気のせく、あわただしい毎日と、読み出したら止まらない性分を加味して、長編小説には手を出さないのですが、たまたま目にした、書評につられて、しかも”詩”とあったのでネット注文で手に入れました。
1884年に生を受け、1900年には親の決めた意に沿わない結婚をしたイラン人で、学問を受けた当時としてはまれな女性の詩でした。個としての意識を持っていても、生活の術は意に沿わずとも従わなければいけない女性の声がつづられていました。
日本の社会でも、アカハラ、セクハラなどなど、まだまだ女性の忍従を強いられる場面はありますが、決意を持てば、変えられなくても去ることはできます。100年以上前のイスラムの社会に閉じ込められた女性の心の葛藤、特に子に対する思いの複雑さに苦しくなってきました。不幸としか言いようのない違いのある精神性の24歳も年上の男に嫁ぐことを強いた両親に対する許すことができない何故も背負って生き続けて最期を迎えたのかと思うとつらい。
自由を欲すれば自由な日本で、家庭内暴力にさらされ続けたり、宗教的洗脳にさらされたりするのは、教育の質の違いが背景にあるのでしょうか。
この本を、出版すると意図した人たちに、敬意を表します。http://www.michitani.com/books/ISBN978-4-89642-373-0.html
出版社は ”未知谷” 訳者は、中村菜穂、鈴木珠理、そして ザフラー ターヘリーという女性の文学を研究している方。
自宅にある、イスラム文化圏に関係ある本をさがそうとして、大震災以後、講義に必要な棚はとりあえず、整理したが、一般書は床一面に散乱していたのを積み上げただけで手つかずであることを再認識。
比較的近い昔に買ったと記憶している本が見つからない。最近のイスラム文化の知識を、仕入れた本はどこにいったのか?
それ以前には、井筒俊彦著 イスラム文化 その根底にあるもの
前島信次著 アラビアに魅せられた人びと
オマル・ハイヤーム作 小川亮作訳 ルバイヤート
など、極めて限られている。その知識の上での今回の出会いは衝撃的。