梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

楽屋の雰囲気

2005年11月05日 | 芝居
歌舞伎の公演は、毎月毎月座組が変わるのが常。幹部俳優さんの顔ぶれが変われば、それにともなって、「名題下部屋」のメンバーも変わります。
いつも一緒の人もいれば、半年ぶり、一年ぶりに同じ劇場になる人もいたりと様々ですが、一日の大半を過ごす部屋の雰囲気は、先輩、後輩とりまぜて、どんな人が一緒になるかで、ガラリと変わってくるものなんです。
お話好きな先輩方が揃いますと、楽屋の奥にある卓袱台を囲んで、とりどりの世間話、馬鹿話。楽屋で辛気くさい話などできるものかとばかりに、冗談、珍談のオンパレード。遠くの席にいる私達まで、思わず引き込まれる話の数々に、笑い声ばかりが響くことになります(もちろん若手は若手で、楽しい話の抽き出しは、沢山持っておりますよ)。
たとえそういうお話好きな方が集まらなくても、決して楽屋が暗く沈んでしまうということはございませんが、本当に、座組によってこうも楽屋の賑わいは変わるものかと思うことがございます。

さて今月の「名題下部屋」ですが、最高のテンション、とまではいかないかもしれませんが、関西出身の後輩が何人かおりまして、この人たちがとても楽しいムードを作ってくれております。関西人が二人揃えば漫才になる、なんてコトを申しますが、なるほどむべなるかなと思うくらい、当意即妙、丁々発止のボケとツッコミには、感心してしまいます。

楽屋は決して遊び場ではございません。しかし、人間関係、といっては大袈裟かもしれませんが、先輩後輩の垣根を越えて、お互いをよく知るためのコミュニケーションの場としては、楽しい会話、交流が必要ではないでしょうか。