桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

開聞岳③

2007-01-05 21:18:15 | 旅行記

ガイドブックにあったとおり、登山道はひたすら鬱蒼とした森の中だった。しかも、これまで慣れてきた北海道や上信越の山と樹種が全く異なる。だから、森の中の匂いが全く違っていた。

これまたガイドブックにあるとおり、単調な登りが続く。足下は火山らしくザクザクとした火山礫である。幸いに木々の根が張っているので、歩きにくいことはない。

1合目ずつに休憩場所が設けられている。傾斜はやや緩いとはいえ、ひたすら登り続けるので、けっこうきつい。これが頂上まで延々続くのだから、ちょっとうんざりするくらいだった。しかも、深田久弥が言っていたような「これだけ海が堪能できる山は他にない」という光景も、深田が登った頃に比べれば木々も茂ってしまったためなのか、実感できない。

登山道が開聞岳の円錐形の山容をぐるっと一回りしているということは、登っている時に顔が向いている方角がだんだん変化してきていること、木々の合間からわずかに見える海の見え方が明らかに変わってきていることからも察せられた。

ちょうど六合目あたりだっただろうか。突然左手の視界が開け、眼下に海が広がった。空は曇っているが、雲の切れ間から光が海面に落ちている光景が何とも印象的であった。このあたりから足元は火山礫から溶岩の固まった岩場に変わり、いっそう登りにくくなってきた。

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