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ぎんぐの紅茶

紅茶初心者の奮闘記

ローゼンメイデン(PEACH-PIT)

2011年04月02日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
7体の美しいアンティークドールが、究極の少女「アリス」になるべく、互いを蹴落とそうと戦う物語(アリスになれるのは勝ち残った1体のみ)。
あらすじは以下のとおり(Wikipediaより抜粋。カッコ内は私による補完)。

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中学時代、引きこもりだった桜田ジュンは、意を決して外に出る事を決意。中学卒業後は高校に行かず、大検に合格したが、引き篭もった事が災いして、三流大学に進学。学生達とは馴染めず、バイト先の本屋でも店長から嫌がらせを受け、引きこもった事を後悔しながら日々を過ごしていた。
そんなある日、バイトの最中に『週刊 少女のつくり方』という雑誌の創刊号を見つける。それを持ち帰って以来、何故か家に雑誌が毎号届く様になる。雑誌の付録パーツを集めて組み立てると、「ローゼンメイデン 真紅」が完成されるという。人形作りに夢中になるジュンだったが、ある日突然雑誌が休刊してしまう。更に、中学時代の自分から助けを求めるメールが届く。
一体、「(ねじを)まいた世界」で何が起きているのか? そして、「(ねじを)まかなかった世界」に現れたローゼンメイデンとの出会いを機に、ジュンにどんな変化が起きるのか?

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結局「真紅」というドールは、ジュンの手で仮完成される。
ドールだけど、動くししゃべる。
そして、紅茶が大好き。
出会ったばかりのジュンに、こんなことを言い出す。

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真紅「お前をこの真紅の仮下僕にしてあげる。わかったら今すぐ紅茶を淹れてきなさい」
ジュン「ふっざけるなぁぁ!」
真紅「いい事?茶葉は必ず95℃以上で抽出してミルクは温めたものを…」
ジュン「聞けってちょっと」
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ところがジュンの家はティーバッグのみで、茶葉で紅茶を入れる道具がなかったため、ドンキホーテ(がモデルの店)に真紅と共に(と言っても真紅はジュンのリュックの中)紅茶道具を買出しに行くことに。

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ジュン「あったあった。これならサイズもぴったりだ」(と、猫の絵のついたティーポットに手を伸ばす)
真紅「素材が気に入らないわ。猫の柄なんてナンセンスよ」
ジュン「ゼータク言うなよ。ティーポットなんてなんでもいいし。給料前で金ないし…。だいたいお前がティーバッグじゃ嫌とかワガママ言うから来たんじゃないか」
真紅「せめて犬の柄にして頂戴。」
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ドンキホーテから帰って、早速紅茶を入れるジュン。
しかし、肝心の茶葉を買い忘れたため、ティーポットにティーバッグを入れることに。
(私はティーバッグでもおいしく入るんじゃ?と思うけど、真紅は「茶葉でなくちゃ嫌!」だった)

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真紅「まったく使えない仮下僕ね…。ティーポットを買ったってティーバッグを使うんじゃ意味がないんじゃなくて?」
ジュン「だって…茶葉買うの忘れて…」
真紅「ミルクは植物性だしまるでなってないわ。」
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植物性ミルクとは、コーヒー用のミルク(コーヒーフレッシュ)かな。
そんなものを入れたら、コーヒー用のミルクの味が前に出すぎてコーヒーフレッシュ水みたいになっておいしくないだろうな…。
かといって、動物性ミルク(生クリーム)を紅茶に入れても、紅茶の味が負けて「生クリーム水」になると思うけど。

でもそんな紅茶を、ぶつぶつ言いながら真紅は飲むのだ。
入れた人の気持ちを大事にしているんだろうな。
いいなあ。

でも、出された紅茶を飲んで、「紅茶がぬるい!カップはあらかじめあたためておきなさいと教えたはずよ」と叱る真紅はすごい。
熱い紅茶を、冷たいカップに入れ、それをすぐに飲んだ場合、紅茶の温度に体感できる程の差は出ない(私基準では)。
いつも熱いカップで飲みなれていたら、カップへの口当たりが冷たく感じるとは思うけど。
真紅にはごまかしがきかないんだね。

