武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

小さな街の集積(エスキース紹介678)と 我家でのクーラーの歩み

2022-07-02 11:40:55 | Weblog

これは、鉛筆で描かれたエスキース。

メモ、兼下書き。

この絵は83と書き込まれているから、40年ぐらい前の絵。

絵柄から、「神様は大あくび」という装丁の仕事をした頃に描かれたものと思われる。

今は、10Bという濃い鉛筆を使用しているが、

この頃は、HBぐらいの鉛筆をしていたと思いながら見ている。

モチーフの要素が多く詰め込まれているようで、

それぞれのパーツを1つ取っても、絵になりそう。

もうこの頃から、得体のしれないというか、

○○のような形というものを描いていると思うと、

絵のスタイルというものは、今も変わっていないのかもしれない。

描き方と表現にのみ変化があって、今につながっていると思いました。

左にある“魚の形に大という文字が描かれている箇所”この部分を見ると、

「ふうむ。」と思って見てしまう。

わたしにとって、この部分は、奇妙であり気持ちをくすぐられる。

幾何学的に描かれた魚型に「大」とレタリングされたような文字。

これが、意外とシュールな要素に感じ、ついこの部分を凝視してしまいます。

それと、円を描くのはうまい。

円は普段からよく描いているのを見ますが、定規なんて使っていなくて、フリーハンド。

アクリル絵具で描かれた円だけ羅列されたものが、壁に飾ってあると、

「ヒロク二さんて、円を描くの上手だよね。」と言い、眺めていると、

「そう?嬉しいこと言ってくれる。」と。

「何ていうかな、たぶん微妙に歪んでいたりするのだろうけど、その歪んだ感じもいい雰囲気なのよ。」と、

言い、感心して、円径の羅列を惚れ惚れと見るのでした。

(その羅列では、作品になりませんが・・・)

フリーハンドのなせる業かもしれません。

この絵は、昭和を感じ、懐かしい時間を感じさせてくれます。

今より、時間がゆっくり流れていて、土ぼこりのする道を歩いている頃のような。

紙も茶色く焼けていて、過去の時間を感じます。

 

