梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之京都日記・1 

2005年11月27日 | 芝居
いよいよ京都へやってまいりました。久々の早起きゆえ、新幹線でも眠りっぱなし。京都駅からは地下鉄を乗り継いで四条河原町へ。駅の階段を上ると、懐かしい鴨川の流れ、そして南座の姿がとびこんできました。
南座は今回で三回目。勝手は知ったものですが、こちらの劇場は楽屋が入り組んでおりまして、舞台と楽屋、あるいは自分の楽屋と師匠の楽屋との行き来が大変です。そして『顔見世』とあって出演者の数も多く、廊下は芝居の荷物がひしめき合い、行き交う人たちも、お互いよけたりよけられたり。今日はどこのご一門も楽屋作りの日ですから、ただでさえ狭いところを皆バタバタとせわしなく、いかにも師走の楽屋っぽい光景です。
さて今日はお昼から『五斗三番叟』の<雀踊り>の立ち回りの抜き稽古がありました。このお芝居には二つの立ち回りがあります。幕開きすぐに始まる、編み笠をかぶった奴と、音羽屋(松緑)さん扮する亀井六郎が<雀踊り>の立ち回りと、後半で播磨屋(吉右衛門)さん扮する五斗兵衛と、おかしな顔とおどけた動きの<竹田奴(たけだやっこ)>との立ち回りの二つです。
今回私は、五年ぶりに<雀踊り>の奴に出させて頂くことになりました。「ありゃせ、よいせ、よいせ、よいせ、ありゃりゃんりゃんりゃんりゃんりゃん、やっとな、よーいよい」という独特のかけ声(囃し声ともいえるでしょう)を大声で言いながら立ち回りをするという、ちょっと珍しいものです。私がどんなことをいたしているかは、また後日お話しいたしましょう(ちょっと大変なんです)。
今日はこの抜き稽古に引き続いての『五斗三番叟』の<附立>と、師匠が出演いたします『本町廿四孝』の<附立>だけで私の仕事は終わり。四時半過ぎには自由となりましたが、のんびりはできません。今日からひと月生活するマンスリーマンションの鍵を引き取りに四条大宮の不動産屋を訪ね、それから三条のマンションへ道に迷いながら移動。やっとこさ到着したのは五時半。荷物はこれから届くので、とにかく気がかりなエアーエッジの接続を、プロパイダーのサポートセンターに問い合わせながら再挑戦。ところがまたまた難航し、もう駄目かと思いましたが、一時間の電話の末ついに解決策が見つかり、ここに無事接続が完了。ただいまこの文章を書いているというわけでございます。やっと安心できました。

さて今日からの京都生活。無事に、楽しく過ごせるようにしたいものです。美味しいお店、すてきな場所も、ご紹介して参りますね。
写真は南座の正面に掲げられた<招き>と呼ばれる看板です。庵型の札に、幹部俳優さんから名題俳優さんまでの芸名を書き、並べてあるのです。暮れの京都の風物詩となっております。