goo blog サービス終了のお知らせ 

すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

とばとば(バックナンバー)

2007-01-07 22:29:47 | うちのキヨちゃん
 「とばとばしとる」とは地元の方言で、まあ、おっちょこちょいというか、あわてん坊というか、そういう類の言葉である。しかしキヨちゃんの場合、少しニュアンスが違うのである。慌てて何かを「あ、やっちゃった。」なんて感じではなく、ごくごく自然にやってのける、いわゆる「天然」である。
 テーブルの上にうっかりペットの餌など置こうものなら、食べられそうになる。デカデカと犬の絵が描いてあってもである。おしゃれな一輪挿しを買って帰った時、くわえてみようとしたこともある。
 ある日、悲鳴と共に顔面白塗りのキヨちゃんが飛んできて、父と私は腰を抜かしそうになった。何でも父の車の塗装が剥げかかったところを修繕しようと、スプレーのペンキを使ったらしいが、それを顔に受けたらしい。
 「何でそんなことになったん?」
私の質問に、キヨちゃんの説明はこうだった。
 「目が悪いもんやから、スプレーの穴がどっちにむいとるか分からん。注意しないととんでもないところに吹き付けるぞ・・・と思って、目を近づけて見たん。で、こっちが穴かなあ?と思いながらスプレーを押したん。」
残念なことに目の方に穴が開いていたものだから、白塗りとなったのである。
 幸い大事には到らなかったが、怒りながら顔を拭いてやる父の手が、笑いで震えているのを私は見逃さなかった。
 こんなキヨちゃんにふりまわされている私たちこそ「とばとばした」人間に見えることだろう。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする