これは、鉛筆で描かれたエスキース。
メモ、兼下書き。
この絵は83と書き込まれているから、40年ぐらい前の絵。
絵柄から、「神様は大あくび」という装丁の仕事をした頃に描かれたものと思われる。
今は、10Bという濃い鉛筆を使用しているが、
この頃は、HBぐらいの鉛筆をしていたと思いながら見ている。
モチーフの要素が多く詰め込まれているようで、
それぞれのパーツを1つ取っても、絵になりそう。
もうこの頃から、得体のしれないというか、
○○のような形というものを描いていると思うと、
絵のスタイルというものは、今も変わっていないのかもしれない。
描き方と表現にのみ変化があって、今につながっていると思いました。
左にある“魚の形に大という文字が描かれている箇所”この部分を見ると、
「ふうむ。」と思って見てしまう。
わたしにとって、この部分は、奇妙であり気持ちをくすぐられる。
幾何学的に描かれた魚型に「大」とレタリングされたような文字。
これが、意外とシュールな要素に感じ、ついこの部分を凝視してしまいます。
それと、円を描くのはうまい。
円は普段からよく描いているのを見ますが、定規なんて使っていなくて、フリーハンド。
アクリル絵具で描かれた円だけ羅列されたものが、壁に飾ってあると、
「ヒロク二さんて、円を描くの上手だよね。」と言い、眺めていると、
「そう?嬉しいこと言ってくれる。」と。
「何ていうかな、たぶん微妙に歪んでいたりするのだろうけど、その歪んだ感じもいい雰囲気なのよ。」と、
言い、感心して、円径の羅列を惚れ惚れと見るのでした。
(その羅列では、作品になりませんが・・・)
フリーハンドのなせる業かもしれません。
この絵は、昭和を感じ、懐かしい時間を感じさせてくれます。
今より、時間がゆっくり流れていて、土ぼこりのする道を歩いている頃のような。
紙も茶色く焼けていて、過去の時間を感じます。
暑くなりました。
昨日の暑かったこと。
7月の始めからこんなに暑い年は、はじめてではないだろうか。
庭では、蝉が一声あげ、草が繁茂しているが、暑くて取る気も起こらない。
朝晩と涼しい時間帯は、蚊も過ごし易いのか、外へ出ると回りに集まってくる。
蚊にイライラしながら、土の再生に励む。
里芋も植え付けの遅れているのに、庭に穴を掘る段階で心が折れているいう・・・。
わたし達は、結婚当初はクーラーがなかった。
涼しいところで暮らしていたのか?と言われれば、そうじゃない。
明石にいた頃は、2階にプレハブがあり、そこで制作していたヒロク二さんは、
「人間の燻製の部屋」とでも言っていいぐらい暑い部屋で制作し、
堪らなくなったら、風呂場で水浴びをしていました。
カーテンをしているにも関わらず、日に焼け、汗の匂いで燻され、
わたしは、冗談で、「人間の燻製」と言っていた。
でも、2人とも若かった。
耐えていました。
次に転居した先では、わたしの部屋にクーラーを取り付けましたが、
寝る部屋にはない。それでも寝れていた。
わたしは、お勤めだったのでクーラーのガンガン効く職場のおかげで、暑い日だけ使う事で間に合ったみたい。
ヒロク二さんは、「制作に悪い」という理由で嫌っていた。
また、転居した。
クーラーを持っていたが、転居先は窓枠がなく、大きな引き戸だった。
クーラーは窓枠用だったので、自力で引き戸の隅に引っ張っていって、
床に置き、そのクーラーを使うことに。
遊びにきた人は、「どうしてクーラーが床に置いてあるの?」という質問を皆した。
下から吹き出る冷気が不思議だったみたい。
子供造形教室をするようになり、狭い我家には一時に10人ぐらいの子供と大人2人(着て貰っていた先生)が、
ひしめくことがあって、皆の体温でも暑いようなので、ちゃんと設置出来るクーラーを買った。
教室の子供達は、「まともなクーラーが、アトリエに」というだけで、狂喜乱舞しているのだ。