この話は大部分がドール達のバトルなんだけど、それも結構面白い。
個人的には好き嫌いは別として、第7のドール「雪華綺晶(きらきしょう)」が気になる。
「雪華綺晶」は、ただ一人実体のないドール。だから実体を渇望し、なのにマスター(ドールにとって主人)になって欲しい人間からは「お前はいらない」と拒絶され…。
悪役だけど、なんだか可哀相。
コメント (2)
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猫の恩返し

2010年11月01日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
先日、テレビで猫の恩返しをやっていた。
猫男爵のバロンがかっこよすぎ。
ああ、私もバロンの「スペシャルブレンド」紅茶を飲んでみたい!
もちろん、バロンにサーブされながら(←これ重要)!!

ところで、作中で紅茶はこんな風に出てくる。

【ハル(主人公の女の子)がバロンに紅茶をふるまわれるシーン】
バロン「私のスペシャルブレンドだ。その都度味が変わるので、保証はできないがね。」
ハル「(猫サイズの小さなティーカップに口をつけ)おいしい!これ ホントにおいしい!」
バロン「キミはついてる。」
ムタ(※多分。バロンの仲間の猫)「そんな青くさいもの よく飲むぜ。」
トト(仲間の鳥)「猫舌のおまえさんには向くまい。」

【早起きしたハルが、朝食で母親に紅茶を入れるシーン】
ハル「(紅茶が入ったポットを見て)あっ それね。」
母「へっ?」
ハル「ハルちゃんのスペシャルブレンドよ。その都度ビミョーに変わるから、味の保証はできないけどね(ウインク)。」
母「(ポットの蓋を開けてにおいをかぐ)あら いい香り。」

【Wikipediaより】
「バロン特製スペシャルブレンドの紅茶は毎回味が変わるらしい。」

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私自身は、紅茶のブレンドって難しそうで挑戦したことがない。
普通にメーカーのブレンドものとか、アッサムやウバを単品で飲むほうがおいしいと思っているし。
でも、私がブレンドするとしたら…。
ディンブラとウバ(メンソール香なし)をメインにアッサムを少しだけ…にトライしてみるかなあ。
味と香りががっつり強く出ているのが好みなので。

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グリーン・レクイエム(新井素子)

2010年02月06日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
カプチーノが効果的に使われている作品といったらこれ!
以下、カプチーノが出てくるシーン。
舞台はヒロインの明日香が経営する喫茶店。
明日香は、店のピアノで葬送行進曲を一心不乱に弾いていたところ。
(ある意味クライマックスのシーンなので、ネタばれを避けたい方はここから先は読まないで下さい)


「リクエストしたいな」
ふいに声がして、振り返る。嶋村さん。どうしてこの人は、こう心臓に悪い登場のしかたをするんだろう。
「いつ、いらしてたんですか」
「今」
「全然気がつかなかった……。コーヒー、ですか?」
「ピアノに熱中していたようだから、そっとはいってきたんだ。今日はね、少ししゃれて……カプチーノにしよう」
カウンターの奥にひっこんだあたしに、さらに嶋村さん、しゃべりかける。いつもより饒舌ね。
「しかし、この店の雰囲気で、葬送行進曲なんて弾くと、似合いすぎて不気味だな」
「うふ。あたしもそう思ったんです。リクエストっていうのは?あんまりむずかしいの、弾けませんよ」
「いつかの曲ーーグリーン・レクイエムっていったっけ、あれ弾いてほしいんだ。あれ聞きながらなら、言えそうな気がする」
「何を」
「弾いてごらん。言ってみるから……何やってんの」
カウンターの中をのぞきまわっているあたしの姿を見て。
「シナモン・スティックがね……どこいったのかしら」
「いいよ、別に、普通のスプーンで」
「でも……」
カプチーノなんて注文する客、滅多にいないから。
(中略)
「想い出してくれた?」
「何を」
自分の声がふるえていてーーまるで泣き出す寸前だと、いやという程よく判った。あたしは、やっとみつけたシナモン・スティックの箱に手を伸ばす。
「笑ってもいいよ」
嶋村さんは、あたしから視線を外す。
「僕は、ずいぶん長いことーーずっと、その少女に恋をしてきた」
シナモン・スティックが床一面に落ちた。何本も転がってゆく。
「明日も、明後日も、ずっとあの公園に散歩に行くよ。それでもし……まあ、いいか」
嶋村さん、立ち上がる。あたしは転がってゆくシナモン・スティックを目でおっていた。
(「窓のあちら側」新井素子 出版芸術社 pp.18-19)