暑くなりました。

昨日の暑かったこと。

7月の始めからこんなに暑い年は、はじめてではないだろうか。

庭では、蝉が一声あげ、草が繁茂しているが、暑くて取る気も起こらない。

朝晩と涼しい時間帯は、蚊も過ごし易いのか、外へ出ると回りに集まってくる。

蚊にイライラしながら、土の再生に励む。

里芋も植え付けの遅れているのに、庭に穴を掘る段階で心が折れているいう・・・。

わたし達は、結婚当初はクーラーがなかった。

涼しいところで暮らしていたのか?と言われれば、そうじゃない。

明石にいた頃は、2階にプレハブがあり、そこで制作していたヒロク二さんは、

「人間の燻製の部屋」とでも言っていいぐらい暑い部屋で制作し、

堪らなくなったら、風呂場で水浴びをしていました。

カーテンをしているにも関わらず、日に焼け、汗の匂いで燻され、

わたしは、冗談で、「人間の燻製」と言っていた。

でも、2人とも若かった。

耐えていました。

次に転居した先では、わたしの部屋にクーラーを取り付けましたが、

寝る部屋にはない。それでも寝れていた。

わたしは、お勤めだったのでクーラーのガンガン効く職場のおかげで、暑い日だけ使う事で間に合ったみたい。

ヒロク二さんは、「制作に悪い」という理由で嫌っていた。

また、転居した。

クーラーを持っていたが、転居先は窓枠がなく、大きな引き戸だった。

クーラーは窓枠用だったので、自力で引き戸の隅に引っ張っていって、

床に置き、そのクーラーを使うことに。

遊びにきた人は、「どうしてクーラーが床に置いてあるの?」という質問を皆した。

下から吹き出る冷気が不思議だったみたい。

子供造形教室をするようになり、狭い我家には一時に10人ぐらいの子供と大人2人(着て貰っていた先生)が、

ひしめくことがあって、皆の体温でも暑いようなので、ちゃんと設置出来るクーラーを買った。

教室の子供達は、「まともなクーラーが、アトリエに」というだけで、狂喜乱舞しているのだ。

それに「どうしてクーラーが床にあるのか?」という質問に毎回答えなくてすむ。

新しいクーラーは、よく効き、わたしも快適になった。

今、そのクーラーが活躍中。

しかし、ヒロク二さんと2人になると「寒い。」とか言われて、すぐ消せと言われます。

それが今年は、テレビが熱中症で「何人倒れた。」「何人死んだ。」とやっているのを見ているせいか、

「こんな所では死に切れん。」と言ったりして、まだまだ生きる心構えだ。

「こんな危険な状態をどうして乗り越えたらいい?」

「高齢者は気をつけないといかん。」に続き、

恒例の「さほり、どうしたらいい?」に行き着く。

「クーラーをつける事と、水分補給よ。」と答えた。

すると、粉末のポカリスウェットを水で溶き、一袋を小さいペットボトルに入れ、

「特別に濃いやつを作った。」と言う。

「あなた、一袋は1リットルで溶くのに、何で300ミリリットルで溶いているわけ。

何で節約の反対の行為をするの?それに、水分があまり取れないでしょ!」と言うと、2本にした。

昼すぎにクーラーを入れるのですが、涼しいところへやってきたら、すぐに寝ているのです。

スヤスヤと。

暑いアトリエで過ごしている時は、必ず絵を描いてる姿。

思うに、集中して絵を描いていると、暑さを感じにくく、暑さが緩和されているのだと。

制作のためには、確かに暑い方がいいというのも一理ある。

寝姿を見ながら、涼しい場所にやってきたら、抵抗するものがないから、

疲れがドッと出ているのだと思いました。

この時間は、意外と平和だったりする。

武内画伯は、暑苦しい性格だ。

顔を見ただけで、暑い気がするのは気のせい?

一瞬、涼しく感じる夕方、

外に立てかけてあった板が横倒しになっているのを見つけ、

「どうしてここはいつも倒れているの?」と問い詰められ、

「直しても、直しても、倒れてくる。」と返答すると、

顔を真っ赤にして怒りながら、その板を引き抜き出す。

その顔があまりにも感情むき出しなので、わたしは見たくないと思って家の中へ入ったのです。

しばらくしてから、家に入ってきて、わたしに「頭は使うものだ!よく考えるんだ!」と凄む。

「もう、二度と倒れないようにしておいたから。」とまた、凄む。

ジーとヒロク二さんを見ながら、「ハイ」と言うわたし。

普段、「あなた、少しは考えたら?」

   「あなたは、考えがたりてない。」

   「いつも、考えがないのだから。」

とヒロク二さんによく言っているのが、自分に返ってきたと思いました。

可愛げがないので、「お前が、いうか?」もちょっぴり。

 

 

クーラーを入れてからフロランタン風ケーキを作りました。

↑焼きあがったものが冷めてから、切り分けています。

上にトッピングされているものは、アーモンドのスライスで作るのですが、

アーモンドが切れていたので、ピーナツを粉砕したもので代用。

薄く焼いたスポンジにバター、ピーナツ、生クリーム、砂糖、小麦粉少しを混ぜたものをのせ、

再度焼いて出来上がり。

ピーナツの香りがいい感じに出来上がります。

スライスアーモンドの方が、パリッと焼きあがるような気がしますが、

暑い中、これだけのために買い物に出かけたくない。

最近、これを作ろうと思い立っても、何か1つき足りなくて出来ないことがよくあります。

以前は、こういう事なかったのですが・・・。

なんとか、代用でごまかせたのは幸いでした。

 

 

今、午前11:09ではクーラーはつけていません。

お昼、1時頃に、子供達が歓喜したクーラーをつけます。

今日は、我家でのクーラーの歩みを書いてみました。

結婚当初は、若くて体力があったのだなぁ~と、今更ながら感心していました。

涼しくなったら、寝てしまう姿を見ると、ヒロク二さんも歳をとったなと。

もう「燻製人間」を見れません。

今となっては、懐かしい思い出です。

今日もブログを読んで下さった方、ありがとうございます。

 

