すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第1408号 林を切り払っての太陽光発電、おかしくありませんか

2015-11-15 12:50:14 | Nagano Report
【Naoano】私は今怒っている。なぜなら冒頭の写真の中の木がまもなく全部切り倒され、その後に太陽光発電パネルがびっしり設置される予定だと知ったからである。

長野県の佐久地域はお日様が照る時間の長さで日本国内で一、二を競うらしい。そのため、太陽光発電が盛んで、太陽光発電用のパネルを屋根に乗せている個人住宅が多く、公共施設の屋根を利益追求の太陽光発電事業の為に貸し出す自治体もある。屋根を貸しているうちはいいが、森や林を切り開いての発電を野放しにしているのには怒りが込み上げて来る。

2年前のある夕方、週5日は通っていた道の景色が一変していた。そこは長野県立小諸高校と大きい林に挟まれた急な下り坂の大きなカーブになっている所だが、カーブを回った途端に林がある筈が遠く佐久平の盆地とその向こうの山々までが目に入って来たのだ。予期しない景色に一瞬何が起きたのか分からないほどだった。直線道路であれば目の前に見えているのはずっと道路の先であるからあんなに驚きはしなかったと思うが、ヘヤピンに近い急な坂道のカーブのために曲がった途端に目の真ん前に現れる筈の林がすっかり消えてしまっていたのだから、その時の私の驚きはお察し頂けると思う。

そのまま目的地に向かいながら、そこに何が作られるのだろうかと考え続けた。切り払った木の根っこなどを掘り上げて整地が進む中、数日後、遂に看板が立った。なんとそこでは太陽光発電事業が行われるとある。それを知った途端に怒りが込み上げて来た。太陽光発電は環境にやさしい。しかし、あんなに大きい奇麗な林を切り払って行う太陽光発電は本末転倒ではないか。私は今でもその場所を週5日は仕事の行き帰りに通っているが、2年過ぎても最初の衝撃と怒りは全く衰えていない。

営利事業用の太陽光発電のパネルは屋根ではない場所にも設置されて続けているが、大々的に林を切り開いてと言うのはその後見ないので、高い建物ではないし、大きい看板もヒラヒラの幟旗も無いし、景観はともかく空き地利用なら仕方がないのかなと思っていたら、近々我が家の近所の林が切り払われて太陽光パネルが近々設置されるという。その広さは1200坪近い。そのことが分かったのも、その場所に隣接する我が家の隣人に庭先を太陽光発電用に貸してくれとその事業主が頼みに来たからで、土地を貸してくれと言われたご本人は驚きを隠せなかったそうだ。

その隣人はその林が好きで土地を購入したので、そのことを土地を借りたいと言って来た人に言うと、もうパネルを設置することは決まっているのであなたの意見は必要ないと言われたとか。とんでもない輩だ。そこで隣人は、小諸市役所に林を切り払って太陽光パネルを設置する規制などはないのか問い合わせた。しかし、市役所では個人の土地に何をしようと土地の所有者の勝手だと、一言であしらわれしまったと聞き、今度は私の方があきれてしまった。小諸市は環境条例などを整備して、景観維持にはそれなりの努力をし始めているので、そのような対応は残念だ。

個人の土地だったら個人は本当に好き勝手にその土地を使ってもいいのだろうか。まさかそんなことは出来ないでしょうというような極端な例は具体的には言わないが幾らでも思いつく。お隣の軽井沢町は現に個人の土地であっても厳しい土地利用規制をして守らせている。小諸市に出来ない筈はない。

今、近隣の住人達で、せめてある程度の景観保全や20年後に事業を終えた時の後始末について取り決めたいと動き始めている。調べたら、小諸市は近隣住人に相談や説明無くいきなり太陽光発電事業のパネル設置はできないよう条例を定めたが、その発効が来年の1月1日なのだ。この事業者はその条例の発効前の隙を狙ったのだろうか。その条例に環境を破壊しての太陽光パネル設置禁止の一言がないのが悔やまれるが、どんな取り決めであれ無いよりはいい。

小諸市は浅間山の南斜面に位置し、佐久平を通して八ヶ岳や、遠く日本アルプスを屏風のようにぐるっと見渡せる、自然に囲まれた町だ。新幹線の通り道にならなかったお陰で、全国チェーンの大型のショッピングモールや小売店などが進出すること無く、むしろ大手デパートなどが撤退して、全国どこにでもある町にならずに済んでいる。市の中心部は小さい家がごちゃごちゃと好き勝手に建っていて、緑も少ないが、中心部を離れればまだまだ自然が美しく残っている。

市は10年ぐらい前から環境整備に目覚め、市役所の立て替えを機に美しい町に生まれ変わろうと励んでいるところだが、太陽光発電のパネル設置をどこにでも設置可能にするのはその動きに逆行するものだと思う。環境を破壊しての、今回の例で言えば冒頭と下の写真の中の木を全部倒しての、再生エネルギー発電はどう考えても納得がいかない。








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