これを読んだ当時、カプチーノやシナモンスティックなんて聞いたこともなくて、その言葉の響きに憧れた。
そして、「いつか大人っぽくカプチーノを飲むんだ」なんて思ってた。

数年後、念願叶ってカプチーノを飲んだら「くさーい」と涙目になったけど。
きっと、インスタントの粉末カプチーノだったからまずかったんだと思う。
文中のレシピどおりの「エスプレッソにシナモンスティックを入れる」だったら、「くさーい」にはならない気がする。
今度、喫茶店でちゃんとしたカプチーノを飲んでこよう。
(いまだにちゃんとカプチーノを飲んだことがないので)

新井素子作品は、紅茶が出てくる話が多い。
その紅茶話をまとめたサイトがこちら(↓)。
黒猫軒より、「黒猫軒練馬店」→「7.Tea For You」

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1Q84(村上春樹)

2010年02月02日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
このブログ、ハーブティーの感想がほとんどない。
私が紅茶好きなのもあるけど、何といってもおいしいハーブティーを飲んだことがないのが大きな理由。

ところで、先日、村上春樹の「1Q84」を読んでいたら、気になる箇所を見つけた。
青豆という女性が、ある館の温室にいる女主人をたずねるシーン。


温室の中の空気は温かく湿り気を持ち、植物の匂いがもったりと満ちていた。そして多くの蝶が、初めも終わりもない意識の流れを区切る束の間の句読点のように、あちこちに見え隠れしていた。青豆はこの温室に入るたびに、時間の感覚を見失ったような気持ちになった。
美しい青磁のティーポットと揃いのカップを二つ載せた金属のトレイを持って、タマルがやってきた。布のナプキンと、クッキーを盛った小さな皿もついていた。ハーブティーの香りが、まわりの花の匂いと入り交じった。
「ありがとう。タマル。あとはこちらでやります」と女主人は言った。
タマルはトレイをガーデンテーブルの上に置き、一礼し、足音を立てずに歩き去った。そして前と同じ軽い一連のステップを踏んで扉を開け、扉を閉め、温室から出て行った。女主人はティーポットの蓋をとり、香りを嗅ぎ、葉の開き具合をたしかめてから、それを二つのティーカップにそろそろと注いだ。両方の濃さが均等になるように注意深く。
(中略)
女主人はソーサーを左手で持ち、右手でカップを持って、それを口もとに運び、静かにハーブティーを一口飲んだ。香りを味わい、小さく肯いた。カップをソーサーに戻し、そのソーサーをトレイに戻した。ナプキンで口もとを軽く押さえてから、膝の上においた。それだけの動作に彼女は、ごく控えめに言って、普通の人のおおよそ三倍の時間をかけた。
(中略)
青豆も女主人と同じようにハーブティーのカップをソーサーごと手に取り、音を立てずに一口飲んだ。彼女はハーブティーがそれほど好きではない。真夜中の悪魔のように熱くて濃いコーヒーが彼女の好みだ。しかしそれはおそらく昼下がりの温室には馴染まない飲み物だった。だから温室ではいつも、女主人の飲むのと同じものを頼むことにしていた。
(「1Q84 BOOK1<4月-6月>」村上春樹 新潮社 pp.152-153)


以下、このシーンを読んでつらつら思ったこと。

この女主人、温室では決まってハーブティーを飲むらしい。
そこまで気に入ったハーブティーって何?
すっごく気になる!
私が飲んだハーブティーは飲み物としては失格クラスで、健康に良いとされてなかったら誰も飲まないよと思う代物ばかりだった。
それとも、温室にはハーブティーが似合うから、おいしくなくてもハーブティーを飲んでいるとか?
いや、飲んでいる様子からすると気に入って飲んでいるようだし…。

それに、花咲く温室に熱いコーヒーは確かに似合わないけど、ダージリンのセカンドフラッシュなら似合うと思うんだけどなー。
マスカテルの香りが強くて味はやや薄い、香りメインのすごく華やかなセカンドフラッシュ。
それなら、おいしそうに飲むのも分かるんだけどなー。
派手すぎて、この温室には合わないと作者が判断したのかな。
「おいしいハーブティー」なるものが、私にはどうにも想像ができないんだよね。

あと、そのおいしそうに飲むハーブティーはどこで手に入れたのか。
自分で作ったのでなければ…リーフル?
リーフルにそんなにおいしいハーブティーなんてあったっけ?
あああ、気になるーー!

