Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

イントゥ・ザ・ウッズ(ネタバレ注意)

2015-03-22 11:24:43 | 映画
今回は映画「イントゥ・ザ・ウッズ」について。




なんといっても、ゲイはミュージカルが好きということで、この作品を観てきました。実はブロードウエイの舞台版のミュージカルを観ているので、内容やオチは知っているのですが、映画になるとどうなるかが気になっていました。


ここで、内容を・・・



魔女(メリル・ストリープ)に呪いをかけられたために子供のいない夫婦は、「子を授かりたければ、四つのアイテムを森から持ち帰るのだ」と魔女に命令される。夫婦は赤いずきん、黄色い髪、白い牛、黄金の靴を手に入れるべく森へと出発する。一方赤ずきん、ラプンツェル、ジャック、シンデレラ、魔女、オオカミ、2人の王子も森に足を踏み入れており……。



と書いてあります。




もともと、このミュージカル、実はかなりブラックなお話しなんですよね。そして、コメディーの要素が強いのです。だから、舞台版ではみんなかなりゲラゲラと笑っていて、おかしいミュージカルなんです。

でも、この映画版、そのコメディーの要素とブラックな要素が抜けてしまっているように感じました。監督のロブ・マーシャルは映画版シカゴは良かったのですが、ナインは今一つだったし、今回のイントゥ・ザ・ウッズもちょっと今一つな感じがしました。


舞台版では狼男とラプンツェルの王子が二役なんですが、映画版ではオオカミ男をジョニーデップが演じていることで話題ですよね。でも、出番は少ないので、友情出演的な感じしました。

シンデレラのチャーミング王子を演じているクリス・パインは良かったです。歌もうまいし、ちょっとおつむが弱くて、マッチョなキャラは彼にぴったりな感じでした。

うーん、この映画、よほどこの出演者のファンとかじゃないと、つまんないかもしれません。

役者さんの歌がうまいというところは評価しますが。

舞台版を観た人であれば、どうしても比べてしまいますし。

興味があれば、ごらんになってみてください。


ここからはストーリーの内容がでてきますので、ごらんになっていない方は読まないでくださいね。

















でね、森の中で、いろんなことが起こるわけですよ(笑)。ジャック(ジャックと豆の木)の牛は途中で死んじゃうし。

シンデレラの金の靴(ガラスの靴じゃないんです)や赤ずきんの赤いマント、ラプンツェルの黄色の髪の毛、これらを集めるまでがほんといろいろあって、それがコメディーのようになっているのがおもしろさなのですが、どうも、映画版はシリアスな感じと、森の演出がどうも「暗い」感じがします。

巨人(ジャックと豆の木)が出てくるところで、実はこの巨人、女性だとわかるシーンがあります。ジャックに夫を殺されてしまった奥さんが地上に降りてくるんですよね。

ここから、ストーリーは大きく展開していきます。

シンデレラは夢がかなったはずですが、王子との結婚を後悔してしまいます。そして、ついに城を飛び出します。

ジャックのお母さん、殺されてしまうんです。それも巨人にではなく、あまりに騒ぐので、一緒に逃げていたシンデレラの王子の従者に頭を殴られて。このシーンも舞台版はすごく面白いのですが、やはり、映画ではそのブラックコメディの感じ、少ないです。



メリルストリープ演じる魔女と娘ラプンツェルのシーンは舞台同様、良いシーンです。歌が素敵です。

ただ、魔女が牛にマント、靴、髪の毛を食べさせて、出てきたミルクをのんで、すごく若返るというシーン、舞台ではマジックのようにすごく若くてきれいになるのですが、映画の場合、メリルストりーぷですから、すごく変わったって感じあんまりしません(笑)。

そして、パン屋の夫婦は子供を授かるのです。でもね・・。パン屋の奥さんは森でチャーミング王子と何回か出会ううちに、恋心をいたくようになっていきます。


チャーミング王子とパン屋の奥さんがキスをしてしまったあと、このパン屋の奥さんは崖から落ちて死んでしまうのですが、ここも同様に映画だとコメディーな感じがあんまりしません。


