151頁、68頁に24人の詩。他に評論、書評を載せている。
「わたしが生まれた日」青山みゆき。
20行の作品だが、それぞれの1行は長く、その1行で一つの事件のような様相にも見える事柄をかたちづくる。そしてそれらが緩く結びついたり間隔を開けたりしながら、全体でひとつの物語を組み立てている。破調の短歌のように見え、各行の微妙なずれた感覚が面白い。3行を引用してみる。これらは続いているわけではない。
ごちそうしてもらってごめんね切り口を底にむけ鍋のなかでかくれんぼする男たち
えんでぃんぐのーと読まれるまえにわたくしをピザトーストとしてこんがり焼く
ちりちり縮んでゆく一本の背のたかい草のうしろにしゃがんで母ちゃんをずっとまつ
「鉛筆談義」川島完。
丸い鉛筆がお気に入りだという。鉛筆を「どんどん削っていくと/わたしも どんどん丸くなって」いくのだ。この感覚はよく判る。鉛筆の先端の新しい部分があらわれるにつれてわたしからも余分な部分が削り取られていくのだろう。
鉛筆柏槇にこもる
あの気配
あの懐かしさ
あの凝視する樹幹の闇が
噛み跡の荒野から
立ち現れる
ボールペンや万年筆とは違って木に被われた鉛筆の中には時間を超えて続いているものがあるのかもしれない。
「かすかにまわる天の軸」堀内みちこは、見上げる冬空にはたくさんの星があり、寒いからこそ次の季節が確実に来ることを感じている作品。
天の軸がまわる
かすかな でも 正確な音が
聴こえているでしょう
聴こえているでしょ
「わたしが生まれた日」青山みゆき。
20行の作品だが、それぞれの1行は長く、その1行で一つの事件のような様相にも見える事柄をかたちづくる。そしてそれらが緩く結びついたり間隔を開けたりしながら、全体でひとつの物語を組み立てている。破調の短歌のように見え、各行の微妙なずれた感覚が面白い。3行を引用してみる。これらは続いているわけではない。
ごちそうしてもらってごめんね切り口を底にむけ鍋のなかでかくれんぼする男たち
えんでぃんぐのーと読まれるまえにわたくしをピザトーストとしてこんがり焼く
ちりちり縮んでゆく一本の背のたかい草のうしろにしゃがんで母ちゃんをずっとまつ
「鉛筆談義」川島完。
丸い鉛筆がお気に入りだという。鉛筆を「どんどん削っていくと/わたしも どんどん丸くなって」いくのだ。この感覚はよく判る。鉛筆の先端の新しい部分があらわれるにつれてわたしからも余分な部分が削り取られていくのだろう。
鉛筆柏槇にこもる
あの気配
あの懐かしさ
あの凝視する樹幹の闇が
噛み跡の荒野から
立ち現れる
ボールペンや万年筆とは違って木に被われた鉛筆の中には時間を超えて続いているものがあるのかもしれない。
「かすかにまわる天の軸」堀内みちこは、見上げる冬空にはたくさんの星があり、寒いからこそ次の季節が確実に来ることを感じている作品。
天の軸がまわる
かすかな でも 正確な音が
聴こえているでしょう
聴こえているでしょ