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (ともりん)
2022-07-07 23:11:26
なんてきれいなエスキースなのでしょう。線の感じがとても好きです。なんともいえない太さと強さと、この「線」というものの感覚。モチーフもとても好きな感じですが、何よりも線そのものに目がいってしまいます。
円が描かれている箇所を注意してみてみました。確かに、魅力的です。正円を描くことに「すごい!」というのは簡単なのですが、このなんともいえぬ絶妙な円の形は絵画だと思いました。画家という人は、円を描くだけで作品になるのだなと唸なってしまいます。
放射線が描かれている上部やや右に描かれている円が一番好きです。放射線の間隔も好きです。そして、その左隣に葉の葉脈の感じもとても好みです。キュート!つややかな緑色が浮かんできます。
「魚に大」最初気が付かず、どれかな?と探してしまいました。七福神のような縁起が良さそうな福が来そうな形です。

「人間の燻製」がとても面白いです。暑さに汗の匂いが加わると、確かに燻製です。「真夏に六畳一間のアパートの部屋を閉め切って汗をたっぷりかいたら、そのまま走って銭湯に行き、お風呂に入ってさっぱりする」という「自宅六畳サウナ」を楽しむ漫画を思い出しました。
大学生から20代中ごろまではクーラー付きの部屋は高くて借りられませんでした。就職してお給料が安定してきた頃に初めて住んだ、クーラー付きの部屋。嬉しかったです。一人前になったなあ、と感慨深かったです。
今でもクーラーは電気代を考えると点けるのにちゅうちょしてしまいます。以前、真夏にクーラーを点けずに窓からの風だけで頑張っていたら、後ろで猫がぐったりと熱中症になりかけていて、反省しました。
今年は暑さに異常さを感じます。「クーラーと水分補給」を実行していないと、命にかかわりそうです。
ポカリスエットは濃い方が美味しいですが、その効果を考えるとやはり規定量で作った方がよいと思います。さほりん、いつも頑張っています。

フロランタンをピーナッツで!なるほど、そういう発想もあるのですね。ピーナッツをくだくのが大変だったのではないでしょうか。アーモンドのものよりお腹にしっかりたまって「食べた感」がありそうです。コクもあってコーヒーによく合いそうです。

クーラーは今や生活必需品なのに、商品価格の高さと電気代の高さと10年程度しかもたない耐久性のなさに矛盾を感じます。
この夏も、工夫と知恵でお互い乗り切りましょう。
いつもていねいなお返事、ありがとうございます。
円の魅力が伝わって嬉しい限り。 (さほりん)
2022-07-09 10:32:26
コメントありがとうございます。
円の魅力が伝わって、嬉しい。
壁に円を描いたものが、何気なく貼られているのを見ているうちに思ったことを共感して頂いてありがとう。今思ったのですが、「魚に大」は、最寄の駅が当時“明石“で、「魚の棚」という所によく行っていました。鳴門海峡のそばで、「明石鯛」が有名です。そんなこともあって、魚は鯛なのかな?と思いました。“明石”は猟師町だったということも思い出しました。

ともりんのクーラーの歩みを読んで、私も京都での下宿はクーラーがなかったのを思い出しました。仕事をするようになっても、クーラーは無かったなと。家にいる時間が短いから苦痛と思っていなかったのかもしれない。時代を感じます。今は、その頃より暑いのでしょうね。夕立というのが減っているというか、無くなった気がします。
「人間の燻製」の姿は、今より若く、かつとても細く、骨を感じる身体でしたので、暑苦しい姿というよりストイックさが増す姿というか・・・。暑いから、裸に近いし・・。苦行する人みたいでした。
ポカリスウェットは濃いと美味しいのは、知りませんでした。美味しく作っていたのであれば、可愛そうなことをしたと反省。たまには許してあげようと思いました。

ピーナツは、粉砕するジューサーのようなもので、ブーンと作りました。あっと言う間なので、大変じゃなっかったよ。

今年は、積極的にクーラーを入れるつもり(笑)クーラーの戦いをヒロク二さんに挑みます。

先回の返信、書き終わってから、コメントから外れた内容になっていたような気がしました。自分の思いが先走ったような。ずれていたらごめんなさい。こんな調子ですが、改めてよろしくお願いします。コメント、ありがとうございます。

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