Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

コンテイジョン(ネタバレ注意)

2012-11-08 16:52:02 | 映画
今回は映画「コンテイジョン」について。



これ、見逃していたのですがDVDで観る機会があったので、観てみました(笑)。公開している時から、監督はソダーバーグだし、キャストも豪華だし、興味はありました(笑)。


ここで内容を・・・



ミッチ(マット・デイモン)の妻・ベス(グウィネス・パルトロー)は、香港への出張後にシカゴで元恋人と密会していたが、せきと熱の症状が出始める。同じころ香港、ロンドン、東京で似たような症状で亡くなる人が続出。フリージャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)は、伝染病ではないかと考え始め……。


と書いてあります(笑)。


この手の映画だと「アウトブレイク」を思い出しますが、ソダーバーグというところから、単なるパニック映画とは違って様々な人たちの立場やそれにともなう葛藤、正義とは何か、なんかをいろいろ描いている作品だと思いました。でも、その分だけ、迫力とか、ハラハラ感とか、派手な映画的演出があまりないのです。ここが好きになれるかどうかが、この映画をおもしろいととるか、つまらなくて長いととるかにわかれると思います。

僕は、DVDで、しかも酒を飲みながら見ていたので、けっこう楽しんでみることができました。でも、劇場で観ていたら、どうでしょうかね。雰囲気でいったらソダーバーグの「トラフィック」みたいな感じ(笑)。ソダーバーグの作品は結構みていますが、誰が見ても面白いって思う作品もあるし、好きな人だけ好きみたいな作品もあるし(笑)。そこが良いところなんだと思います。

今回の映画でもいくつかのエピソードが重なっていくのですが、その中でもジュードロウの話がなかなか面白くて好きでした(笑)。市民みんなの味方のような感じで、「真実を隠している政府に対して、それを暴いてやる」と意気込んていましたが、結局そうではなかったことが映画の中であきらかになってくるあたり、「こういう人いるんだよねぇ」と思わせる演出がうまいです。

あと、僕の好きな女優さんのマリオンコティヤールのエピソードも切実で、しかも政府の汚さを感じてしまうところなんかも好きでした。

興味がある方のみ、おすすめしますが、長くて退屈そうと感じる方には、あまりおススメできません(笑)。


ここからは、ネタバレです。ご覧になっていない方は読まないでくださいね。










で、このウイルスがどこから来たのかが、気になりますよね。そして、どうしてベスが感染したのかも。

このベスの会社が香港の土地で新しく工場を建設することとなり、そこで森林を伐採したことで、コウモリがもっていたウイルスが養豚農家に入り、そのウイルスに感染した子豚の調理をしたシェフが、「手を洗わず」にベスと握手をしたところで感染が広がっていくんですよ(笑)。これがラストになって明らかになります。途中でウイルスの特徴が「コウモリと豚のウイルス、二つの特徴を持つ」ということがわかるのですが、「こういうことだったのかぁ」と最後で見せてくれます(笑)。

手洗いは大事だと、この映画は最後で言っているような気がして、「こんなに長く見せておいて、手洗い励行の映画だったのか」とちょっと笑ってしまいました。

でも、人間模様が面白くて、自分の家族に先にワクチンを接種させようとする役人や、香港の田舎町で感染が広がり、自分たちのところにワクチンが来ないことを知った住人達が、政府の役人を誘拐してまで、ワクチンを手に入れようとする話や、「この症状にはこれが効果がある」とあるジャーナリストが言って、それが飛ぶように売れるのですが、そのジャーナリストと企業が手をくんでいて、全く効果がないものなのだったのに、企業とそのジャーナリストが金を儲けるという話など、人間のあらゆる面をみせているのが、面白かったです。

でも、手洗いが大事というラスト(笑)。

ドリフの「手洗えよ~」という声が聞こえてきました(笑)。

危険なメソッド

2012-11-06 23:14:34 | 映画
今回は映画「危険なメソッド」について。


これ予告編を観たときから気になっていた作品です。監督はデビッドクロネンバーグ。題材はフロイトとユング。その患者の女性との情事。気にならない訳がありません(笑)。

ここで内容を・・・



1904年、若き精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は高名な精神分析医フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)が提唱する画期的な治療法を、新しく受け持った患者ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)に実践する。そしてユングは彼女が抱えるトラウマの原因を突き止めるが、二人は医師と患者の一線を越え禁断の関係に。やがてザビーナの存在は、ユングとフロイトとの関係に確執をもたらしていき……。



