Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ヴィンセントが教えてくれたこと(ネタバレ注意)

2015-10-27 10:02:03 | Weblog
今回は映画「ヴィンセントが教えてくれたこと」について。




主演はビルマーレー。

観終ってみると、この邦題に少し違和感を覚えてしまうという感覚になりました。原題の「セント ヴィンセント」=ヴィンセント聖人という方がずっと良いのにって。

ここで内容を・・・




アルコールとギャンブルが大好きで、ちょっとクセのあるヴィンセント(ビル・マーレイ)は、隣家に引っ越してきたシングルマザーの12歳の息子、オリバー(ジェイデン・リーベラー)の世話をすることになる。酒場や競馬場へと連れ回し、ろくでもないことを教え込むヴィンセントに反発するオリバーだったが、嫌われオヤジに隠された真の優しさや心の傷に気付いてから、徐々に二人は心を通わせていき……。



と書いてあります(笑)。



ビルマーレーは、ちょっとシニカルな役をやらせるとすごくうまいですよね。ブロークンフラワーズもそうでしたが、この手の役をやらせると今のところは右にでるものなしです。

そして、彼の世話というか、いろいろしてくれるダカ(ロシア人ストリッパーというか、娼婦というか)という女性を演じているナオミワッツもすごくうまいです。こんなにもハスッパな役がうまいとは思いませんでした。

少年も喧嘩のしかたや、人としての大事なことをヴィンセントから学んでいき、いじめていた同級生とも仲良くなることもでき、クスッとわらう場面がたくさんちりばめられた前半から、それが伏線となって、後半の感動につながっていきます。

ひさしぶりに、感動で泣きました(笑)。

原題のセントヴィンセントという意味が後半でわかるのです。

ぜひ、ごらんになってみてください。


ここからはネタバレです。ご覧になっていない方は読まないでくださいね。

















さぁ、なぜセントヴィンセント=ヴィンセント聖人なのかというところです。


ヴィンセントは愛する妻(認知症で施設に入っているのです)が亡くなってしまうところから、すっかり人が変わったようになって人付き合いも無く、自分の過去のものをすべて捨ててしまいます。そんな中、ヴィンセントは脳梗塞をおこし入院。

オリバーは聖人を探すという宿題(学校はキリスト教の私学です)を、ヴィンセントを題材にしようと考えます。それは、ヴィンセントが捨ててしまった過去の写真や資料を拾って、それを見たからなのです。

ヴィンセントはベトナム戦争で兵士となって参加し、二人の命を救います。そして、彼は愛する妻と出会い結婚、幸せでしたが、妻が認知症になってしまいます。そして、8年間絶えず介護をしていました。時にはギャンブルで介護費をねん出しようとしますが、すべてはずれたり、汚い言葉も使うけど、りっぱな人間なのだと、オリバーは発表するのです。なにより、自分を助けてくれたヴィンセントは聖人と呼ぶにふさわしいと学校の発表会で言います。

ヴィンセントはその発表を後ろから聞いていて(といってもダカに引っ張られてくるのですが)、自分のことをそんな風に見ていたオリバー少し感謝するのです。



そのプレゼンのシーンで号泣しました(笑)。



とても良い話だし、僕は好きな映画です。