巨人を退治していく準備をしてく中で、シンデレラとパン屋の主人、ジャック、赤ずきんちゃんの絆が深まっていきます。

そして、最後、お母さんを亡くしたジャック、赤ずきんちゃん、シンデレラ、パン屋の主人と赤ちゃんが疑似家族となり、一緒に暮らしていくというストーリー。

舞台だとここから、オールキャストによるエンディングになります。そこで、シンデレラの王子は白雪姫と、ラプンツェルの王子は眠れる森の美女と結婚したことがわかります。映画版では、それが無いです。ここも舞台ではけっこう笑うところなのですが。

なかなか、ミュージカルの映画化って難しいんだなってつくづく感じました。舞台は舞台で観る方がよいものってありますね。






博士と彼女のセオリー(ネタバレ注意)

2015-03-17 13:47:56 | 映画
今回は映画「博士と彼女のセオリー」について。



これ、アカデミー賞で主演男優賞を獲ったことでも有名な映画ですよね。主演のエディ・レッドメインはレミゼラブルでマリウスを演じた人です。歌もうまかったけど、演技もうまいんだなぁと改めて思いました。だって、この映画を観終わって、この人にアカデミー賞をあげたいって本気で思いました。というのも、僕はアカデミー賞の発表以前にこの映画を観る機会があったからなのです。そしたら、じっさいそうなって「やっぱり~」と思いました。


言わずと知れた、スティーヴン・ホーキング博士のお話し。僕は彼のこと、宇宙の起源を見つけたすごい人っていうくらいしか知らなかったので、彼の人生がどうなのかをまったく予備知識なく観ました。


ここで内容を・・・




天才物理学者として将来を期待されるスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)はケンブリッジ大学大学院に在籍中、詩について勉強していたジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い恋に落ちる。その直後、彼はALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し余命は2年だと言われてしまう。それでもスティーヴンと共に困難を乗り越え、彼を支えることを選んだジェーンは、二人で力を合わせて難病に立ち向かっていく。





と書いてあります(笑)。




僕、博士が20歳くらいまでは普通だったって知らなかったのです。それにまず驚きで、そして、この当時は余命があと2年と言われていたことにも驚きました。

正直、僕はこの2年間というところが、二人を結婚にいたらせたんじゃないかなって感じたんです。若さもあって。

そして、僕が驚いたのは、ホーキング博士に子供が3人もいることです。もちろん最初は症状も軽くて、生活にもさほど支障が無い状態だからわかるのですが、次第に症状が悪化していく中でも、二人の証のように子供を授かっていくのは喜ばしいことである反面、博士にしてみると、自分の世話だけでもかなり大変なのに、子供たちの世話もしなければならないジェーンを見るのはつらかったと思うのです。

ジェーンの献身的な看病と、技術の革新によって、博士は病状が進んでも、研究を続けることができるのですが、ジェーンにも女としての幸せを願う気持ちが出てくるんですね。

このあたり、あ~、わかるなぁと(笑)。

博士は彼女に教会で歌を歌うグループにいくことを勧めます。そこで出会ったジョナサン。ジェーンは彼に惹かれていきます。最初の方は、ダメだと思うんですよ。彼女も。だから、博士にも合わせて、一緒に食事をするんですよね。そこで、博士は自分の世話を手伝ってくれるように彼に言うんです。そうすることが、彼女と彼を合わせておけるからだと僕は思いました。このころになると博士の症状も進んでいて、力のある人じゃないと、いろいろと大変になっていたのも事実ですが。

ここら辺の博士の気持ちをほとんど動かないで演技していた、エディ・レッドメインはすごいです。


美しい夫婦愛ということではない映画ですが、さわやかさが残る映画だと思います。

興味があるかたは、ごらんになってみてください。


ここからはネタバレです。ごらんになっていない方は読まないでくださいね。
















でね、やっぱりジェーンはジョナサンのことが好きになっていくんですよ。それは当然なことですよね。博士が講演先でクラッシックのコンサートに行っている時に、突然倒れ、人工呼吸器をつけるようになる(つまり話ができなくなる)シーンで、彼女はジョナサンと子供たちとキャンプにいっている(これは博士も知っていること)んです。そこで、二人がかなり近づくのですが、電話で呼び出されしまいます。