それに「どうしてクーラーが床にあるのか?」という質問に毎回答えなくてすむ。
新しいクーラーは、よく効き、わたしも快適になった。
今、そのクーラーが活躍中。
しかし、ヒロク二さんと2人になると「寒い。」とか言われて、すぐ消せと言われます。
それが今年は、テレビが熱中症で「何人倒れた。」「何人死んだ。」とやっているのを見ているせいか、
「こんな所では死に切れん。」と言ったりして、まだまだ生きる心構えだ。
「こんな危険な状態をどうして乗り越えたらいい?」
「高齢者は気をつけないといかん。」に続き、
恒例の「さほり、どうしたらいい?」に行き着く。
「クーラーをつける事と、水分補給よ。」と答えた。
すると、粉末のポカリスウェットを水で溶き、一袋を小さいペットボトルに入れ、
「特別に濃いやつを作った。」と言う。
「あなた、一袋は1リットルで溶くのに、何で300ミリリットルで溶いているわけ。
何で節約の反対の行為をするの?それに、水分があまり取れないでしょ!」と言うと、2本にした。
昼すぎにクーラーを入れるのですが、涼しいところへやってきたら、すぐに寝ているのです。
スヤスヤと。
暑いアトリエで過ごしている時は、必ず絵を描いてる姿。
思うに、集中して絵を描いていると、暑さを感じにくく、暑さが緩和されているのだと。
制作のためには、確かに暑い方がいいというのも一理ある。
寝姿を見ながら、涼しい場所にやってきたら、抵抗するものがないから、
疲れがドッと出ているのだと思いました。
この時間は、意外と平和だったりする。
武内画伯は、暑苦しい性格だ。
顔を見ただけで、暑い気がするのは気のせい?
一瞬、涼しく感じる夕方、
外に立てかけてあった板が横倒しになっているのを見つけ、
「どうしてここはいつも倒れているの?」と問い詰められ、
「直しても、直しても、倒れてくる。」と返答すると、
顔を真っ赤にして怒りながら、その板を引き抜き出す。
その顔があまりにも感情むき出しなので、わたしは見たくないと思って家の中へ入ったのです。
しばらくしてから、家に入ってきて、わたしに「頭は使うものだ!よく考えるんだ!」と凄む。
「もう、二度と倒れないようにしておいたから。」とまた、凄む。
ジーとヒロク二さんを見ながら、「ハイ」と言うわたし。
普段、「あなた、少しは考えたら?」
「あなたは、考えがたりてない。」
「いつも、考えがないのだから。」
とヒロク二さんによく言っているのが、自分に返ってきたと思いました。
可愛げがないので、「お前が、いうか?」もちょっぴり。
クーラーを入れてからフロランタン風ケーキを作りました。
↑焼きあがったものが冷めてから、切り分けています。
上にトッピングされているものは、アーモンドのスライスで作るのですが、
アーモンドが切れていたので、ピーナツを粉砕したもので代用。
薄く焼いたスポンジにバター、ピーナツ、生クリーム、砂糖、小麦粉少しを混ぜたものをのせ、
再度焼いて出来上がり。
ピーナツの香りがいい感じに出来上がります。
スライスアーモンドの方が、パリッと焼きあがるような気がしますが、
暑い中、これだけのために買い物に出かけたくない。
最近、これを作ろうと思い立っても、何か1つき足りなくて出来ないことがよくあります。
以前は、こういう事なかったのですが・・・。
なんとか、代用でごまかせたのは幸いでした。
今、午前11:09ではクーラーはつけていません。
お昼、1時頃に、子供達が歓喜したクーラーをつけます。
今日は、我家でのクーラーの歩みを書いてみました。
結婚当初は、若くて体力があったのだなぁ~と、今更ながら感心していました。
涼しくなったら、寝てしまう姿を見ると、ヒロク二さんも歳をとったなと。
もう「燻製人間」を見れません。
今となっては、懐かしい思い出です。
今日もブログを読んで下さった方、ありがとうございます。