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この小説、紅茶を当たり前のように(←これ重要)入れて飲むシーンが結構ある。
日本の小説では珍しいと思ったり。

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「食卓一期一会」(長田弘)

2007年09月11日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
様々な食卓の風景の詩集。
私は詩を読むほうではないが、この詩集は小説と詩の中間のようで読みやすい。
また、取り上げている題材が全て食べ物や料理に関するものなので親しみやすい。
言葉も平易だ。

この詩集はいくつかに章立てされているが、その中に「お茶の時間」という章がある。
お茶やコーヒーの詩もあるが、この章の中で私が好きなのは「パイのパイのパイ」という詩だ。


ある日、つくづくやりきれないものぜんぶ、
深い鍋に入れ、水をひたひたに注ぎ、
気のすむまで、ぐらぐらに煮立てる。
それから、腐乳をぞんぶんにくわえて
さらに気のすむまで、じりじりと煮る。
鼻をつまみたい匂いがしだしたら、
火を止めて、じゅうぶんに振りまぜて、
よく挽いたナツメッグ、ジンジャー、
丁子、黒コショー、委細かまわずふりかけて
鍋を部屋の外にだし、そのまま放っておく。
<中略>
あとは、パイ皮がふくらんでくるまで、
そのままじっと辛抱して待つんだ。
きれいに焼けたら、きれいな大皿に盛る。
一瞬ののち、機敏にきびきびと、
皿ごとヤッとばかり窓の外に抛りだす。
まったくあとくされないようにする。
パイのパイのパイのつくりかた、それが
その名も高いエドワード・リア先生の。
(「食卓一期一会」72~74ページより)

全文引用したいくらいいい詩だ。
嫌なことがあったら、この詩をゆっくり読む。
嫌なことを思う存分煮込んで煮込んで・・・最後にぽいっ。
するとちょっと憂さが晴れたような気分になる。

他も味わいのある詩ばかり。
「ふろふきの食べかた」「トルコ・コーヒーの沸かしかた」「絶望のスパゲティ」「ドーナッツの秘密」などなど。
どれも料理と言葉がうまく合わさっていて、何度読んでも飽きない。
すてきな詩集だ。

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「インターネットで書いた紅茶ノート」(高橋智子)

2007年08月25日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
2005年4月にアップした記事。
その後、色々考えて記事を見えないようにしていたけれど、再度アップします。
この本、やはり面白いと思うので。

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書店に行くと、必ず紅茶関連の本コーナーを覗くことにしている。
だが紅茶関連の本はさほど出ていないらしく、何度か見ているうちに大体のラインナップはつかめてしまった。

ある日、いつものように書店で紅茶のコーナーを覗いたところ表題の本があった。
これは初めてみる本だ。
値段も1200円とそれほどしなかったので、買うことにした。

感想。
紅茶の本は何冊か読むと、内容が重なることに気づく。
紅茶の歴史、茶葉の紹介、ブランドの紹介、基本の入れ方、アレンジティーの入れ方など。
だが、著者は自分のやり方で紅茶を楽しんでおり、そのため一般的な紅茶の本とは随分違う。
そのため、なかなか面白く読んだ。

また、この本のもう一つの特徴は「誰でも紅茶に親しめるように」という姿勢で書かれていることだ。
そのためか地の文に話し言葉を採用している。
しかし、これが過剰すぎてちょっと読みにくい。
例:「お片づけだーい」「ふみー」「でもぉ」「できたそーな」
…大体の雰囲気が分かっていただけただろうか。
私は、基本的にはこの手の文が苦手。
内容は面白いのに勿体ない。
でも、当時の流行りだったんだろうな。

