すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第1220号 小木(新潟)

2013-09-16 05:32:53 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】佐渡と本土を結ぶ近代航路は、1885年(明治18年)に越佐汽船会社が発足し、新潟―夷(現・両津港)間を結んだことで始まった。ただ現在の航路を独占する佐渡汽船は、1913年設立の佐渡商船を継承しているから、今年が創立100周年なのだという。江戸時代、佐渡の玄関は小木であった。出雲崎と結ばれ、大漁の金銀が運ばれた。その航路を経て、相川の娘が出雲崎の庄屋の幼女に迎えられた。後に良寛を産む「のぶ」である。 . . . 本文を読む
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第1219号 真野(新潟県)

2013-09-14 17:04:26 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】島の玄関といえば定期航路の着く港ということになるわけで、佐渡の場合それは両津港である。必然的に街が膨らみ、両津は佐渡唯一の「市」であった。しかし金山経営の佐渡奉行以来、国や県の出先機関は島のはずれの相川町に置かれ、佐渡は何やら不思議なバランスの島であった。古く佐渡国の中心だったのは、国中平野の南側に広がる真野エリアなのである。《真野》という地名そのものが、かつての島の姿を物語っている。 . . . 本文を読む
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第1218号 新穂(新潟県)

2013-09-13 15:32:41 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】佐渡は全市町村が合併して佐渡市になったけれど、かつて国中平野の中心部に「新穂」という村があった。いかにも豊かな稲田の広がりを連想させる、文字の並びの美しい村名ではないか。その空を、トキが舞っていたのである。だから今はトキ保護センターが置かれ、トキ復活のサンクチュアリになっている。ただここでは、新穂村について書こうというのではない。トキのことと、佐渡における版画運動について考えてみたいのである。 . . . 本文を読む
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第1217号 相川(新潟県)

2013-09-12 11:00:40 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】江戸時代の相川には、10万人を超す人口がひしめいていたという。その時代、これだけの人口過密な街は日本にいくつもなかったであろう。天領支配の奉行所が、この地から佐渡のすべてを差配した。平坦部が乏しい地形は尾根道の狭い道沿いに繁華な街を造り、3階建ての商家が軒を連ねた。すべては金山による繁盛である。徳川幕府が貪った金を、新技術を導入してなお掘り続けた明治政府は、佐渡国を一時、相川県としたほどである。 . . . 本文を読む
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第1216号 北狄(新潟県)

2013-09-10 17:57:10 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】佐渡・外海府の尖閣湾隣接地に「北狄(きたえびす)」という漁村がある。かつての雑太(さわた)郡金泉村の一集落で、相川町に吸収され、さらに佐渡全島が合併したことで佐渡市北狄となった。そのまま読めば「ホクテキ」と、古代中国でいう北方異民族を指す蔑称にあたり、これまで生き延びたことが奇跡のような地名である。だが穏やかな一日を終えて岩礁に日が沈むとき、そこは桃源郷になる。その海辺に3日間お世話になった。 . . . 本文を読む
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第1215号 ボストン

2013-09-08 09:47:22 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ボストン(Boston)は米国北東部の大都会だが、ニューヨークよりむしろ西海岸のサンフランシスコを思い出させる雰囲気がある。日曜日とあってか、市中心部の市庁舎前広場ではイベントが開かれ、肌の露出がうれしくてたまらないといったお嬢さんたちが嬉々として集まっている。マラソン大会の爆破テロ事件から50日も経ていないのだが、そんなことはすっかり忘れたように、米国建国の街は若々しいエネルギーが弾けていた。 . . . 本文を読む
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第1214号 ニューヨーク④

2013-09-06 17:40:28 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ニューヨークにあって羨ましいもの。それはMetとMoMAそれにセントラルパークだろうか。二つの美術館が広大な緑地を挟んで迎えてくれる街のロケーションは、セーヌ川の両岸にルーブルとオルセーが向き合うパリ同様、羨ましい限りだ。東京だって数々の文化施設が楽しめる街だけれど、収蔵品の密度や集積をカウントすると、美術鑑賞に於いてはやはりニューヨークは羨ましい。しかしそれ以外はひたすら《速》と《騒》の街だ。 . . . 本文を読む
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第1213号 ニューヨーク③

2013-09-06 10:17:34 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ニューヨークでしみじみ眺めたいものが二つあった。自由の女神像と国連ビルである。なかでも自由の女神にはこだわりがあった。マンハッタンのビル群を背景に、ハドソン川の水面の向こうに立つ姿を望みたかったのだ。それは、はるか大西洋を越えて、新たな人生を目指してやって来た、かつての移民たちの気持ちに近づくことができるかもしれないと考えたからだ。もちろんそう簡単に移民の気持ちが分かるはずはなかったけれど。 . . . 本文を読む
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第1212号 ニューヨーク②

2013-09-05 10:01:35 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】ワールドトレードセンターの跡地を訪ねた。9.11の標的になった、ニューヨークのGround Zeroである。崩れ落ちたビルの跡はモニュメントとなり、巨大な池に水が流れ落ちている。縁石には犠牲者の名前が彫り込まれ、日本人名も含めたその数の多さがテロの非情を伝える。新しいビルの建設が進み、ガラス張りの摩天楼が天を衝くまで延びている。上空を頻繁に航空機が通過し、その機影がビル壁面を移動して行く光景は、不気味である。 . . . 本文を読む
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第1211号 ニューヨーク①

2013-09-04 10:41:56 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】サンフランシスコからニューヨークに移動した。合衆国を西海岸から東の端へ、国土を横断する空の旅は5時間かかり、時差が3時間生じていた。アメリカは確かに大きな国である。それまで私たちが滞在させてもらったオリンダのお宅のご子息は優秀な若者で、ニューヨークのコロンビア大学に通っている。ニューヨーク生活が3年になった彼に街の感想を聞くと、すかさず「速い!」と応えた。人々の歩くテンポまで速いのだという。 . . . 本文を読む
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第1210号 カーメル

2013-09-03 08:39:28 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】カーメル(Carmel-by-the-Sea)はモントレーの保養地的雰囲気をいっそう濃くしたような街だった。詩人やアーティストらが移り住んで来て、その感性にふさわしい(だから世のなか的には風変わりな)街を創ったらしい。俳優のクリント・イーストウッドが町長に選出されたことは日本でも話題になったけれど、この街では特に変わった出来事ではなかったようだ。そんな街で最も強い印象を受けた風景は、霧の中から現れた灯台だった。 . . . 本文を読む
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第1209号 モントレー

2013-09-02 15:54:37 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】米国西海岸をサンフランシスコから南へ200キロほど下ると、モントレー半島という小さな岬が太平洋に突き出ている。その北側の入り江がモントレー、南側がカーメルという街になる。いずれも高名なリゾート地だということで、1泊の小旅行を試みることにした。知らない土地でハイウエーをひた走ったのはいささか無謀だったと今にして思うけれど、大都会にはないアメリカの素顔が垣間見られ、密度の濃い小旅行になった。 . . . 本文を読む
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第1208号 バークレー

2013-09-01 12:17:05 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】サンフランシスコ湾は最長部が100キロ近くあって、琵琶湖を一回り大きくしたような姿をしている。北側はサンパブロ湾につながっているから、海水面全体は遥かに広大なのだが、わずかにゴールデンゲート海峡で外洋に接しているだけだから、まるで湖のような穏やかな風景が広がっている。湾を囲む地域はサンフランシスコ・ベイエリアと呼ばれ、東側のイーストベイは、サンフランシスコ市街と長大なベイ・ブリッジで結ばれている。 . . . 本文を読む
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