【Tokyo-k】京都の春を満喫しながら、観光客のなんと多いことかと驚かされる旅だった。京都は確かに、魅力をたくさん有している街だ。だから日本にやってくる海外の観光客には、ぜひ訪れて欲しい街ではある。ただ受け入れる側にとって、これだけの遺産を維持して行くには並々ならぬ努力が必要なのだ、ということも認識させられた。これからも「日本には京都がある」と、無二の街であることを誇るなら、市民と行政は覚悟が必要である。 . . . 本文を読む
【Tokyo-k】京都に詳しい妻の知人が「平野神社がすてきよ」と教えてくれたという。初めて聞く名前だが、早咲きの桜で有名らしい。旅の最終日、荷物を今出川駅に預けて行ってみる。前日の地元ニュースで「平野神社の魁が咲き始めました」と伝えていたからだろうか、結構な人出である。それにしても「魁」とは何か。この地固有種の枝垂れだそうで、門前に華やかな姿を見せている。魁が満開になると、京の桜は一斉に咲き始めるのだという。 . . . 本文を読む
【Tokyo-k】高低差は日本一だというケーブルカーで、延暦寺を覗き見に行く。根本中堂を拝観しただけで帰って来たのだから覗き見程度である。私たちは京都盆地北東隅の八瀬にホテルをとった。市中観光にはいささか不便だが、電車も通じているしケーブルカーで比叡山にも登れる。何よりも「八瀬童子の里」であることが興味深い。北東といえば艮(うしとら)、都の鬼門である。古都の毒気に当たったか、私も陰陽師の術中にはまったようである。 . . . 本文を読む
【Tokyo-k】「会津藩駐屯地跡」と刻んだ石柱が建つ門の内から、園児たちの元気な歌声が聞こえて来る。かーごめかごーめー。歌うというより叫んでいる。こうした古い歌に替る童謡は未だ生まれていないのだろうかと奇異に感じたけれど、石柱の厳めしさを思えばむしろ似合っているのかもしれない。ここは伏見の伏見御堂。149年前の鳥羽伏見の戦いでは銃撃戦の場になった。門を越えて枝を延ばす染井吉野はまだ蕾だが、日差しは十分に暖かい。
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【Tokyo-k】私としては清水焼の故地を訪ねたことで、今回の旅の目的は果たしたようなものだから、「あと2日、ホテルでのんびり過ごそうか」と提案した。しかし奥様に「そんなのつまらないわ」と一蹴され、さて、どこに行こうかと考える。京の桜は遅れていて、どこもまだ蕾が硬い。とりあえず「茶わん坂」の雑踏に身を任すことにする。それにしてもこの混み様は何だ。カラフルな着物姿の女性にジジババの団体客。すれ違うこともままならない。
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【Tokyo-k】東方に山が連なる街など、全国にいくつもあるだろう。しかしただ単に「東山」と言えば、それは京都の東側を南北に延びる峰々の総称を指す。それが日本人の共有認識になっているのだから1000年の都はやはり特別である。京都駅から乗ったタクシーに「河井寛次郎記念館へ」と告げると、運転手は「あ、五条坂でしたな」と言った。東山の一角、清水寺から下る緩い坂道が東海道に交わり、五条通りが始まるあたりだ。清水焼の故地である。 . . . 本文を読む
【Tokyo-k】隠居暮らしになると、劇的に変化するのは「日常的行動半径」である。世の中を動き回っていたころに比べ、それは自宅中心の極く狭いものになる。だからしばらく間を置いて、かつての歩き慣れた街へ出かけると、余りの変貌ぶりに呆然とさせられることがある。例えば日本橋や虎ノ門がそうであるように、東京駅八重洲口界隈もそうした街の一つだ。かつては同じような高さで頭を並べていたビルが、今や覇を競って天を突いている。
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