ちなみに1996年に出版された本だ。
当時のインターネット事情とか、当時の農園別の茶葉のテイスティングもありそれもまた面白い。
色々書いたけど、かなり気に入っている本。
通り一遍の歴史やレシピを書いた「マダムな紅茶本」とは違い、自分の言葉で紅茶を語っているから。
機会があったら是非。
コメント (2)
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西の魔女が死んだ(梨木香歩)

2007年08月20日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
Amazonによると、あらすじはこんな感じ。

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中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。

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このおばあちゃんは白人(多分イギリス人)だからか、日常的に紅茶を入れているようだ。
食事の時、まいと話すとき、まいが動揺したとき等々。
紅茶の種類は書かれていないけれど、紅茶がまいたちの気持ちをほぐす役割を果たしているのがよく分かる。
紅茶が当たり前に日常にあって、当たり前に楽しんでいる。
それだけで私は彼らの世界に入りたいと思ってしまった。

また、なくなったおじいちゃんの趣味が鉱物収集というのもいい。
その鉱物収集の趣味が、所々でいい役割を果たしているのだ。

私も大好きな紅茶と鉱物が身近にある家族。
だから私はすぐに話に入っていけた。共感できた。
だけどどちらも趣味でない場合、話には入っていけず共感もできなかったと思う。
設定や雰囲気が小学校高学年向きという印象なのだ。
私の感性は老化しているので、ちょっとファンタジーが入ると冷静になってしまう。

でも紅茶(&鉱物)を楽しんでいる様子が描かれている、というだけでも手許に置いておきたい。
私もこんな風に紅茶を飲みたいな。

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ばら物語(藤本ひとみ)

2007年03月17日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
時代を感じさせる(?)紅茶話です。
少女マンガチックな甘ーい文&世界が嫌いな方は、ここから先は読まないで下さいませ~。







コバルト文庫から出ていた藤本ひとみの作品(80年代頃のもの)は、私と同年代の女性なら知っている人も多いはず…。
当時、超!甘い独特の作風がものすごく受けていた。
先日、そのうちの一つ「ばら物語」(初版は1987年)がブックオフで売っていたので、怖いもの見たさで買って読んでみた。

…うっひゃー!
全てが甘いー!むずがゆいー!!
出版社によるとこの物語のあらすじは、

“夢はのぞめば、きっとかなうわ”――ハロウィーンの夜、運命の恋人「M」に出会った望。彼に虹のバラの種をプレゼントされた望は、「もう一度会いたい」と強く願うのだが…。切ない物語。

あらすじだけで甘すぎる。
物語のサブキャラとして美馬貴司という15才の男の子が出てくるのだが、これが容姿端麗、家柄最高、文武両道(それもトップクラス)、超金持ちと現実にはいないような奴なのだ。

若かりし頃の私ですら、こんな奴が現実にいるわけないだろー!と思い、彼の万能ぶりがさっぱり分からなかったのだが、今回読み直して多少彼のすごさが分かった。
それは、ヒロイン望が美馬貴司の家を訪ねた時のシーン(長い前置きでした)。


彼は、長い脚を下ろして立ち上がり、ちょっとほほえんでソファを指さした。
「お座りよ、紅茶をいれてあげる」
そうして脇に置いてあったワゴンに歩み寄ると、なんと、その一番上のトレーの位置まで脚があったの。
すばらしく、長い……。
あたしなんてようやく中断の棚までなのに、うっ、うっ……。
「ああ、グレープフルーツがある。カリフォルニア・ウィンディを作ろうか。ちょっと、きれいだよ。」
ワゴン中断の果物かごから取り上げたグレープフルーツをトレーの上に置いて、彼はカップボードの上方の扉をあけようとして、その美しい両脚を伸ばした。
<中略>
なんて思ってるあたしの前で、彼は、カットのきれいなグラスをふたつ、ワゴンの上に置き、その下段にはめこまれた小さなクーラーから氷を出して、たっぷり入れた。
それから紅茶の缶をあけ、銀のスプーンを取り上げながらこっちを振り向く。
「一杯は君のために」
言いながらスプーンで葉をひとすくいすくって、透明なポットにサラサラとあける。
「もう一杯はオレのために。そして最後の一杯はポットの中の天使のために」
ポットをのぞきこんでほほえんだその魅惑的な横顔にあたしがぼうっと見とれている間に、彼はそこにお湯を注いで氷グラスの上に傾け、シュガーシロップを入れ、最後にグレープフルーツをまっぷたつに切って、ぎゅっと絞り込んだ。
レモン色のジュースが、彼の繊細な指の間からグラスに流れ込んで、きれいな縞模様を作っていく。
「ほら、カリフォルニア・ウィンディ、どうぞ」
それはほのかに甘く、でもすっきりとした素晴らしくおいしい飲み物で、あたしは思わずいっきに飲みほしてしまって、ほっと顔を上げた。
(「ばら物語」藤本ひとみ 集英社 pp.75-77)


