はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

天城越え 七滝

2012-06-12 16:39:18 | ウォーキング
天城越え2-6

天城峠~七滝
 トンネルを抜け湯ガ野側に出ると車もグンと少なり歩行者はいなくなった。彼らは天城トンネルで引返して水生地下の駐車場に戻るのだろう。どうやら天城で一番面白くない道を彼らは歩く事になりそうだ。尤もこちらの道も車道なので、滑沢渓谷やゆうゆうの森付近の道とは比較にならないが、それでも水生地からトンネルまでの道よりは雰囲気は良い。
 
 寒天橋! どこかで聞いた名前だ。そうだ浄蓮の滝で掛かっていた石川さゆりの「天城越え」の歌詞にあった。
「わさび沢 隠れ径 小夜時雨 寒天橋 恨んでも 恨んでも からだうらはら あなた…… 山が燃える」 ウーン何とも意味の分からない歌詞だが、石川さゆりが歌うと切なくかつ情熱的に感じる。その寒天橋がここにあるが 橋は普通で何の趣も無い。ただ橋の横には「日本道100選」の記念碑が建っていた。

 
  寒天橋から                          日本の道100選の記念碑

 寒天橋からすぐの所に「二階滝」がある。この滝の説明に「河津七滝を持つ河津川の一番目の滝で巾6m高さ20mあり厳冬時には一条のつららになる」と紹介してあった。
へー静岡県の滝が凍って一条のつららになるなんて本当かしら、一条のつららになるのではなく、一条のつららができるの間違いではないのかな。
そんな事はともかく国道を横断すると道が山道になった。その道の近くにワサビ田があり、近くには蕗が生えている。ワサビと蕗の葉は似ているがワサビの葉は艶々しているので一目瞭然だ。だがこの蕗が艶蕗だったらどうだろう、もっと似てくるかな。
余り葉の形が似ていたので同種かと思い調べてみると、ワサビはアブラナ科で蕗はキク科でした。

 道に水が流れ込み沢のような状態になってしまった。靴が濡れるのを恐れて脇を歩いていた所為か、いつの間にか道からずれてしまったようだ。踏み跡が薄くなりどうにも変だと慌てて沢状の道まで引返し水の中を進むと林の中に行く道があった。アー良かった。

 
  二階滝                           蕨と蕗

 歩きながら天城ウオーキング推薦コースを考えてみた。出発地は昭和の森、いわゆる天城越え道の駅に車を置いて、滑沢渓谷、ゆうゆうの森を通り水生地下に出る。水生地から少々面白くない道だが天城トンネルを越えて二階滝を見て、この山道に入る。(山道と書いたがここも踊子歩道です) そして七滝を見学して七滝のバス停から道の駅までバスで帰る。
余裕があれば太郎杉を見たり、温泉好きの人なら大滝温泉に入るのも良いだろう。どうですか紅葉のころなら景色もバッチリだと思いますよ。
自分が歩けばよいって、そう歩きたいですが一人だとこれでは物足りなくなって余計な道を歩いてしまいそうです。例えば帰り道を二本杉峠を通って、歩いて道の駅に戻りたくなってしまいそうです。

 上の方に国道が見えている。ここは踊子歩道と名付けられているが街道ではなかったはずだ。明治入ってからの馬車の通った街道は、こんな川の近くでなく、もっと上の方についていたはずだ。そう今見える国道の方にあったと思う。
そしてそれ以前の街道は二本杉峠経由なので、ここより下の宗太郎園地と言う所で分岐している。だからここは街道ではなくハイキングコースだと思う。
 
 
  登山道横の沢             平滑の滝?          国道が見えた

 宗太郎園地に4時丁度に到着。案内板にここから七滝最初の滝まで30分。その先のバス停までは35分となっている。バスの時間あは17時15分だから十分間に合う。旧街道の二本杉峠に行く橋を渡ったりして様子を見ていると声が掛かった。
「お父さん、良かったり焼きそばを食って行かないかね」と道の奥でバーベキューをしている人からだった。一瞬迷ったが今時間を確認して十分余裕がある事が分かっているので甘える事にした。大盛りの焼きそばに大きな器に入った味噌汁をお接待してもらいながら話をしていると「さっき二本杉から下って来た人が「二本杉からの道は水が出ていて何度も川を渡り大変だった」と言ってたが、お父さんはどうだった?」
「エッ!二本杉って旧道でしょう?それなのに道がそんなに悪いのですか?」
「ウン途中に地蔵さんが二個あったと言っていたから旧道に間違いないと思うよ」

アー良かった。ゆうゆうの森でもし強気の心が勝っていたらとんでもない事になっていた。楽な天城トンネル越えでも、ここ宗太郎園地に4時に着いたとなると、二本杉峠越えでは5時近くにはなってしまっただろう。そして終バスに間にあわずどこかに泊るはめに------
フー良かった! 普段の心掛けが良いからイザという時に天は味方してくれる「南無大師遍照金剛・南無大師遍照金剛・南無大師遍照金剛」だ。


