Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ジャンゴ・繋がれざるもの

2013-03-08 16:05:00 | 映画
今回は映画「ジャンゴ・繋がれざる者」について。



イングロリアス・バスターズ以来のタランティーノ監督作。アカデミーにもノミネートされている本作。助演男優賞にクリストフ・ヴァルツが選ばれたりしているので、気になって観に行きました。そう脚本賞もとっているんですよね。

ここで内容を・・・


1858年、アメリカ南部。奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)の手によって自由の身となる。やがて2人は協力し、次々とお尋ね者たちを取り押さえることに成功する。その後、奴隷市場で離れ離れとなってしまった妻を捜す目的のあったジャンゴは、農園の領主カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のところに妻がいることを突き止め……。

と書いてあります(笑)。



最初から、タランティーノぶりがいかんなく発揮されている作品です。画面のザラツキ感やタイトルの出方もどこか懐かしい雰囲気。主題歌もいいし。B級感をすごく贅沢に使っているのが彼らしい。

お話はいたってシンプル。賞金稼ぎのドクターシュルツが、ジャンゴの奥さんを助けることに協力していくバディムービー。途中犯罪者を殺すところでジャンゴを教育していくのも、王道な感じ。でもその殺し方や殺しの見せ方なんかは執拗に残酷で血しぶきのパレード(笑)。ここはキルビルでもおなじみ。レザボアドッグスでもそうでしたね。

で、ディカプリオの登場になるのですが、やはりディカプリオ(笑)。彼の演技の幅はなんだか小さくなっていくような気がしています。また今回も「怒ってばかり」の演技。怪演をしていたのが、僕の大好きなサミュエル・L・ジャクソン。彼はディカプリオの執事をやっているのですが、黒人なのに、黒人のことを毛嫌いしているすごーく嫌な役で、このキャスティングもすごいと思いました。

黒人の奴隷に対する態度も、ほんとうにひどいものでこれも映画の脚色と思いながらも実際にもこれに近いことがあったのだろうと考えさせられました。リンカーンが解放しようと考えるのも無理はない感じ。

ラストはやはりこの手の映画にかかせない大爆破(笑)。サミュエルの壮絶な死にざまがすごいです(笑)。あと、ディカプリオ演じるカルヴィンのお姉さんが出てくるのですが、すごいおばさんなのにかわいい髪型とドレスでこの違和感も映画を面白くしている要素ですねぇ。このお姉さんの死に方もスゴイ(笑)。吹っ飛んでいきますよ。

3時間近い上映時間なのですが、飽きずに観ることができました。

やはり映画館の大きなスクリーンでご覧になることをお勧めします。

ちなみに、ジャンゴが拷問で全裸になって吊るされるっていうシーンがあるのですが、これジェイミーフォックス自身なのかなぁ。ボカシが入っていて、大事なところは見えないのですが、ゲイにはちょっとうれしいシーンでもありますね(笑)。


ゼロ・ダーク・サーティ

2013-03-05 17:33:20 | 映画
今回は映画「ゼロ・ダーク・サーティ」について。



監督はハートロッカーのキャスリンビグロー。テーマは「ビンラディン殺害」。もう映画にしてしまうあたり、アメリカだなぁって感じます。アカデミー賞でもノミネートされていたので、興味もあり観に行ってきました。

ここで内容を・・・


ビンラディンの行方を追うものの、的確な情報を得られずにいる捜索チーム。そこへ、人並み外れた情報収集力と分析力を誇るCIAアナリストのマヤ(ジェシカ・チャスティン)が加わることに。しかし、巨額の予算を投入した捜査は一向に進展せず、世界各国で新たな血が次々と流されていく。そんな中、同僚の一人が自爆テロの犠牲となって命を落としてしまう。それを機に、マヤの中でビンラディン捕獲という職務が狂気じみた執心へと変貌。ついに、彼が身を隠している場所を特定することに成功するが……。

事実や証言に基づいて作製されている作品なので退屈になってしまうかなと思っていましたが、なかなかうまく作っていて緊迫感もあり、僕は長さ(約3時間くらい)についてはあんまり気になりませんでした。

そもそも9.11のテロの首謀者としてその存在を追うことがアメリカの目的になって、必死なことが非常によくわかります。ここではアメリカは「テロの被害者」という位置づけになっています。でも、考えてみればテロをおこさせてしまうようなことをアメリカはしてきているので、この映画はあくまでもアメリカ側から見たイスラム過激派が描かれます。拷問なども行われていて、ここもよく描かれていました。

様々な情報の中で、埋もれていたもっとも重要なことを見つけてから映画は大きく動いていきます。ビンラディン自体を確認することなく突入していくとは、アメリカもすごいですね。そして、潜伏していた家にステルス機能を持ったヘリで行くのですが、その内の1機が墜落してしまうなんて、映画っぽいですよね(笑)。でもこれも本当の話のようです。

ビンラディンを倒してから、主人公がラストに流す涙が非常に印象的にうつりました。

喜びではなく、何かがひっかかっているような、虚無感のような、不思議な表情で終わるラスト。

人が人を殺すということに、大義は無いのではないかなと感じました。ビンラディンを殺す時にいた複数の子供たちがまたアメリカに対して、復讐心を持つことは確実のように思います。

こんなに考えさせられるように、演出している監督の手腕はすごいと感じました。単にアメリカを正当化するだけの映画ではないと僕は思いました。

興味があれば、ぜひご覧になってみてください。

にしても、この監督、前作と言い今回と言い、かなり骨太な作品を作るのが得意なんですねぇ。ジェームスキャメロンは本当に強い女性が好きなんだな(彼女は元の奥さん)と感じました(笑)。