梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

引き続き『元禄忠臣蔵』

2006年10月21日 | 芝居
来月のお役が決まりました。
序幕『伏見撞木町』の第二場、「揚屋笹屋の奥庭離室のあたり」に出てまいります、<若い者>でございます。
台本を拝見しますと、仲居や太鼓持ちと供に大勢で、内蔵助とめんない千鳥の遊び(目隠し鬼)をするお役。おなじ<若い者>役は他に何人も出るようです。伏見撞木町といえば、京都指折りの廓。『娘道成寺』の廓尽くしにもでてきますね。江戸の吉原とは風俗もだいぶかわりますから、東京人として上方の雰囲気を出せるかどうか不安ですが、来月は上方籍の仲間が沢山出演しますから、みんなに合わせてゆけば大丈夫だと考えております。久しぶりに上方歌舞伎塾の面々と一緒の舞台、楽しみですね~。

師匠は二幕目『御浜御殿綱豊卿』の徳川綱豊、後の六代将軍家宣公を演じます。平成十四年五月、京都南座でなすって以来です。私も携わっておりましたので、裏の仕事は覚えておりますが、今度の上演では、演出など多少変わることもあるやもしれません。お稽古を拝見しながら、あらためて段どりを考えたいと思っております。

今月『江戸城の刃傷』『第二の使者』『最後の大評定』と携わっているおかげか、来月の台本を読んでおりましても、(なるほど、綱豊のこの台詞は、今月のあの場のことを言っているのか)などと、より理解が深まったと申しましょうか、台詞の意味がすんなりと伝わってまいりました。作品同士がしっかりと呼応しているのが改めてわかりまして、ますます『元禄忠臣蔵』が好きになってきました。