町にスーパー1店、買い物難民懸念 京都・大山崎

2015-09-28 19:47:46 | 商 trading
 「また来たはる。もう店閉まってんのに」。先月に閉店した大山崎町大山崎のスーパー「大国屋大山崎店」の跡地で、閉まった玄関ドアから店内の様子をうかがう高齢者を眺めながら近所の住民がつぶやいた。町内のスーパーは同町円明寺の「ラブリー円明寺」のみとなった。住民から「店舗閉鎖は名神高速以南の地域にとっては深刻で、買い物難民が生まれかねない」との声も出ている。地域住民の不安解消に向けた対策が問われている。

■移動手段のない高齢者

 このスーパーは阪急大山崎駅に近く、周辺住民の生活を支える拠点として2007年に開店し、8月21日に営業を終えた。近隣住民によると、買い物客のほとんどは車などの移動手段を持たない高齢者だったという。

 常連客たちからは「『店内改装のためしばらく休む』と聞いていたので、まさか無くなってしまうとは」と驚きの声が漏れる。毎日利用していたという上山乙女さん(82)=同町大山崎=は「生鮮食品や花を買っていたので不便だ。今は長岡京市まで電車で買い物に行くが、遠いし、買いだめするから荷物が重い」と困惑した様子で話す。

 町商工会への登録では、町内にコンビニは7店あるが、食料品や日用品を売る場所はスーパー以外になく、食品を扱う商店も数店しかないという。町商工会は「市場原理なので動きようがない。本当に買い物をする手段が無い『買い物難民』は把握していない」とした上で、「スーパーは1人暮らしの高齢者が顔を合わせる場としての機能がある。孤独を感じる人がいることの方が問題ではないか」と懸念する。

■自治会、巡回バス要望

 大国屋付近の買い物難民をめぐる議論は、町議会の9月定例会でも挙がった。大国屋があった鏡田地区連合自治会の藤原和正会長(42)=同町大山崎=は8月25日に、買い物難民対策を要望する陳情書を町議会に提出した。

 同地区とラブリー円明寺間をつなぐために長寿苑の巡回バスを期間限定で運用できないかという内容だ。藤原会長は「町内にコンビニはあるが、生活用品を買うスーパーとは位置付けが違い過ぎる」と訴える。

 買い物に対する町民の不満は大きい。町が昨年9月に実施した住民対象のアンケートでは、「大山崎町のよくないところ」では「ショッピングセンターや商店が少なくて不便だ」が67・3%と最も多かった。また「大山崎町以外の所に移りたい」と答えた人の65・0%が「買い物など生活に不便だから」と回答した。自然環境や生活基盤など全34分野の満足度調査では「買い物の便利さ」が最も低かった。町経済環境課は「暮らしやすさという点では買い物は必要な要素だが、狭い町面積を考えると、本当に不便と言えるかは分からない。また、対象が民間企業となると行政は手を出しづらい」としている。

 町議会9月定例会一般質問で、買い物難民対策を問われた山本圭一町長は、大国屋跡地に新たな小売店の誘致を進める方針を示した。地域住民の不安解消に向け、難しい舵(かじ)取りを迫られている。

【 2015年09月22日 10時05分 】


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