1988年からCMLに対してベスタチンを投与し、フィラデルフィア染色体陰性、bcr/abl陰性症例の報告を行い、その後故太田和雄先生が日本国内での追試を行ったが、参加施設のほとんどで見るべき成果が得られないということで中止された。
健康保険適応外ということで、東北大学第3内科、仙台血液疾患センターでも、日本化薬からのサンプル提供を受けられない現状で、次々と投薬を中止せざるを得ず、イマチナブ(グリベック)発売のかなり前の当時の状況で、移植適応年齢からはるかに過ぎている患者は次々と急性転化となり死亡した。
しかし、内服継続可能であった2例は、1例は現在も通院中で、かつフィラデルフィア染色体は陰性で、健康である。もう1例は、東京転勤となり、主治医は効果に疑問を呈し、投薬変更を考慮したが、染色体検査所見に驚き(正常染色体を確認して)、患者の内服継続の意志に沿った医療行為を行い、その後、時折患者からの連絡で依然として正常染色体を示している。
ベスタチン継続により生物学的抗腫瘍因子を徐々に強大にして、遺伝子異常を修復し今日まで活躍している2名がいることは、投薬継続に伴う種々の困難を乗り越えた主治医冥利に尽きます。