すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第1311号 金山(山形県)

2014-10-31 17:35:43 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】山形方面に行く機会があったら、金山町を訪ねてみたいと思いつつ15年が過ぎてしまった。なぜそう考え続けて来たか、記憶はすでに曖昧であるけれど、この街が特産の杉材を使った金山式住宅を復活させ、街興しに成功して何かの賞に選ばれたことがきっかけだ。応募書類を読んで「あぁ、行ってみたい」と思ったのだから、選考に私も加わっていたのかもしれない。15年前に想像した通り、杉材と白壁の家並が美しい清潔な街だった。 . . . 本文を読む
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第1310号 むつ(青森県)

2014-10-31 13:08:44 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】下北半島は何も知らない初めての土地である。だから僅かな時間走り回っただけで分かったようなことを書くつもりはない。そのうえ「北国の、暗い空の下に暮らしがあるのだろう」と勝手なイメージを描いていた私の想像は、前日の予報が覆って好天になったせいか、あっけなく打ち砕かれた。下北の中心都市・むつ市街を東の高台から見晴らすと、釜臥山を背に6万1千人余の市民の暮らしが、晴れ晴れと穏やかに広がっているのだった。 . . . 本文を読む
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第1309号 尻屋(青森県)

2014-10-30 15:47:26 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】白亜の灯台が秋の陽光を浴びて輝き、広がる草原で馬たちが草を食んでいる。まことに平穏なここは、「本州最涯地」の碑が建つ下北半島尻屋崎である。しかしあと2ヶ月もすれば一帯は雪に埋もれ、太平洋から吹き付ける烈風が馬たちに白い氷の衣をまとわせる。それでも岬にじっと立ち続ける彼(彼女)らを、人はいつしか《寒立馬》と呼んで強いシンパシーを抱くようになった。私もそんな映像に惹かれ、はるばる会いに来たのである。 . . . 本文を読む
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第1308号 小泊(青森県)

2014-10-30 08:57:31 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】子供たちがサッカーに興じている。広々としたグラウンドだ。訊ねると「小泊小学校3年生です!」と元気な声が返って来た。昭和19年初夏、太宰治が《たけ》に再会したのは、小泊の国民学校で運動会が開かれている日だった。その見物用の小屋の一つで30年ぶりに《たけ》に会ったと小説『津軽』に書いている。その場所は、グランドを見下ろすこのあたりだろうかと、私は子供たちの活発な動きを目で追いながら思いを馳せた。 . . . 本文を読む
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第1307号 弘前(青森県)

2014-10-29 09:24:03 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】リンゴの花を可憐な少女に譬えるなら、秋の果実は豊満な熟女といったところか。岩木山の麓に延びる「アップルロード」を、熟女の季節に走ってみたいという願いが叶った。それも快晴の陽光を浴びてである。青森の旅をまず弘前散歩から始めた私たちは、翌朝、郊外の「リンゴ公園」に立ち寄った。リンゴには実に様々な品種があることに驚いている私を見て、売店の女性は「ああ、アップルマラソンの選手さんですね」と言った。 . . . 本文を読む
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第1306号 鎌原(群馬県)

2014-10-22 14:53:29 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】その時の私を見かける人がいたら、絵に描いたような「茫然自失状態の男」を観察できただろう。群馬県嬬恋村鎌原の、小さな観音堂の夕暮れである。お堂に通じる石段には朱塗りの橋が架かり、堂が建つ小丘の傍らには巨大な観音像が立っている。さらにその周りには土産物店や食堂が数軒、いずれも錆の浮いたシャッターを閉じている。私はそうした佇まいを見回し、呆然としている。40年前に訪ねた場所と、ここは同じところか? . . . 本文を読む
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第1305号 嬬恋(群馬県)

2014-10-22 08:30:12 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】おそらく日本中で「恋」という文字を含んでいる自治体名は、群馬県吾妻郡の嬬恋村だけであろう。明治22年の市町村制施行時に、12の村々が合併して採用された村名で、記紀にある倭建命の伝説に由来しているという。しかし建命が妻を想って溜め息をついた「坂」が、嬬恋村の鳥居峠かどうかは誰も知らない。だが古くは「吾妻庄」と呼ばれた地であることをヒントに、それを援用して村名を考えついた知恵者がいたということだ。 . . . 本文を読む
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第1304号 上田(長野県)

2014-10-22 08:07:25 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】市役所にも道路のマンホールにも、道路標識やそこに立ち並ぶ幟旗にも、上田は《六文銭》だらけである。小よく大を制し、知略を駆使して義に殉じながらも家名を残した《真田》は、日本人が大好きな戦国集団であるから、本拠地・上田の市民がその記憶を誇りにするのは当然であろうが、この六文銭洪水にはいささか辟易とさせられもする。快晴の秋分の日、門と櫓が復元された城跡では、観光客がガイドの流暢な語りに聞き入っている。 . . . 本文を読む
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第1303号 中野(長野県)

2014-10-21 15:01:53 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】近所の果物屋さんの店頭に、実に見事なブドウが並んでいた。思わず「これは何ですか?」と馬鹿な質問をしてしまった。ブドウであることは分かるのだが、巨峰をさらに大きくしたような粒、その粒がひしめき合う重々しい房は、私のなかのブドウのイメージを遥かに超えていたのだ。「これはナガノパープルといって、長野県の特許だから長野でしか栽培できないの」と女店主が教えてくれた。そして「主産地は中野です」と付け加えた。 . . . 本文を読む
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第1302号 渋峠(群馬県)

2014-10-21 11:20:40 | Tokyo-k Report
【Tokyo-k】草津温泉の麓に六合(くに)という地域がある。私が陶芸のまねごとを愉しむために、月に1、2度滞在している村だ。今回は車を借りてやって来たので、晴天に恵まれたら「志賀・草津高原ルート」をドライブしようと考えていた。そこで六合唯一の「道の駅」に隣接した観光案内所で道路の様子を訊ねると、係員が「レベル2になったため、夜間は通行止めです」と教えてくれた。草津白根山の噴火警報が引き上げられたというのだ。 . . . 本文を読む
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