すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第1425号 「行徳の俎」の街を行く

2016-01-26 07:57:30 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】漱石の『吾輩は猫である』に、迷亭が「どうせ僕などは行徳の俎と云う格だからなあ」と苦沙味を煙に巻く場面が出てくる。苦沙味は「まずそんなところだろう」と澄まして応えるのだが、実は「行徳の俎」の意味が分かっていないのだと猫に見破られている。漱石が「行徳の俎」についてそれ以上説明していないのは、明治30年代の東京界隈で、この言い回しを知らないのは世相に疎い苦沙味くらいだ、と強調してみせたのだろう。 . . . 本文を読む
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第1424号 赤煉瓦駅舎で石版画を観る

2016-01-23 11:22:34 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】「パリ・リトグラフ工房idemから」という風変わりなタイトルに惹かれた、というわけでもないのだが、版画好きの私はその一手法であるリトグラフをじっくり鑑賞したくて、東京ステーションギャラリーに出かけることにした。副題に「現代アーティスト20人の叫びと囁き」とあるように、奇妙な絵のざわめきが会場を埋めている。東京駅の丸の内赤煉瓦駅舎内にあるこのギャラリーは、旧館以来、私の好きな美術館の一つなのだ。 . . . 本文を読む
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第1423号 「米谷清和展」を観る

2016-01-19 15:50:46 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】東京・三鷹の三鷹市美術ギャラリーで「米谷清和展ー渋谷・新宿・三鷹ー」を観る。米谷清和(1947-)は福井県出身の日本画家だ。都会の日常的な風景を、ありふれたそのままに淡々と描き録った作品群である。日本画ではあまり見ない題材だが、岩絵具で描いているからやはり日本画なのだろう。東京の空がその作品と谺し合っているような、今年初めての雪が、まだ残っている日である。 . . . 本文を読む
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第1422号 「メコン王国」の空遠く

2016-01-15 13:42:19 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】「世界の大河を挙げなさい」と言われたら、私はまずナイル・ガンジス・黄河といった、古代文明につながる川を思い浮かべる。そして次はミシシッピ・アマゾンのアメリカ大陸を思うだろう。だが途中で「メコンは欠かせないぞ」と叫ぶかもしれない。全長4000キロと、延長では世界10位ほどらしいが、チベットに発しインドシナを縦走、ベトナム南端で南シナ海に注ぐアジアのアマゾン川だ。ここまで来たらメコンが見たい! . . . 本文を読む
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第1421号 ベトナム現代アート事情

2016-01-14 14:20:21 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ベトナムの現代美術に触れてみたかった。だからハノイでは国立美術博物館に、ホーチミン市では市美術博物館に行く。案内書には「現代美術の歴史は浅く‥」などと書いてあるが、なかなかどうしてそのアバンギャルドぶりは尋常でない。強烈な色彩が、雄叫びをあげてぶつかりあっているのは、太陽が身近な熱帯が育てた感性だろうか、実に興味深い。ただ「歴史が浅い」のは事実なのだろう、作家たちは模索の渦中にいるようである。 . . . 本文を読む
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第1420号 54民族の統一国家・ベトナム

2016-01-13 09:28:38 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ホーチミン市の中央郵便局を訪ねたら、観光客らでにぎわう中央のカウンターに、綺麗な切手シートが展示されていた。私は海外に行くと、その国の郵便切手を買うことがある。人類が発明したシステムで、極めて平和的な宝物の一つが郵便制度だ。しかも切手は、地球規模で通用するのにデザインは地域色が濃い。その面白さでつい購入し、結局はしまい忘れてしまうのだが、ホーチミンでもベトナムの800ドン切手シートを買った。 . . . 本文を読む
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第1419号 ただいま全力疾走ホーチミン

2016-01-12 09:37:57 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】南シナ海に、マンゴーのようなふくよかな曲線を描いて突き出しているインドシナ半島。その東縁の海岸線を包み込むように、南北に細長く延びるベトナム社会主義共和国は、九州を除いた日本ほどの国土に約9000万人が暮らしている。首都はハノイだが、ホーチミン市(Ho Chi Minh City)の人口はハノイを上回り、700万人を超えている。ハノイの旧市街に慣れた感覚でやって来ると、その近代的繁華と賑わいに目が眩むほどだ。 . . . 本文を読む
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第1418号 ハノイで考える「植民地って何だろう」

2016-01-11 10:23:34 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ハノイの街角で、白人の老婦人とベトナムの若者が会話している。小柄な若者は老婦人を見上げ、長身の婦人は彼を見下ろしている。映画『インドシナ』の大ゴム園の領主カトリーヌ・ドヌーブが、老いてなおハノイに君臨しているかのようなヘンな思いに捉われてしまった。カンボジア人ほどではないけれど、ベトナム人も小柄でスリムだ。こうした組み合わせに出会うと、白人がアジア人を見下しているように思えてしまう。 . . . 本文を読む
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第1417号 乾期だというのに街はバイクの大洪水

2016-01-09 10:27:51 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】経済発展が著しいと聞いて久しいベトナムに行く。私の世代にとって、そこは何より抗米戦争を勝ち抜いた神秘の国である。カンボジアのアンコール・ワットで心を鎮めた後、ハノイを訪ねた。冬は乾期。雨は少ないけれどバイクの洪水である。人や荷物を満載し、曲芸のように乗りこなす人々が先を競っている。これが「成長」の勢いというものなのだろう、湯気が立っている。一つの社会が民族が、豊かさを求めて驀進しているのだ。 . . . 本文を読む
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第1416号 「懐かしい」ようなカンボジアの田園風景

2016-01-06 14:02:42 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】カンボジアは日本の半分程度の国土に1470万人が暮らしている。多民族国家ではあるけれど、9割がクメール族だ。中部の都市シェムリアップは人口20万人ほどのカンボジア第3の都市で、トンレサップ湖の北に位置するアンコール・ワットの観光拠点だ。観光が最大の産業だけに治安は最もいい街なのだそうで、国際空港や五つ星ホテル、王室の別荘もある。街は総じて鄙びた風情で、日本の高度成長期以前の田舎町を思い出させる。 . . . 本文を読む
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第1415号 クメールの涙かアンコール

2016-01-05 16:50:02 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ピラミッド、万里の長城、中南米のマヤ・インカ遺跡群、それにカンボジアのアンコール・ワット。人類による大規模石造建造物を考える時、私の脳中にはこれらの遺構が思い浮かぶ。さらにジャワのボロブドールとギリシャ・ローマの都市構造物を加えたら、イメージはより具体的になる。そこで年の瀬、アンコール・ワットに向かう。ベトナム経由の航空機は、インドシナ半島最大の湖・トンサレップを目印に、高度を下げて行く。 . . . 本文を読む
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第1414号  明けましておめでとうございます

2016-01-01 10:06:48 | Nagano Report
【Nagano】世界のすずめ通信読者の方々、どのような年をお迎えでしょうか。私は自宅のある長野県と群馬県にまたがる浅間山の南斜面、標高約1000メートルの所で新年を迎えました。うっすらと雪化粧をした美しい朝です。雪景色が雲間からの初日の出に柔らかく輝いて、晴れ上がってきりきり冷え込む朝より、実際の気温も気分もずっと暖かです。 . . . 本文を読む
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