ここもなんとも、切ないんですよね。


それでも献身的に看病を続けるジェーンはジョナサンと別れることにするのです。


でも、博士に言葉を、カードを使って表現する方法を教えているとこで、博士のことをすごく慕ってくる女性が現れます。この女性の存在がジェーンを再びジョナサンのもとにもどらせるきっかけになっていきます。この女性が博士の世話をいろいろとおこなってくれるようになります。

ここらへんも、「こんなことがあったんだぁ」と感じるばかりで(笑)。

そしてラスト。

エリザベス女王からの招待にジェーンと、子供たちとともに、出席するのです。

このシーンとてもすてきでした。

現在も存在している人物の話を映画にするということってすごいことだと思うのですが、この映画はとてもすてきに作られていると思います。







アメリカンスナイパー(少し、ネタバレ注意)

2015-03-13 15:04:51 | 映画
今回は映画「アメリカンスナイパー」について。






これは、実話がもとになっているのですが、僕はこの人のことほとんど知らない状態で映画を観に行きました。この映画が公開されてから、彼がアメリカでは英雄として非常に有名だということを知った状態だったのです。

ですが、監督がクリントイーストウッドということと、ブラッドリー・クーパーが主演ということもあって、観に行くことにしました。


ここで、内容を・・・




イラク戦争に出征した、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)。スナイパーである彼は、「誰一人残さない」というネイビーシールズのモットーに従うようにして仲間たちを徹底的に援護する。人並み外れた狙撃の精度からレジェンドと称されるが、その一方で反乱軍に賞金を懸けられてしまう。故郷に残した家族を思いながら、スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。4回にわたってイラクに送られた彼は、心に深い傷を負ってしまう。




と書いてあります(笑)。






映画を観終わってみて、反戦映画ということではないんだなということを、まず実感しました。戦争の悲惨さとか、つらさを描くというよりは、一人の人間の人生がどのように変化していくのかを、リアルな戦争シーンをいれて描いていると思ったのです。

カイルは、カウボーイだったのですが、それもうまくいかず、女にもフラれて、希望がなかったときに3.11のテロがあり、軍に入隊するのです。そこで彼は、自分の存在が認められるところがあるということを感じたと思うのです。小さい時から、厳しい父親に育てられた経験もあって、それまでの自分が嫌だったんじゃないかなって考えていました。

そこでスナイパーとして認められ、活躍するようになるのですから、戦争によって、自分の居場所ができたと思ったのかなと。

そして、人生を共にする女性とも出会い、幸せな日々を送るように見えます。

でも、守るべき人が出てくることで、また彼にとっての「戦場」の意味がまた変わってくるのです。子供ができてれば、なおさらです。ここら辺くらいから、だんだんとカイルが、戦場と自分の家族との生活という二つの世界を行き来するたびに精神を病んでいくことになっていきます。守れなかった同僚の死や、時分も危険な目に合うこともあり、日常の生活に戻っていくことができない苦悩も描かれます。

この過程が観ていて、とてもつらくなる感じしました。


「ハートロッカー」という映画も同様のテーマでしたね。



話題になっているから観てみるということでも良いと思うのですが、僕は好き嫌いが出る映画じゃないかなと感じています。反戦映画を期待すると、期待外れになるかもしれません。

興味がある方はごらんになってみてください。


ここからは、ラストに触れますので、ごらんになっていない方は読まないでください。













カイルは戦場からもどったあと、自分もPTSDにさいなまれることとなって、セラピーをうけます。そして、同じように戦争にいって心と体にに傷を負った兵士のケアをすることで、自分にも居場所を作ることとなるのです。

そして、やっと家族とも平穏に暮らせるようになったところで、そのケアしていた元兵士に殺されてしまうのです。


僕はまったくこのことを知らなかったので、「え~っ!そうだったんだ」とびっくりしました。

映画のラストは実際のカイルの葬儀の映像が流れます。このときに写真がでるのですが、ブラッドリークーパーが体重を15キロも増やしたことで、そっくりだったのにもびっくりしました。

