すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第956号 琵琶湖周“行”の歌 =7= 大津京

2011-07-29 13:44:22 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】お宮参りなのだろう、祖母が抱く赤子を中心に、一族そろって写真館の注文に従い、整列している。大津市西郊の近江神宮楼門でのことだ。「ささなみの志賀の都」はこのあたりだろうかと石段を上って来たら、出会ったのは赤ちゃんの安らかな眠りであった。なにしろ宮跡は、柿本人麻呂でさえ「大宮は ここと聞けども 大殿は ここと言えども・・」と、荒れたる都を過ぎながら悲しんだほどなのだから、いまや分かろうはずがない。 . . . 本文を読む
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第925号 琵琶湖周“行”の歌 =6= 堅田

2011-07-28 14:48:29 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】琵琶湖の南部、湖面が最もくびれた地点に琵琶湖大橋が架かっている。守山市と大津市西部を結ぶ1.4キロメートルの有料橋だ。守山市側(東側)から乗り入れて対岸に近づくと、橋の左手湖岸に、切り妻造りの民家が密集して続く街が見えて来る。堅田だ。古くからその地の利を生かし、琵琶湖水運の利益で自治を守った湖族の本拠地である。街なかも落ち着いた風情をよく残しているけれど、橋から見晴るかす街の俯瞰は実に美しい。 . . . 本文を読む
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第924号 琵琶湖周“行”の歌 =5= 長命寺

2011-07-27 10:50:16 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】琵琶湖周航の歌が最後の6番で《西国十番/長命寺/汚れの現世/遠く去りて》と詠う姨綺耶山(いきやさん)長命寺にやって来た。本来なら808段の参道を登るべきであろうが、坂道に弱い私のこと、山腹の駐車場まで自動車の力を借りた。それでもそこからなお188段も登らなければならなかった。近江八幡の八幡山の北側に、一段と大きな山塊となって湖を隔てる標高423メートルの姨綺耶山は、近年までは「島」だったのである。 . . . 本文を読む
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第923号 琵琶湖周“行”の歌 =4= 近江八幡

2011-07-26 15:35:45 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】小学生が下校して行く。先を行く男の子に、女の子たちが大きな声で呼びかけている。みんな楽しくてたまらないのだろう、声が弾んでいる。ここは近江八幡の八幡堀に架かる白雲橋の上。ちびっ子たちはかつての近江商人の邸宅が建ち並ぶ伝統的建造物保存街区から、大鳥居をくぐって街の守護神・日牟禮八幡宮方向へと帰って行く。その先には八幡山城跡に登るロープウエーの乗り場もある。橋は、観光・近江八幡の銀座四丁目なのである。 . . . 本文を読む
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第922号 松阪牛、おまえもか!

2011-07-23 16:54:56 | Mie Report
【Mie】放射性セシウムに汚染された宮城県の稲わらが、私の地元・三重県の松阪牛にも与えられたことが分かり、大騒ぎとなっている。今日(23日)のニュースでは、全国46都道府県にその稲わらが流通し、牛に給与された可能性のあることが分かった。 . . . 本文を読む
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第921号 琵琶湖周“行”の歌 =3= 石塔

2011-07-23 09:29:39 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】この塔が見たかった。東近江市石塔町にある石塔(いしどう)寺の三重石塔である。本堂脇から158段の石段の上に立つ塔は、まずその高さに驚かされる。そして姿のよさに見とれる。奇麗などと簡単に言ってしまっては薄っぺらである。しかしだからといって奇妙な、というわけでもない。石をざっくりと加工し組み上げただけなのに、そこに不思議なバランスが生じている。個々の石材はずしりと重く、しかし姿は軽やかなのだ。 . . . 本文を読む
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第920号 琵琶湖周“行”の歌 =2= 多賀

2011-07-22 13:04:27 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】国産みを果たしたイザナギの「その後」について、日本書紀は「幽宮を淡路の洲に構りて、寂然に長く隠れましき」と語る。しかし古事記は「伊邪那岐大神は淡海の多賀に坐すなり」と明記し、近江・多賀大社の祭祀を裏付ける。淡海か淡路か? 淡路島にも津名郡一宮町に「多賀」の地があって、伊佐奈伎神社が現存するからややこしい。ただ人々は「お伊勢七度熊野へ三度お多賀さまへは月参り」と、もっぱら近江路を目指したのだった。 . . . 本文を読む
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第919号 琵琶湖周“行”の歌 =1= 彦根

