梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

ご無沙汰しました

2006年10月19日 | 芝居
二日間の休載、失礼をいたしました。
実は十七日(月)の公演終了後大阪へまいりまして、松竹座出演者や大阪で知り合った友人と会い、翌十八日、松竹座『染模様恩愛御書』の昼の部を拝見、さらに終演後名古屋に移動して所用を済ませ、本日昼過ぎに東京へ帰還、東京駅からまっすぐ国立劇場へ楽屋入りして本日の『元禄忠臣蔵』夜の部を勤めたという次第です。
パソコンを持ってゆきませんでしたし、夜遅くまで人と会っておりましたので更新ができませず、申し訳ございませんでした。
せっかくの休日をフル活用しようと思っての強行軍。なかなか濃い一日半でしたが、ちょっと疲れも出ております。
おかげさまで本日の公演も、何事もなく勤めおおせることができましたが、休み明けの舞台は、どこか気のゆるみというか、一日のリズムが変わってしまったことによる時差ボケにも近い不思議な感覚がつきまといます(ましてめったにない夜公演ですしね)。明日からはまず体調を整え、これまで通りのテンションを保ちながら、しっかりと舞台を勤めてまいります。

松竹座『染模様恩愛御書』のリポートは、昨十八日の日付で追記いたしますね。
東京~大阪(新幹線)、大阪~名古屋(近鉄)、名古屋~東京(新幹線)。約六時間の移動中に、村上春樹さんの『海辺のカフカ 上・下』を読破できました。昔買ったまま、手をつけなかった作品だったんですが、いざページを開きますと、ひとつひとつの言葉が、すっと体にしみ込んでくるような、不思議な感覚にとらわれ、ぐいぐいストーリーに引き込まれました。一見まったく不条理な、常識では理解できない状況に生きる人たちの姿が描かれますが、ああこの人はこういうふうにする必然があるんだな、この<今>を受け入れなくてはいけない<なにか>があるんだな…なんて、ストンと納得できちゃう、痛いくらいに共感できちゃうのが、読んでいる私自身が意外に思うくらいで、『風の歌を聴け』以来、ほとんどの作品を読ませて頂いておりますが、作品に入り込めた度合いから言えば、今回は本当に面白かったです。

公演も残り八回。悔いの無いよう頑張ります!