この殺されたことで、さらに英雄として扱われることとなったんじゃないかとも感じました。

イーストウッドはこの英雄をうまく見せたと思うのです。みんなのイメージする英雄のイメージを崩さずに、彼の葛藤や内面を描いたことで。

観終って結構どんよりする映画でした(笑)。









はじまりのうた

2015-03-02 10:58:45 | 映画
今回は映画「はじまりのうた」について。



これ、僕が好きな「ONCE、ダブリンの街角で」の監督さん、ジョン・カーニーの作品で、出演はキーラナイトレイ、マークラファロ、マルーン5の色男アダムレヴィーン(笑)。
音楽が話題になっていたので、ぜったいに観に行きたかった作品です。

ここで内容を・・・




ミュージシャンの恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)と共作した曲が映画の主題歌に採用されたのを機に、彼とニューヨークで暮らすことにしたグレタ(キーラ・ナイトレイ)。瞬く間にデイヴはスターとなり、二人の関係の歯車に狂いが生じ始め、さらにデイヴの浮気が発覚。部屋を飛び出したグレタは旧友の売れないミュージシャンの家に居候し、彼の勧めでこぢんまりとしたバーで歌うことに。歌い終わると、音楽プロデューサーを名乗るダン(マーク・ラファロ)にアルバムを作ろうと持ち掛けられるが……。


と書いてあります(笑)。


実は、ONCEは映画館で観ていなかったんです。あとになってからDVDで観たんですけど、それにはまってしまって、ブロードウエイのミュージカルまで観てしまうまでに(笑)。この監督の世界観とか、男女の微妙な関係とか、すごく好きになったんです。

今回も、なんとなく大まかなストーリーというか、流れはONCEと似ているのですが、歌が良いのと、なんといってもニューヨークの風景が良いんです。

キーラナイトレイが、ヘタウマな歌を披露しています。これも味があって良いし、僕が良いなぁと思ったシーンが、小さなバーで一人グレタが歌っているとそれを観ていた、ダン(その日は一緒に仕事をしてきた仲間から解雇を通達されてしまって、どん底の中なのです)にはピアノやベース、バイオリンによるアレンジが聞こえてくるところなんです。透明人間みたいに勝手に楽器が演奏されていく演出はかわいくって好きです。

あと、バンドのメンバーとゲリラ的にいろんなニューヨークの街角で録音していくシーンも良くて、そこで遊んでいる子供にコーラス頼んだりと、これもかわいい演出です。




ダンには別居している奥さんと娘がいて、この娘とグレタが仲良くなっていき、彼女がギターを弾けるというところから、一緒に演奏していくところも、すてきです。そのシーンではダンも一緒に仲間として演奏するし、奥さんも来て、家族の再生もこの映画では描かれます。

あと、グレタとダンが自分のスマホに入っているプレイリストを披露しあうシーンも大好きです。ひとつのイヤホーンジャックをふたつにわけるアダプターをつけて、一緒に歩きながら音楽を聴くんですけど、音楽を聴きながら風景を眺めると特別なシーンに変わるっていうせりふがあり、そこにとっても共感しました。僕も普段から音楽を聴きながら歩いていて、「これって映画みたいだなぁ」って思いながら景色をみることがよくあります。このシーンはツボでした(笑)。

グレタとダンがちょっと良い仲になるのかなって思わせる演出も、ONCEと同様、うまいです。

ゲイ的には、マークラファロが最初、だらしなく毛深いおっさんだったのが、だんだん音楽を作っていく過程でかっこよくなっていくのが良かったなぁ。マルーン5のアダム・レヴィーンは僕はまったくタイプじゃないので、興味なしです。歌はすきですけどね。ちなみにグレタの友達を演じたジェームズ・コデーンの方がガチムチ好きのゲイには良いかもしれません(笑)。タンクトップでピアノをグレタの後ろで弾く姿もかわいいですよ。





ラストは、しっかりハッピーエンドだし、あたらしい音楽配信の姿も見られるし、僕は大好きな映画です。

DVDを買っても良いと思ってます。