梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之京都日記・4『初日です!』

2005年11月30日 | 芝居
今日からサブタイトルを入れてみます。写真は我々名題下俳優が過ごしている楽屋です。

さあ、今月二回目の<初日>が開きました。京都の顔見世は午前十時半開演。歌舞伎座より三十分早いです。今回は序幕には関係しておりませんが、昨年は師匠が序幕に『箱根霊験誓仇討』を出しました。そのため師匠の楽屋入りが九時半、我々弟子は八時半過ぎには入っていなくてはならず、いくら通勤がない地方公演とはいえ、いつもよりも相当早い出勤につらい思いをいたしましたのを思い出します。
私の最初の出番『五斗三番叟』、十分なストレッチをして臨みました。昨日の<舞台稽古>でだいたいの感覚はつかめましたので、それほど慌てることなく、落ち着いてできましたが、全体のまとまりはもとより、私個人の動き、間、イキなども、まだまだ改善の余地があります。録画したモニターを見ながら、反省することしきり。もっとキッチリとした、メリハリのある動きを見せることができるよう、努力したいです。
続く『京人形』は、その前の『文屋』とつなげて上演されます。『文屋』の幕がしまったら、休憩をいれず、鳴り物さんが下座でつなぎの合方を演奏し、その間に道具転換。道具ができ次第幕をあけるという段取りです。今日は立ち回り部分だけ、カラミだけで舞台裏で合わせることになっており、早めに舞台裏にゆきましたので、『文屋』から『京人形』への道具転換をつぶさにみることができましたが、それはそれは忙しい、いや、忙しいなんていう言葉が生易しいくらいの、戦場、といっていいくらいの有様でした。実は昨日までの<舞台稽古>では、この二演目を続けていたしませんでしたから、今日がぶっつけ本番の道具転換なのです。お客様の興をそがないよう、なるべく短い時間で仕上げるため、大勢の大道具さん、あらかじめ舞台上に置いてある<出道具>を設置する小道具さん、照明さんをはじめとするスタッフの方々が、一生懸命働いていらっしゃる様子を見て、つくづく裏方さんのご苦労、そしてそのおかげで我々が舞台に出ることができるということの有り難さを感じました。
『京人形』での立ち回りも、昨日よりもだいぶ落ち着いてできました。立師の方が、『(細かいことはともかく)威勢良くやってくれ』とおっしゃったのですが、確かにこの立ち回りは元気にやらねば意味がありません。江戸前のシャレた立ち回りになるよう、この機会をいかして勉強させて頂きます!

…自分のことはさておきまして、今日は初日ということもあり、上演時間が予定よりもだいぶ遅れました。昼の部の最終幕『曾根崎心中』が十五分押しで終演。それにともない夜の部の開演が午後四時四十五分から午後五時に急遽変更。それから多少時間は詰まったものの、もともと午後九時五十分に終演予定の『三人形』は、いったい何時に終演したのでしょう? 先に帰ってしまいましたので、明日聞いてみることにいたしましょう。それにしても、盛りだくさんの狂言立てですので、東京では考えられない上演時間ですね。

明日からも気を緩めることなく、少しずつでも前進してゆけますように!