7/31(木)
乗鞍岳へは、もう20年前に最初の学校での国語科職員旅行で、畳平まで来たことがあります。この時はまだ一般車も畳平まで来られたのですが、後に自然保護の目的で、岐阜県の平湯か、長野県の乗鞍高原などからのシャトルバスでしか来られなくなってしまいました。
昨年の秋に焼岳に登ったとき、すぐ隣に聳える乗鞍岳の雄大な姿が印象に残りました。穂高岳や笠ヶ岳は鋭い岩峰ですが、乗鞍岳は火山ということもあって、山容はずっと穏やかです。今年の夏は南アルプスや北アルプスに登ろうかと考えているのですが、その練習のつもりで、日本で一番簡単に登れる3,000mである乗鞍岳に登ってこようと決めました。
4時に家を出、上信越道、長野道を通って松本インターで下り、上高地へ向かうルートを南に折れて乗鞍高原の駐車場に着いたのは7時半でした。シャトルバスは基本的に1時間に1本なので、ちょうど良い時間、しかも平日なのでさほど混んでいません。駐車場からは乗鞍岳がきれいに見えていますが、別の方の空は既にガスが出始めており、登るうちに山はガスに覆われてしまうだろうことが予想されました。
シャトルバスの中ではずっと寝ていましたが、畳平の手前の大雪渓で下りる人がいるので目が覚めました。前回来たときはここで夏スキーに興じる人がいましたが、今回も何人かの人が滑っていました。
畳平に着いたのは9時前。山頂の剣が峰目指して、まずターミナル横のお花畑に下ります。ハクサンイチゲとチングルマが満開で、まさにお花畑の名にふさわしいところでした。ここを横切り、観測所と山小屋のために付けられた作業道を歩いていくと肩の小屋に着きました。ここから山頂までは火山特有の砂利道をひたすら登っていきます。
この辺りで辺りはすっかりガスに覆われてしまいました。登山道は結構な斜度で、しかも砂利道の中に大きな岩があってとても歩きにくかったのですが、それ以上に、平日ながら最も簡単に登れる3,000m峰ということもあってか、沢山の登山客がおり、特に登山ツアーの団体がいくつも登っているのです。先に行かせてもらえるのはありがたいのですが、そのたびごとに「特急列車が通過しま~す!」と声を掛けられるのは、毎度のことながらひどく嫌味に聞こえ、良い気持ちはしません。どうして「どうぞお先に~!」の一言で済ませられないのでしょうか?
乗鞍岳は比較的新しい火山ということで、肩の小屋以降の登山道では高山植物はほとんど見られません。かろうじて火山特有の砂礫地を好むコマクサの群落が見られましたが、いかんせん登山道からとても離れたところにあって、写真に収めることはできませんでした。
山頂に近づくにつれて岩が増え、頂上小屋の前を通過して山頂に着きました。山頂にはまた別のツアー客がおり、8畳ほどの山頂は満員でした。そのツアー客が弁当を食べ終わり、人が少なくなったところで、何とか山頂標の前で写真を撮ることができましたが、間もなく別のツアー客が登ってきて、晴れた空の下、山頂標の前で写真を撮ることは結局できませんでした。
昼食を済ませ、30分ほどして下山することにしました。下山の際にもやはり「特急列車が通りま~す!」の声を、登りの時と同じツアーの人にかけられて気分を害したので、肩の小屋で休憩するであろうこの人達と、小屋で一緒になるまいと、かなり急ぎ足で下っていきました。肩の小屋で小休止をし、あとは畳平まですたすた下っていきました。本来なら、肩の小屋から大雪渓の脇を通って途中のバス停まで行け、その方が畳平に行くよりも近いのですが、私はぜひ始発の畳平から座っていきたいので、あえて畳平まで戻ったのです。畳平に戻るとちょうど3時間でした。山頂で大休止を取らなければ、2時間ほどで往復できたかも知れません。
帰りは白骨温泉の泡ノ湯に入ろうと思ったら、何と木曜日は露天風呂が休み。仕方なく沢渡まで戻り、沢渡温泉に入って汗を流して帰りました。