ここでいうカリフォルニア・ウィンディとは、セパレートティーのことだと思われる。
そして、このセパレートティーが作れるようになるまでに私は1年以上かかっている
今だって、ちまちま果汁を注がなくては作れない。
それをこんなに鮮やかに作るなんてすごすぎるよ、美馬貴司。

あと「ポットの天使」をやったら、日本の水では渋めに入ってしまうのでは。
今回はセパレートティーだから紅茶は濃いめでOKだけど…。
それに甘々なセリフはどうにかならないのか。
漢は黙って紅茶を入れるものよっ。

他にも色々つっこみどころはあるが、長くなったのでここまで。
しかし片手でグレープフルーツをきっちり搾るとは、華奢な作りの手なのにすごい握力の持ち主なんだなあ。
彼ならネクタリンを使ったセパレートティーも、片手で絞るんじゃないかしら。
(美しくないか)
コメント (6)
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「どこかにいってしまったものたち」(クラフト・エヴィング商會)

2007年03月03日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
お茶が出てくる本ではないけど、飲み物つながりとして。

内容(「MARC」データベースより)
明治から昭和20年代まで、珍品を商ったクラフト・エヴィング商会の「3代目」が、商品の解説書や宣伝用のチラシなどを再現。架空の書物や地図、機械など、不思議な品を紹介する空想博物館。

ここに出てくる商品は全て架空のものだが、写真や説明書が本物っぽく、本当にその品があったように思える凝った出来だ。
どの商品も魅力的~。
飲み物系では「七色李酒」「流星シロップソーダ」がある。
私は「七色李酒」が欲しいなあ。
七色李酒とは…

すももから造られた珍しいお酒です。<中略>本品は、その色を白、翡翠、青磁、菫、緋、桃、黄の七色に分けていたようですが、瓶は包装紙に覆われ、中身の色は一本ずつ打たれた通し番号で照合する仕組みになっています。
(「どこかにいってしまったものたち」クラフト・エヴィング商會 筑摩書房 p29)

このすもも酒は、醸造されてから100年が経っており、未開封で残っているのは本に載っている一本(青磁色)のみ。
でも、「こうして開封されずにあり続けることで、いつまでもこの一本は美しい透明な青い酒として、見えない杯に注がれることでしょう。」の一文が素敵。

この本は、文と写真のセットで見てこその楽しさがある。
どこか違う世界に飛びたい時は是非。

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グッドデザインアワード・イヤーブック 2006-2007

2007年02月25日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
デザインものの小物を見るのが好きだ。
MOMAなんか見ているだけで楽しい。
携帯電話が壊れるのが半年遅かったら、私はTalbyを買っていただろう。
今は、Kaosの製品化を心待ちにしている。

そんな私が先日、「JAPAN DESIGN グッドデザインアワード・イヤーブック 2006-2007」を見つけて、思わず買ってしまった。
4800円と高い本だったけど買ってよかった。
見応えがあるし楽しい!

お茶関係で受賞したのは、以下の通り。

中小企業庁長官特別賞:加賀棒茶水出し用ポット(株式会社丸八製茶場)

商品デザイン部門/ 調理・食卓商品:Eva Solo tea-maker(EVA DENMARK A/S (Denmark) )
商品デザイン部門 / 調理・食卓商品:ビカ(岩城ハウスウエア (千葉県)

特に私が気になる商品はこれ。
商品デザイン部門 / 調理・食卓商品:Toolbar(Metier Atelier CO., LTD. (Hong Kong))
見てみたーい!

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