すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第257号 『宮本常一が見た日本』

2005-08-31 11:29:56 | Tokyo-k Report
【Tokyo】『宮本常一が見た日本』(佐野眞一著・NHK出版)を読んだ。感想は、この一言しかない。「イヤー、参った!」である。人間はどこまですごいことができる動物か、宮本常一(みやもと・つねいち)という人の生涯を知って、改めて「底が知れない」という思いにさせられたのだ。 宮本常一という、民俗研究に多くの足跡を残している存在はもちろん知っていた。しかし膨大らしい著作の中で、読んだことがあるのは代表 . . . 本文を読む
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第256号 始まったぞ衆院選挙

2005-08-30 11:39:32 | Tokyo-k Report
【Tokyo】衆議院選挙が公示されました。駅に近い私のマンションには、多分、駅前で演説している候補者の声でしょう、何を言っているかは定かでありませんが、いつもとは異なる「騒音」が響いてきます。 散歩をしていて、マンションの解体工事現場に出くわしました。あまりに見事な壊しぶりに、思わずカメラを向けていました。選挙もいっそのこと、こんな具合に世の中を解体し、新たに造り直してくれるものなら面白いのに、 . . . 本文を読む
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第255号 さあ、総選挙

2005-08-29 11:52:48 | Tokyo-k Report
【Tokyo】さて、いよいよ総選挙である。今朝も散歩で駅前を通りかかったら、午前7時を期して立候補予定者の演説が始まった。こうやって明日の公示日以降、世の中は選挙一色になっていくのだろう。この熱いのに、声をからして政権を訴え、ひたすら頭を下げてお願いする。こうまでして「政治家になりたい」という熱意を、私は鬱陶しく感じるのだが、しかし候補者たちの「当選」に賭けるエネルギーには、ほとほと感心させられる . . . 本文を読む
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第254号 不思議な選挙

2005-08-26 13:18:35 | Tokyo-k Report
【Tokyo】世の中すっかり選挙モードだが、いまだに私は今回の「解散・総選挙」がよくわからない。議会制民主主義の下で、議会が法案を否決したから解散し、国民投票を行う、というのは、市町村長が合併や原発誘致を住民投票に問うこととは性質が異なる。地方の首長は住民の直接投票で選ばれた「大統領」的存在だが、内閣総理大臣は衆議院議員で互選した首相なのだから。 どこからも「待った」がかからないから、首相の解散 . . . 本文を読む
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第253号 裸婦像と景観

2005-08-24 11:09:17 | Tokyo-k Report
【Tokyo】富山について、続ける。町を歩いていて、気になったことがあった。「裸婦像」である。富山市には、その中心部をほぼ東西に流れる「松川」という川がある。両岸からせり出した桜の巨木が、枝を触れ合わんばかりに流れの上にアーチを作り、花の季節はさぞやすばらしい景観になると思われる。その流れに沿って、遊歩道が整備されているのだが、ところどころに彫像が据えられ、その多くが「裸婦像」なのだ。 歩道や公 . . . 本文を読む
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第252号 国民生活指標と富山

2005-08-23 15:06:06 | Tokyo-k Report
【Tokyo】私は地方都市を訪ね、歩き回ってその町の「臭い」に触れることが好きだ。だから金沢へ行った帰り、富山市という町に一泊してみた。この町は、国鉄時代の北陸本線で通過したことが何度かある。そして富山県といえば、子供のころ高岡には行ったことがある。しかしそれ以外は、富山は私の人生とは全く無縁の地であった。だから特別な目的はなかったものの、富山市という「初めての町」に立ち寄ってみたかったのである。 . . . 本文を読む
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第251号 マシュー・バーニー「拘束のドローイング」

2005-08-22 23:06:34 | Tokyo-k Report
【Tokyo】評判の「金沢21世紀美術館」に行ってみた。若者らに大評判になっているらしい「マシュー・バーニー展」を観るためである。地方都市を見て回るのは私の仕事のようなものなので、大いに関心を持って出かけたのだが、「マシュー・バーニー」なるわけのわからない前衛芸術家の作品展(映像1000円と展示800円)が、金沢という交通の便の悪い1地方都市へ全国の多くの若者を惹きつけているという現実は、私の関心 . . . 本文を読む
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第250号 奇妙な解散総選挙 

2005-08-13 00:08:18 | Tokyo-k Report
【Tokyo】どうも今回の「解散・総選挙」はわからない。解散権は首相の専管事項だとしても、郵政民営化法案という一つの法案が立法府で否決されたからといって、「その賛否を国民に問う」という理由で解散することは、まるで国民投票だ。「立法府は要らない」と言うに等しいのではないか。それでは日本は、議会制民主主義というより、直接民主主義の国ということになる。 反対した議員は公認せず、対立公認候補を立てるとい . . . 本文を読む
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第249号 鄙の反乱・都の敗北

2005-08-08 21:08:48 | Tokyo-k Report
【Tokyo】郵政民営化法案が参議院で否決された。その瞬間、テレビ画面には宙を仰ぐ竹中担当大臣の表情がアップになった。それを見て私は「うーむ、これは慶応の敗北だな」と思ったものだった。「都鄙(とひ)の対立における都(みやこ)の敗北」と言い換えてもいい。実に人間臭い政治ドラマだった。 小泉政権は慶応大学政権である。首相本人と竹中大臣、ほかにブレーンにも慶応色が強い。「慶応」ブランドの世に定着してい . . . 本文を読む
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第248号 対談「郵政民営化」

2005-08-03 16:02:10 | Tokyo-k Report
【Tokyo・Washington】このところWashington電は途絶えていますが、郵政民営化を巡って対話してみたくなったので、Tokyoで勝手に対談してみました。文責はTokyoの「黒雀」にあります。 黒雀  (Tokyo)「国会は、参議院での郵政民営化採決を巡って、珍しく緊迫してきた。そちらの関心はどうかな」 白雀  (Washington)「一般的関心はまったくないのだけれど、ホワイ . . . 本文を読む
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第247号 中上健次『熊野集』

2005-08-02 13:09:49 | Tokyo-k Report
【Tokyo】中上健次の『熊野集』を読んだ。雑誌「群像」に発表された郷里・新宮周辺の生活史と創作である。読み手には実に疲れる連作だった。私は熊野、特に新宮を中心としたディープ熊野の生活に関心があるから何とか読み終えたが、疲れた。(私と熊野についてはgoo Blog「大和を歩く」を読んでいただきたい) 中上健次の作品は『岬』や『枯木灘』、それに新宿2丁目界隈を舞台にしたホモたちの生態を描いた長編( . . . 本文を読む
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第246号 炎熱の記憶

2005-08-01 15:30:52 | Tokyo-k Report
【Tokyo】何ということもないのに日々些事に追われ、気がつけば8月である。8月1日は会津八一の生まれた日ではなかったか。「8・1」だからと連想していると、「おほてらの まろきはしらのつきかげに つちをふみつつものをこそおもへ」という八一の歌が口をついて出る。とすれば唐招提寺だ。今ごろ金堂脇の池では、ハスの花が見事に開いていることだろう。 8月1日からハスの花まで、連想は間段なくつながった。そう . . . 本文を読む
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