梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

無事終わりました

2005年11月25日 | 芝居
本日、『顔見世大歌舞伎』の千穐楽を無事迎えることができました。
初日にはしびれとの戦いで始まった『熊谷陣屋』も、皆と息を合わせることを目標とした『鞍馬山誉若鷹』も、大過なく勤めることができて、ほっとしております。とくに『鞍馬山誉若鷹』では、一つ間違えば怪我にもなりかねない大勢での立ち回り。何度も書いたことでございますが、カラミの全員が、それぞれの役割や立場を心得て、チームワークで作り上げなくてはならないところに、難しさもあり、またやりがいもございました。振り返ってみますと、初日近辺はどうしても動きがバラバラになってしまうところもあり、お互いが相手の出方を窺ってしまうことがままありました。終わってから、録画しておいた舞台モニターをみんなで見て、問題点を見つけ改善策を考えるという作業を続けながら、少しでもまとまりのある立ち回りができるように努力いたしてきたつもりです。今日までの二十五日間でどれだけ進歩できたのか、とても心もとないのですが、ご見物の皆様に判断して頂きたく思います。

総勢十八人の<楓四天>のメンバーの中には、立ち回りはお手のものの先輩もいらっしゃいましたが、私を始め、まだまだ勉強中、場数を踏まねばならない立場の者も多く、先輩方から見ればさぞ歯がゆいところもあったかと思います。大事なのは、私たちがまだまだ未熟だということを自覚し、そのうえで、毎日の舞台上で少しでも成長できるように学んでゆくことだと思います。その気持ちを失い、惰性で勤めてしまうことが、一番恥ずべきことなのだと私は考えます。

…話が硬くなってしまいました。
さて終演後は千穐楽にはつきものの撤収作業です!九時二十分に芝居が終わり、四十五分には師匠がお帰りになり、それからの荷造り。次なる公演地、京都へ送るもの、師匠の自宅へお返しするもの、ごっちゃにならないように気をつけて、段ボールに詰めたり、ボテ(行李)にしまったり。完了は十時半頃でしたでしょうか。仲間と歌舞伎座の近所のラーメン屋『長浜ラーメン やまちゃん』で夕食をとってから帰宅しました。

自宅では自宅で、マンスリーマンションに送る荷物も作らねばならないし、自分の芝居用荷物も整理しなくてはならないし…時間がいくらあっても足りません!

さて三日の記事に掲載した写真に写っている、私の同期ですが、正解は澤潟屋(段四郎)さんのお弟子さんの、市川段一郎さんでした。もうすぐ一歳になるお子さんがいらっしゃる、パパさんですよ。