すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第871号 電気の使用量を恒久的に削減しよう ~ 明るすぎる日本、便利すぎる日本 ~

2011-03-18 11:30:02 | Nagano Report

【Nagano】東京電力の計画停電実施で直接の地震被害を受けなかった首都圏が混乱している。国民は節電を要請されているが、日本人は、そもそも必要のない電力を日頃使いすぎている。全体の電力使用量や使い方を考え直す時がきていると思う。

夜の衛星写真を見ると日本が世界で一番明るい。沿岸の街も、内陸の街も途切れることなく明るく続き、日本の形全体がこうこうと浮き上がって見える。

地上に降りれば、大都市の夜は、まるで歓楽の街、ラスベガスと見まごうばかりに明るい。その上、ラスベガスにもないような色々な物の自動販売機が、同じ物を売っている店の前にも住宅街にも所構わず置かれている。

屋内に入れば、照明は十分に見える以上に明るいし、電気でコントロールされていないものを探すのが難しいぐらいだ。その最たるものは、公共施設のなかにさえある暖かいトイレの便座だ。

約30年前の夏の夜、私はアメリカの首都ワシントンの空港に降り立った。まだワシントンへの直行便がない時で、乗り継ぎのニューヨークから私に話しかけてくれていた隣の窓側の席の老紳士がワシントンに着く前に席を変わってくれて、あそこがあなたがこれから勉強する大学と説明してくれた。ぼおっと照明された大学の時計塔がすぐにわかるほど、街の明かりは暗かった。

その老紳士の奥さんが空港に迎えに来られていて、私をその夜の宿舎まで送ってくれるという。道々、ここがアメリカの首都かと、あまりの街の暗さにいぶかった。

街も暗かったけれど、暮らし始めてまず閉口したのが部屋の暗さだった。だいたいの部屋の天井に電気がない。不思議なことに、天井には何もなく平らなのに、スイッチだけはあるのだ。どういうことか。

5ヶ月後に一人暮らしの元大学教授の女性の家に下宿することになって真相がわかった。1970年代のオイルショック時に節電のために天井の電気を取り払うことを国民は義務づけられたそうなのだ。オイルショックが過ぎ去ってもどこの家でもそれが続いていた。

驚いたことに、アメリカの街の暗さや屋内の照明の暗さは今でも続いている。

ニューヨークのような大都市や首都のワシントンでも商業地域と住宅街ははっきり区分けされていて、主要道路に沿った商業地域から一歩後ろの住宅街に入るともう見える程度の街灯しかない。

どの街も看板の規制があるので商業地域さえネオンも少なくむしろ暗く、地下鉄の駅はどこも見える程度の明るさだ。日本人の目には最初は不気味だし、アメリカは怖い所と聞いているので、最初は恐怖さえ感じる。(あとで怖い地域と言うのはどこでも決まっていて、そこに近づかなければ大丈夫ということがわかる。)

日本に戻って来る度に、東京がますます明るく感じられるようになり、不快にさえ思うようになった。

さらに、4年前に日本に戻り家電を買うにあたっていらいらさせられたのが、アメリカと日本の家電製品の違いだ。日本の製品には必要のない機能がこれでもかこれでもかと付けられていることだった。

機能、サイズ、電力消費量、値段など、すべてを勘案して、選びに選んでやっと買った家電だが、それでも「こちゃこちゃと便利」にしてあるために融通が利かず、かえって使い勝手が悪い。

いろんな機能のついたトイレの便座も気に入らない。始めは暖めるだけだったのだと思うが、いろんな機能のついたトイレの便座が今は公共施設にでさえ設置してあったりする。複雑怪奇で、消毒剤入りの洗剤で全体をざぶざぶ洗えない構造のこのタイプのトイレは、私には不潔きわまりない。

今時ウォッシュレットでないトイレなんて使えないときょうだいに言われ、我が家では客用はウォッシュレットにしたが、普段自分が使うトイレはやっと見つけた暖房のみの便座にした。ほんとは暖房もいらなかったが見つからなかった。

暖房については、日本の屋内暖房は一般住宅でさえ設定温度が高すぎる。暖房のある部屋は暑過ぎ、それ以外の場所では凍えるような暖房の仕方は健康にもよくない。つまらない家電の機能に電気を消費するのをやめて、断熱効果の高い家全体を厚手セーターで丁度いい程度に常に暖めておく方が、結局は消費電力も少なく、冬の温度差による年寄りの急死も減るだろう。

日本では、付加価値だとか何だとか言って、あれやこれやと不要な電気を使っていると思わないではいられない。もっと賢く電気を使おう。

私はアメリカ人の節電の仕方が身に付いてしまい、冷蔵庫や電話など付けっぱなしにしておかなければ意味のないものを除き、ありとあらゆる使用していない電気製品はすべてコンセントが抜いてある。照明は60ワットの電気が天井のあちこちについていて、普段はいる場所の1つだけをつけ、暗さに慣れていないお客さんがいるときだけ沢山つけて明るくしている。

(写真は東京・お台場あたりの夜景。2008年5月撮影)


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