  宗太郎園地の分岐の橋          接待の焼きそば    バーベキューの人達

 雑談を交わしながら大盛りの焼きそばと味噌汁を飲み終わり、そろそろ出発しなければと思い時計を見ると、4時15分になっていた。最終バスまで後1時間あるが、ここからバス停まで65分掛かると書いてあった。そろそろ出ないとバスに間に合わなくなってしまう。 
お礼を言って歩き出すと終バスの時間が気になり自然に早足になる。街道になったせいか道脇にはまた石仏が出始めたがゆっくり見ている暇は無い。
さらに進むと何やら貼紙が何枚もしてある木道の入口があった。貼紙を読んでいるの時間も惜しくそのまま木道に入る。
この木道は手摺まである立派な木道で七滝に向かっているのは間違いないだろうが、向かっている方向が逆のような気がした。向きが今歩いてきた方向に戻っているように思うのだ。だが木道はグングン下がって行くので川に向かっていることは間違いない。しかし次の滝に向かうのに、この木道を戻るとなると大変だ。不安が頭をよぎる。こんな事なら入口の貼紙をしっかり見ておくべきだったと後悔をするが今更遅い。
ようやく目的地なのか看板が建っていて、そには「猿田淵」と紹介してある。何!猿田淵? 滝ではなく淵だって? やいやい七滝以外の場所に来てしまったのだ。見えている流れは滝ではなく川幅の狭くなった所に水が集中して激流になっている。どこかで見た景色だ、そうだスケールは違うがニュージーランド北島のフカホールもこんな感じだった。滝でもないのにホールと呼んでいたが滝にも劣らない様な激流が流れていた。

 
  題目塔                            猿田淵

 イヤイヤそんな事を考えている余裕はない。先に進まなければバスに間にあわなくなる。道はまだ下流に続いているが果たしてこの先に七滝があるのか? 標識を探したが見当たらない。今更さっきの木道を戻るのも馬鹿らしいと更に道を下って行った。
 やっと標識が出てきた。この先に釜滝があるようだ。釜滝に16時40分に到着。終バスの時間までにあと35分ある。確か宗太郎園地の標識には七滝からバス停まで35分と書いてあったはずだ。それなら多分間にあう筈だと少しホッとする。
釜滝はすごい水量で滝の近くにある展望台は水しぶきが凄い。写真を一枚写してほうほうの体で退散した。


  釜滝

 少し余裕が出てきて下から登ってきた親子連れに「この上の滝は凄いよ」と声を掛けたが何の反応も無い。失礼な奴らだと思いながら岩肌に付いた急な道を下る。釜滝から2、3分で着いたえび滝は落差が小さく大した事のない滝だった。写真を撮り次の滝の行こうとすると、何と、何と遊歩道が通行止めになっている。それも簡単に貼紙やロープ1本で入らなくしてあるのではなく、ロープを何重にも絡め頑丈に封鎖してある。

   
  えび滝

貼紙にはなんて書いてあったのだろう?今は思い出すこともできないし、その時は写真を撮る余裕も無くなっていた。
もう一刻も早く戻るしか手は無いのだが、疲れてきた体に急な上り坂はきつかった。早く、早くと気は焦るのだが一向にスピ-ドは上がらない、いや上がるどころか速度は下がってきている。
釜滝を過ぎた所に猿田淵と水垂の分岐があった。そこに確か「バス停への近道」とか書いてあったような気がしたが確かではない。先ほどの親子連れを追い越したのだが、子供が私に負けずに歩き出した。その子を追い越したいのだが駄目!追い越せない。いやいや子供の方が余裕があって私から付かづ離れづ歩いているようだ。
アー!疲れた。もうゆっくり歩きたい。だがここで速度を下げたら1万円の出費が必要になってしまう。宿は七滝温泉にあるだろうが宿代が惜しい。ケチな私は疲れながらも必死に歩くのでした。
これで心掛けが良いから天が味方するだって。とんでもない。そんな慢心をするから天は早速罰を与えたのだ。クワバラ!クワバラ!

ようやく宗太郎園地から続いていると思しき太めの道に出た。標識にはこの先に「水垂」のバス停があると書いてある。私の目指したバス停は「河津七滝」だが水垂は多分天城峠寄りのバス停だろう。それならバスの時間は七滝より遅くなるだろう。ここで少し余裕が出てきた。
そうか、さっき親子連れに「上に大きい滝がある」と教えたのに返事がなかったのは、失礼だからではなく「そんな事は百も承知だ」という事だったのだろう。折返しの道を戻ってく人に道を教える変な人と思われたかもしれないな。

 国道に合流。そしてそこには水垂のバス停の標識が建っていた。時間はジャスト17時。バスの時間は17時35分。こんな事なら慌てる事は無かったが、このバス停の事は知らなかったのだからしょうがない。なにはともかく間にあって良かった。勿論次のバス停とかは目指しませんでした。それにしても久し振りに焦ってしまった。 アー疲れた。