2011-07-22 10:37:29 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】米原駅で新幹線を降り、レンタカーに乗り継いで旅をスタートさせた。《周航》ならぬ、琵琶湖一周の陸路を行く《琵琶湖周行の旅》である。湖岸延長が235キロメートルの琵琶湖を、4日間かけて車で周遊しようというのだから時間的な余裕は十分にある。問題は暑さだ。例年になく早く梅雨明けした近江路は、しっかり焼け焦げているに違いなく、この日も午前10時ですでに猛暑である。時計回りに方向をとり、まずは彦根に向かう。 . . . 本文を読む
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第918号 《なでしこジャパン》に見る日本女性の活躍

2011-07-18 22:50:03 | Mie Report
【Mie】日本女子サッカー《なでしこジャパン》が世界一になった。チーム一丸で手にした優勝に違いないが、中でも主将としてチームを引っ張ってきた澤穂希は凄い。その活躍は群を抜き、大会の得点王とMVPに輝いた。日本女子が球技世界一になったのは、北京五輪のソフトボール以来とか。 . . . 本文を読む
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第917号 北東北紀行 =終= デンデラノ(岩手県)

2011-07-14 12:40:41 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】遠野物語で私が最も衝撃を受けたエピソードは、巻末に採録されたデンデラノ(柳田は『蓮台野』の文字を当てている)のことである。「六十を超えたる老人はすべてこの蓮台野へ追ひやるの習ひありき。」という、姥捨て伝説らしき風習である。そして驚くべきは「老人はいたづらに死んでしまふこともならぬゆえに、日中は里へ下り農作して口を糊(ぬら)したり。」との記述だ。では捨てられた親は、息子と顔を合わせることもあったのか? . . . 本文を読む
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第916号 健康食品とサプリメント

2011-07-13 19:58:12 | Mie Report
【Mie】世は健康食品が花盛り。テレビではどこかのチャンネルで必ずといっていいほど健康食品やサプリメントの宣伝が流される。例えば「青汁」「グルコサミン」「皇潤」「黒酢」「ローヤルゼリー」「セサミン」などなど。挙げればきりがない。 . . . 本文を読む
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第915号 北東北紀行 =7= 遠野(岩手県)

2011-07-13 19:40:37 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】遠野の宿は大震災の被災者が避難していて、どこもいっぱいだった。ようやく見つけた民宿にも、大阪の病院から応援に来ている医師・看護師や、被災地の復旧に当たっている土木関係者らが長期滞在しているようだった。私も釜石で津波被害の様子を確認し、ここまで戻って来たところなのだ。30年ほど昔、釜石に行く途中この街を通過し、いつか立ち寄ってみたいと思い続けていた遠野である。もちろん『遠野物語』に惹かれてのことだ。 . . . 本文を読む
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第914号 北東北紀行 =6= 釜石(岩手県)

2011-07-13 19:31:04 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】大震災発生から3ヶ月半、釜石では瓦礫の多くはとりあえずの空き地に集められ、道路は通行可能になっていた。しかしそれは街の中心域に限られたことで、港に行くと巨大な貨物船が防波堤に乗り上げ、その先は通行止めなのだった。ジリジリと日に照らされた街に人の気配は薄く、奇妙な静寂が支配している。こうした街が沿岸数百キロに累々と続いているのだと頭の中ではわかっているのだが、受け入れるには余りに過酷な惨状である。 . . . 本文を読む
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第913号 北東北紀行 =5= 北上(岩手県)

2011-07-13 17:37:30 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】私は初めての街に行くと、早朝の駅で通勤の人波を眺める機会を窺う。一日の活動に向けて市民の生き生きした表情に接し、その街が身近に感じられるからだ。岩手県北上市で宿泊したこの朝も、午前8時ころの北上駅前にいた。列車が到着したのだろう、おじさんおばさんに混じって高校生の集団が元気に登校して行く。ところが視界を遮る幟旗がうるさい。全国高校総体の歓迎幟である。気が付くと、駅前は看板類の氾濫ではないか。 . . . 本文を読む
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第912号 北東北紀行 =4= 角館(秋田)

2011-07-13 16:58:40 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】賑やかに会話を弾ませて、そろいの和服姿のご婦人連が行く。声は聞こえても意味は理解不能だ。ディープな秋田弁なのだ。武家屋敷が、往時のままに保存されている希有な街路が残っていると、余りにしばしば耳にするものだから、秋田新幹線で通りかかったのを機に角館駅で下車した。なるほど不思議な街である。古い武家屋敷もさることながら、庭を埋める巨木が凄い。そして何よりも、オバさまたちのイントネーションが素晴らしい。 . . . 本文を読む
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