのですが、ラストのカットで娘が病室に戻ってきて、ベッドに父の姿がなく、空いている窓に近づき、下をみるのではなく、上を見上げるのです。そして、微笑む。

このラスト、なんかすごく良いなぁって思いました。飛んでいっちゃったってことなのかなぁって。

ここで冒頭の宙に浮かんでいるシーンが思い出され、結局はファンタジーだったんだって、一人納得してしまいました。

このファンタジー感を許せるか許せないかが、この映画に対する好みだと思います。



僕は結構好きな映画でした。