と書いてあります(笑)。



実は、さっき見てきたばかりの作品です(笑)。

僕はフロイトとユングがこんな風にであって、こんな風に決別したということを全く知らずにいました。この前の「アルゴ」もそうですが、本当に映画から知ることって多いとこの頃つくづく思います(笑)。ユングもザビーナと出会う前には自分の対話療法などに自信を持ち、フロイトとも尊敬する師として接していくのですが、ザビーナとの出会いとその治療からどんどん自分の中の迷いや葛藤、そして、医学的にはあまり認められない神秘主義の領域にまで考えを及ぼしていき、自分が精神を病んでいくという事実に圧倒された映画でした。ザビーナを演じているキーラナイトレイがすごくうまいし、もちろん、ユングのマイケル・ファスベンダー、フロイトのヴィゴ・モーテンセンもすごくうまいので、この3人の演技合戦がすごく心地よい映画でもあります。



ザビーナはユングによって精神障害を克服しりっぱな精神科医になっていくのですが(克服していくのも自分の性衝動を抑えるのではなく解放させることによる。ここにユングも加わって愛人となっていく)ユングはどんどんその関係にのめり込んでいくいっぽうで、妻や世間に対する罪悪感から、自らの心を病んでいくという皮肉。

精神分析って、昔からあることなのですが、なんだかこの映画を見て、怖くなりました(笑)。

ロケがとても綺麗なぶんだけ、この内容にすごく矛盾しているように感じ、そこがクローネンバーグっぽいと思いました。

きっと、好き嫌いがはっきりする映画だと思います。

すべての人が観て、おもしろいとは思わないと思うのですが、こういう感じがお好きなら、ぜったいおすすめします(笑)。
DVDでも良いのでご覧になってみてください。

アルゴ

2012-11-06 22:51:17 | 映画
今回は映画「アルゴ」について。



これ最初に予告編を観たときに、「こんな話あったのか!」ってびっくりしたんです(笑)。僕が不勉強なのでしょうがないのですが、すごい作戦です。

ここで内容を・・・



1979年11月4日、テヘラン。イラン革命が激しさを募らせ、その果てにアメリカ大使館を過激派グループが占拠し、52人もの人質を取るという事件が起きる。パニックの中、アメリカ人6名が大使館から逃げ出してカナダ大使の自宅に潜伏。救出作戦のエキスパートとして名をはせるCIAエージェントのトニー・メンデス(ベン・アフレック)は、6名が過激派たちに発見され、殺害されるのも時間の問題だと判断。彼らを混乱するテヘランから救出する作戦を立案する。しかし、それは前代未聞で大胆不敵、そして無数の危険が伴うものだった……。


監督が主演のベンアフレック。ちょっと心配(笑)、だったのですが、それがそれがすごく面白かったんです。6人を救出するのに、隠れ蓑にしたのが、「アルゴ」っていう偽のSF映画をイランでロケするという設定。これちょうどその時代に僕の大好きなスターウォーズが公開されて大ヒットした時代。いろんなSF映画が公開されました。だから、時代にも合っていたのだと思いますが、こんな作戦がマジに行われていたということ、そして、僕が小学生だったときにこんな怖いことが起きていたということを知って、すごくびっくりしたとともに、当時の世界情勢がこんな風だったのかと改めて思いました。こないだのスーチーさんの映画といい、この映画といい、大人になって映画から学ぶことがすごく多いです(笑)。いかにのほほんと生きてきたのかがよくわかります(笑)。

そして、1980年代の時代考証がすごくよくできているのも、関心しました。この作戦今だったらぜったいすぐばれるのに当時は携帯電話やインターネットも無い時代ですから、無事に脱出できたと、様々な小道具からもわかります。

この作戦に実在のハリウッドのメーキャップアーティストであるジョンチェンバースがからんでいて、その人物のおかげで大物プロデューサーであるレスターシーゲルを作戦にいれることができ、より大がかりな(だって、ポスターは作るし、制作発表もするし、衣装も決めるし)作戦ができたってわかって、すごくワクワクしました(笑)。

一方イランでは英米が後ろ盾した(石油の利権のため)国王のために革命がおきてそのせいでアメリカの大使館職員が危険な状態になるという、皮肉も描かれているのも面白いところです。もとは自国のためにこんなつらい目にあったのに。

ラストは脱出するとわかっていても、ハラハラさせる演出もなかなかうまいです。

この頃、良い作品を作ったり、出演しているベンアフレック。一時、人気にもかげりが出ていた感じでしたが、復活してきていると感じます。

ラストに映る、スターウォーズのビンテージフィギュアも僕は好きでした(笑)。

歴史に残るこんな作戦を、感じられるのはすごいことだと思って見ていました。多少のフィクションも交えて、エンターテインメントとしてみても非常に面白い作品になっています。

ぜひ、ご覧になってみていただきたいです。