桑の海 光る雲

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立山

2009-09-01 20:23:11 | 旅行記

劔岳から下山し、別山乗越までやって来ました。別山乗越を出発し、別山へ向けて登り始めました。その途中、北側の視界が開け、劔沢越しに劔岳の全景が目に飛び込んできました。

劔岳の西側からは次第にガスがわき上がってきて、山頂がガスに覆われるのも時間の問題です。早い時間に登り始め、早い時間に下りてきて良かったと思いました。あと少し遅ければ、この場所からの劔岳全景は見られなかったからです。

写真を写しているうちにガスが劔岳にかかり始めました。そして、この時が劔岳を目にした最後の瞬間になりました。

登山道は別山に向かって付いていますが、もう山々はガスに覆われ、山頂からの展望は全く期待できなくなりました。別山の山頂からの劔岳の眺望も素晴らしいと聞いていたのですが、今回は諦めました。そこで山頂はエスケープして、トラバースルートを取りました。

このあたりは稜線に沿って登山道が付いており、晴れていれば一面に立山周辺の山々を見渡すことができるのでしょうが、今日は全く見えません。

登山道はこの後真砂岳という山に向けて続いているのですが、私はこの山もトラバースルートを通ってエスケープしました。

ここを過ぎると、いよいよ立山山頂への最後のきつい登りが待っています。でも、稜線で既に2,500mの標高があるので、室堂から一気に立山に登頂するのに比べれば楽です。このルートは立山から続く縦走ルートで人気もあり、結構たくさんの人とすれ違いましたが、既に疲れて休み休み登っていたので、すれ違うたびに休憩を取ることができ、そんなに気になりませんでした。

最後の富士の折立への登りを終えると、立山山頂のほぼ平らな稜線に出ます。ここからは標高3,000mの稜線歩きになります。3,000mの標高は富士山以来実に8年ぶりです。あたりは一面のガスで全く眺望が利かないのが残念です。

歩いていると次第にブルドーザーとおぼしきガーガーという音が聞こえてきました。また、「富山高岡のみなさ~ん!」とか言って、何とか家具店とかいう店をPRする男性の叫び声も聞こえてきました。すると目の前に、土砂を動かすブルドーザーが現れました。どうやら小屋を新築する工事中だったようです。よくこんなところまで運び上げたな、と思いましたが、おそらく分解したものをヘリコプターで運んで山上で組み立てたのでしょう。

叫んでいる男性は、立山の最高峰、大汝山の山頂にいました。私はその人に写真を撮ってもらいましたが、叫んでいたことについては時に聞きませんでした。その人は去り際に「どうもお騒がせしました」と言って下りていきました。

立山の山頂は、岩がごろごろと積み重なる3,000mの稜線がほぼ水平に続くというおもしろい形をしています。どこかがすっと聳えているというのではありません。その岩の高まりの一番高いところを「大汝山」と名付け、立山連峰の最高点としているのでした。

そこでお昼にしました。持ってきた最後のパンを、眼下に黒部湖を見ながらぱくつきました。

その後、立山で最も多くの人が訪れる雄山に向かいました。ここには立山山頂雄山神社が鎮座しています。立山信仰最大の聖地です。ここは500円払うと山頂にある神社に行け、神主さんが丁寧にお祓い、お祈りをしてくれ、御神酒までいただけます。神主さんのお祈りも、月山山頂とは異なって形式的でなく、お話も心のこもったもので、とてもありがたく思いました。

あとはひたすら下山するばかりでした。雰囲気としては、大雪山旭岳の登山道に似て、岩と砂に覆われた歩きにくい道でした。まぁ、立山ももとは火山ですから無理もありません。でも下りながら、ここを登りに使わなくてよかったなと思いました。それくらい斜度もきつく歩きにくい道でした。しかも装備がきちんとしていない観光客や子供達が登ってきて、自分のペースで登るのは難しかったと思えるからです。

室堂のバスの時間には余裕で間に合います。歩きながらふと振り返ると、ガスが切れて立山の全景が見えました。慌ててシャッターを切りました。この時以外に、この日は立山の全景を見ることはできませんでした。

室堂からはバスやロープウェーなどを乗り継いで扇沢まで戻りました。行きは扇沢から室堂まで2時間近くかかったのに、帰りは1時間ほどしかかかりませんでした。ケーブルカーに乗る時、前夜に会った目の不自由な人達の一行に再会できたのも、不思議な縁を感じました。

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